『マンガで分かる「西洋絵画」の見かた”神話偏”』をレビュー!

『マンガでわかる「西洋絵画」の見かた ギリシャ・ローマ神話編』(誠文堂新光社)

 

今回は美術系の本マンガで分かる「西洋絵画」の見かたギリシャ・ローマ神話偏のレビューをしようと思います。

 

実はこの本を紹介しようと思った理由に、個人的に注目している「永遠の都 ローマ展」があるから!古代ローマが大きなテーマになっているだけに、神話が欠かせないポイントだからです!

 

神話画はただ何となく見て楽しめる!というジャンルでなく、ある程度の予備知識が必要だと思っています。何が描かれているのか?背景が分かるとより深く味わえるのが神話画の醍醐味でもあります。

でも、いざ神話を知ろう!と思っても、どんな本がイイのか?

 

そこで候補に挙がったのが今回の本だったわけです。

 

今回の目次

・『マンガで分かる「西洋絵画」の見かたギリシャ・ローマ神話偏』のレビュー
・ギリシャ・ローマ神話は多少は知っていた方がイイ!と思う理由

 

 

『マンガで分かる「西洋絵画」の見かた 神話偏』のレビュー

『マンガでわかる「西洋絵画」の見かた ギリシャ・ローマ神話編』のレビュー

神話や宗教、歴史といったジャンルは、日本人にとってちょっと苦手かもしれない。特に宗教は苦手意識のある人も多いでしょう。だからいきなり文章から入るのは、ちょっと抵抗を感じるかもしれない。”マンガ(漫画)”で説明されている本は、日本人には打ってつけかもしれませんね。だから今回『マンガで分かる「西洋絵画」の見かた』を候補に挙げたというわけです。

でも”マンガ”だからと言って侮ってはいけません!結構内容は真面目に書かれています。実はこれを買ったのは数年前の話。(発売が2021年なので、ある意味最近と言えば最近ですが。)

当然私がこの本を買った理由は、もうちょっと”神話”についての知識を深めたい!と思ったから。それ以前から辞書や書籍も持っていて読んではいましたが、やっぱりマンガ好きにとって”マンガ漫画”にというフレーズには敵いませんね!^^

 

『マンガでわかる「西洋絵画」の見かた ギリシャ・ローマ神話編』※裏表紙
私が芸術に興味を持ち始めたのが30歳くらいで、最初は印象派から始まり、そして抽象画や宗教画と深みにハマっていった経緯があります。宗教画と神話って意外と通じる部分があると思っていて、宗教画に興味を持ち始めた際、多少ですが神話にもある程度知る機会は出来ました。それに私が子供の頃は「聖闘士星矢」にハマっていた世代でもあるので、少なからずローマやギリシャ神話の免疫もそれなりにあった。でも、当時そこまで詳しいかと問われると、さすがにまだまだという状態だった。

そういった自身の経験も踏まえると、「マンガで分かる○○」は導入としては最適かな!?と。

 


例えば、”ローマ”という点に絞って話せば、前半の第1章ではローマの歴史やローマ美術の事を結構分かりやすく解説してくれています。「永遠の都 ローマ展」に行く前の予備知識としては、この第1章は必須かな~と。ローマ美術って各国を征服していった歴史とは切っても切れない関係にあると思っていて、そういう意味でも歴史と美術を一緒に話してくれるのはありがたい。(もう少し早く、この本と出会っていたらな~と。)

 

それから「ローマ展」の目玉作品の一つ「カピトリーノのヴィーナス」も、本の66ページに載っています。ローマの建国にとって重要なロムルスとレムスについても、本の200ページに書かれています。そういう意味でも、重要なポイントはしっかりと押さえているのがありがたい。しかも絵画作品も掲載されているのがイイですね。やっぱりと言っては何ですが、ルーベンスの「ロムレスとレムスの発見」もありました。

 

「ロムルスとレムス」(1615‐16年)ピーテル・パウル・ルーベンス

「ロムルスとレムス」(1615‐16年)ピーテル・パウル・ルーベンス

・210×212cm、カンヴァスに油彩、カピトリーノ美術館所蔵

これはもう、絶対に押さえたい作品でもあるし、実際に観たい作品でもありますしね。しかもカピトリーノ美術館所蔵作品ですから!!

約200ページちょっとの厚さですが、神話についてはある程度網羅しているし、随所に絵や彫刻作品も載っている。しかもマンガで比較的分かりやすく解説もしているので、初心者には最適な一冊かな~と。ある程度分かっている人にとっては、ちょっと内容的に浅いかな?と思う面もあるだろけど。これから神話を知りたい!という人には、導入としては比較的イイ本だと思っています。

 

 

ただこういった本を買ってしまうと、どうしてもダメですよね~。いろんなページを見ていると、どうしても気になる作品に目が向いてしまいます。「これ観たいな~」と、欲望が湧いてしまうんですよね。

 

「神々と巨人族の戦い」(1526‐34年頃)ジュリオ・ロマーノ

「神々と巨人族の戦い」(1526‐34年頃)ジュリオ・ロマーノ

・フレスコ画、マントヴァ公国の宮殿にある「巨人の間」の天井画

ジュリオ・ロマーノ(Giulio Romano)の天井画「神々と巨人族の戦い」です。

『マンガで分かる「西洋絵画」の見かたギリシャ・ローマ神話偏』では、107ページに載っています。イタリアにあるマントヴァ公国の宮殿にあるそうで、一度でもいいから観たい!そう思った作品です。画集や本を見ていると、美術好きな人間はどうしてもダメですよね。見れば観るほど、見たい欲求がどんどん湧いてきてしまいます。

この世界には、まだまだ良い絵がたくさんあるって事でしょうか!

 

「神々と巨人族の戦い(detail)」(1526‐34年頃)ジュリオ・ロマーノ

「神々と巨人族の戦い(detail)」(1526‐34年頃)ジュリオ・ロマーノ

↑こちらは「神々と巨人族の戦い」の一部(detail)です。絵のどの部分か分かるかな??

 

 

ギリシャ・ローマ神話は多少は知っていた方がイイ!と思う理由

考え

最近開催された「ルーヴル美術館展 愛を描く」や「テート美術館展 光」「マティス展」の様に、誰もが知る有名な美術館や画家の作品展であれば、特に予備知識もなくてもイイと思っています。純粋に観るだけでも、楽しめる作品が多いから。別にレベルの低い内容だとか、そういう事を言っているわけじゃなく、万人が分かる様な作品を中心に展示してくれる場合が多いから。

 

カピトリーノ美術館
ただ、「ローマ展」はちょっと志向が違うかな?と。特に神話がテーマになってくると、ただ見るだけでもイイですが、内容や背景を知っていた方がより深く愉しめます。「ローマ展」はカピトリーノ美術館の所蔵作品を中心に展示する展覧会で、しかもこの美術館ってローマの誕生からその後の歴史に関わる作品を多く抱えている事でも知られています。

言うならばローマの歴史や神話を観るなら、カピトリーノは最適な美術館というわけです!

 

『マンガでわかる「西洋絵画」の見かた ギリシャ・ローマ神話編』(誠文堂新光社)
せっかく観に行くなら、ちょっとでも多く楽しめた方が絶対にイイ!!そのための本として、今回挙げた『マンガで分かる「西洋絵画」の見かたギリシャ・ローマ神話偏』は最適だと思っています。

 

ぜひ、予備知識を仕入れた上で、作品を観に行ってほしいと思います。

 

 

※ここで扱っているイラストや作品画像はpublic domainなど掲載可能な素材を使用しています。

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