”モネの作品「積みわら」にかけられたマッシュポテト”事件で思う事!

黄色い液体でかける

 

ネットで偶然目にした衝撃ニュース!

 

印象派の巨匠クロード・モネの作品「積みわら」にマッシュポテトが!美術好きな人にとっては、さすがに気になるニュースではないでしょうか??もちろん私も気になってしまい、内容に目を通してしまったのです。

 

10月23日、ドイツ、ポツダムの美術館に展示されているクロード・モネの作品「積みわら」に、黄色い液体がぶちまけられました。かけられた液体は”マッシュポテト”。オレンジ色のベストを着た2人の環境活動家が、化石燃料の使用停止をドイツ政府に訴えるために行った行動だったのです。

~”人々は飢え、人々は凍え、人々は死んでいる。私たちは気候変動の大惨事の中にいる。トマトスープやマッシュポテトがかけられた絵画がそんなに心配なの!?”と。幸いマッシュポテトをかけられた作品「積みわら」は、ガラスで覆われていたため無傷でしたが…。被害に遭った美術館の館長は「活動家の言い分は理解できるが、手段に対してはショックだ!」とのコメント。

つい先日(10月14日)も、ロンドンナショナルギャラリーで展示されていたゴッホの「ひまわり」がトマトスープをかけられるという騒ぎがあったばかりでした。~

※ネットニュースの内容を分かりやすく訳し、解説

 

美術館の名は公表されていませんでしたが、今回標的にされた作品はおそらくコレ☟になるだろうと思います。

「積みわら」(1891年)クロード・モネ

「積みわら」(1891年)クロード・モネ

・73.0×92.0cm、カンヴァスに油彩

山になった”わら”から透けて見える光の微妙な加減。光の機微を描かせたら、印象派の中で右に出る者はいないでしょうね。自然をこよなく愛し、自然の本質を見ていたクロード・モネらしさが存分に表現されている作品だと思います。

 

今回はガラスで覆われていたため作品は無事でしたが、もし剝き出しの状態だったら…。そう思ったら、さすがにショックですね。絵画作品は画家が命をすり減らし制作した、いわば画家の分身みたいなもの。どんな理由であれ、作品を傷つけてほしくないものです。展示されている作品は何の罪もないわけですから…。

確かに活動家の言いたいことも、分からないでもない。私の考えになりますが、剥き出し状態の作品を傷つけたら、美術関係者やファンからは相当批判を浴びるのは目に見えています。そうなれば、自分たちの主張が届かなくなる恐れもある。おそらく活動家の2人はガラスに覆われている事を知っていて、マッシュポテトをかけたのでは?と思っています。つまりニュースとして取り上げてもらうためのパフォーマンスだったと思うのです。

 

ちなみに、モネは「積みわら」の作品を複数描いています。ちょっと余談になりますが、ここでいくつか挙げてみたいと思います。

「積みわら」(1890‐1891年頃)クロード・モネ

「積みわら」(1890‐1891年頃)クロード・モネ

・60×100cm、カンヴァスに油彩、シカゴ美術館所蔵

描いた時期や場所、時間帯が、ちょっとした光の描写からも分かると思います。

 

「積みわら -朝の雪の効果」(1891年)クロード・モネ

「積みわら -朝の雪の効果」(1891年)クロード・モネ

・65.4×92.4cm、カンヴァスに油彩、ボストン美術館所蔵

モネは何度この景色を観察したのか分からないけれど、しっかりと描き分けられているのはモネのなせる業!見比べて観るだけでも面白いですね。タイトルを見ずに、まず作品を見て”いつの時期に、どの時間帯の風景なのか?”を推測しながら見るのも、モネの連作の面白い楽しみ方だと思います。ぜひ、試してみては!?

 

ここでCheck!
さて、今回の「積みわら」にマッシュポテト事件で、一つ気になっている事があります。それは今後第3、第4の同様な事件が起こるかもしれないという事。そうなれば多くの美術館で、ガラスで作品を覆ったり、作品と観客の距離を遠くしたり、もしくは手荷物検査が行われるかもしれないからです。

私の考えですが、美術館と観客の間には目には見えないけれど、”信頼関係”が存在していると思っています。確かに美術館には館内スタッフがいますが、でも観客に対してルールを守って鑑賞してくれる!という信頼があるからこそ、作品によってはガラスで覆わずそのままの状態で作品を展示したり、撮影をOKにしていると思っています。私たちが美術鑑賞を楽しめるのも、美術館と観客との信頼関係があるから。だから今回の事件で信頼関係が崩れてほしくないですね。

どうしてもガラスで覆われると、光の反射具合で作品に余計な光が入り込む場合だってあります。作品と観客の間にガラスという壁があるだけで、本当の意味で美術鑑賞が楽しめないかもしれない。作品保護のためには致し方ないのも分かるけれど、個人的にはガラスで覆ってほしくはないですね。

作品そのままの状態を、LIVEで鑑賞する!これこそ美術鑑賞の最大の醍醐味だと思うからです。

 

今回「積みわら」にマッシュポテト事件で、今後の成り行きがちょっと心配になってしまった今日この頃。

さて、あなたはどう思いますか!?

 

※ここで扱っているイラストや作品画像はpublic domainなど掲載可能な素材を使用しています。

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コメント

    • 匿名
    • 2022年 10月 29日

    食品を大切にしようねご飯食べれ無い国も沢山有ります

    • しゅうたろう
    • 2022年 10月 29日

    理由はどうあれ、アートが道具にされている。アーティストとして悲しい。

    • サダ
    • 2022年 10月 29日

    コメントありがとうございます。アーティストだけでなく、アートを好きな人間にとっても悲しいです。私は画家ではないけれど、1枚の作品を描くのにどれほどの時間と労力、そして魂を注いでいるか。それを考えると、アートを汚してほしくないですね。

    • アレハンドロ
    • 2022年 10月 30日

    活動家コミュニティは、若者にこういった行動をさせることで活動家以外のコミュニティから孤立させることが目的であると聞いたことがあります。
    最近話題の若者たちのコミュニティも、実際は環境保護のことはそこまで熱心に考えていないのかもしれませんね。

    • デキ
    • 2022年 10月 30日

    洋服も着ず車にも乗らず全ての財産を貧しい人間に配り続けてるのであれば賛同する

    • サダ
    • 2022年 10月 30日

    コメントありがとうございます。私もそう思います。若い活動家は上手く乗せられているだけなのかもしれませんね。

    • 匿名
    • 2022年 10月 31日

    ひまわりが被害にあったとき、印象派が再度狙われてしまう恐れがあるなと感じました。大好きなモネに食べ物が掛けられてしまってとても悲しかったです。美術館はライブ、すごくよくわかります。美術館が私たち鑑賞者が絵を愛していることを知っていて、わざと低い足の仕切りとガラスなしで近くで見れるように計らい、油絵のタッチや下に透けた色など写真でわからない部分を見せてくれているのだとこの記事で実感しました。

    • サダ
    • 2022年 10月 31日

    コメントありがとうございます。本当にそう思います。今回あえて”事件”と書かせてもらいましたが、早くこの事件が収まってほしいものです。

    • やぎゅう ふゆこ
    • 2022年 11月 15日

    素晴らしい芸術作品が汚された ことは悲しいのですが、マッシュポテトだのトマトスープだの、食べ物が使われた ということに怒りを覚えます。
    食べ物を粗末にしています。食べ物は人間の命を育むもの、断じてそれ以外の目的に使うべきではない。今この地球上に一体どれほどの飢えた人々がいると思うの!!

    • サダ
    • 2022年 11月 15日

    コメントありがとうございます。絵画好きの立場からすれば、芸術を汚された事は悲しいです。もちろん食べ物を粗末にしているという事実も、今回の大きな論点ですよね。色々なコメント本当にありがとうございます。

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