エドゥアール・マネの傑作…「フォリー=ベルジェールのバー」

バー(Bar)

 

エドゥアール・マネの傑作と言えば、
フォリー=ベルジェールのバーが挙げられると思います。

 

エドゥアール・マネが亡くなったのが1883年。

事実上マネにとって
最後の大作とも言われているのです。

・・・

「フォリー=ベルジェールのバー」(1882年)エドゥアール・マネ

「フォリー=ベルジェールのバー」(1882年)エドゥアール・マネ

エドゥアール・マネフォリー=ベルジェールのバー(1882年)

 

これは「コートールド美術館展 魅惑の印象派」で見れる作品です。

コート-ルド美術館展 魅惑の印象派の開催概要

(東京開催)
2019年9月10日(火)~12月15日(日)

(愛知開催)
2020年1月3日(金)~3月15日(日)
場所:愛知県美術館(愛知県名古屋市東区東桜1-13-2)

(神戸開催)
2020年3月28日(土)~6月21日(日)
場所:神戸市立博物館(兵庫県神戸市中央区京町24)

ぜひ行って観てほしいと思います。

 

考え…・思い…
さて、このフォリー=ベルジェールのバーですが
なぜマネの最高傑作!?と言われているのか!?

 

それは…

マネの人生最後の大作もあるけれど、
何よりこの1枚には
マネの卓越した技術が凝縮されているからなのです!

 

どういう事かというと…

中央のバーメイドの女性…人物画
奥に見える人の群れ…群集
手前のテーブルに置かれた瓶などの飲み物や果物…静物画

 

つまりこの1枚の絵に中に
人物、群集、静物の3つのテーマが凝縮されているのです!

まさにマネの総決算と言っても過言ではないと思います。

 

らに注目して観ていくと、
マネの卓越した描写技術も見る事も出来ます。

「フォリー=ベルジェールのバー(detail)」(1882年)エドゥアール・マネ

「フォリー=ベルジェールのバー(detail)」(1882年)エドゥアール・マネ

手前に描かれている女性は繊細に描かれているのが分かると思います。

女性の髪の質感や色合い、
そして瞳と肌の感じが実にリアルだと思いませんか?

それに表情も何とも言えないですよね。

この笑っていない表情で、
ちょっと疲れた様子を描いていると思います。

 

対して背景に目を移すと…

「フォリー=ベルジェールのバー(detail)」(1882年)エドゥアール・マネ

「フォリー=ベルジェールのバー(detail)」(1882年)エドゥアール・マネ

全く対照的ともいえる描き方なのです。

こういった対照的な人物の描き方もマネの特徴だと思うのですが、
このマネの持ち味が1枚に凝縮されているわけですね!!

 

さて、今度はもう少し迫って見てみたいと思います。

 

 

フォリー=ベルジェールのバー」のこんな謎と秘密!

バー(Bar)

ちなみにフォリー=ベルジェール
パリにあるミュージックホールの事。
このホールでは歌や踊り、演劇などの催し物が公開され、
様々な地位の人達が行き交う場所だったそうです。

この絵はそんなミュージックホールの中の様子と、
アルコールの提供をしているバーメイドを描いた作品なのです。

 

考え…・思い…
ただこの絵にはあるちょっとした謎が…。

実はこの絵はほとんどが鏡に映った世界だというのです。

 

「フォリー=ベルジェールのバー」(1882年)エドゥアール・マネ

「フォリー=ベルジェールのバー」(1882年)エドゥアール・マネ

テーブルの上に見えるのが鏡の枠で、
それより上はすべて鏡に映った様子だというのです。
女性の後ろに見える白いテーブルと飲み物や
その上に見える観客たちの様子もすべてが鏡に映っている様子なのです。

 

考え…・思い…
確かに言われてみれば
そうだよな~”と思いますね。

メイドの後ろのテーブルや群集の構図は、
普通に考えたら違和感がありますしね。

でもそれ以上に謎なのが、
この女性の立ち位置と鏡像の位置関係なのです。

テーブルに置かれたビンの位置と鏡像の位置関係に対して
中央のメイドと鏡に映った後ろ姿のメイドの位置関係が合わないのです。

実はこの事はX線調査でも解明されていて、
調査では鏡像の位置はもう少し左側に描かれていたそうです。

それが修正を加えられ、
より右側に描かれたというのです。

あえて不自然を分かった上で、
女性の鏡像をずらして描いているのです。

 

??
なぜだと思います??
普通に考えれば鏡像はもう少し左側に描かれるのが常識で、
あえて遠近法や陰影を無視して描いている…

実はこれは眼に映った世界観よりも、
絵の構図”を重視しているからだそうです。

中央のメイドの女性の頭を頂点として、
三角形の構図を作り出す事で、
作品全体の安定感やバランスを優先して描いたと言われています。

 

ただ実際のところどんな意図で描かれたのか??
それは描いた本人
”エドゥアール・マネ”にしか分からない事ですが…

でもこれまでマネは三次元、
遠近法といった常識的な観方に囚われる事なく、
二次元で平面的な絵を描く傾向があっただけに、
マネは構図を重視して描いた可能性が高いと思うのです。

 

にかく…

考え…・思い…
マネの作品が名画となりえたのは、
伝統や常識に囚われず
独自の絵画観を貫いたからだと思うのです。

名画には画家の個性が現れているから、
何度観ても面白いんでしょうね!!

ぜひあなたも名画を見て、
画家の個性を感じ取ってみて下さい!!

 

※ここで扱っているイラストや作品画像はpublic domainなど掲載可能な素材を使用しています。

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