- 2023-1-14
- Impression (絵画展の感想)
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出光美術館で開催した「江戸絵画の華」展を観てきました。
前情報では伊藤若冲の作品ばかりに目が向きがちですが、実は他にも注目作品目白押し!前々から公式サイトの「出品リスト」を見る限り、”これは絶対に見ないといけないな!”そう思える展覧会でした。
今回は実際に観に行った私のレビューも交えながら、注目してほしい作品などを挙げていこうと思います。如何せん、作品の画像などがあまりないため、文章重視の内容になっています。気になった人は、ぜひ観に行ってほしいと思います。
【 江戸絵画の華 】開催概要 ・第1部「若冲と江戸絵画」 ・第2部「京都画壇と江戸琳派」 ・場所:出光美術館(東京都千代田区丸の内3-1-1)帝劇ビル9階になります。 |
さて、今回の展覧会は「江戸絵画の華」というタイトルで、第1部と2部に分かれての開催。出光美術館に渡ったプライス・コレクション約190点の内、80点ほどが展示に至ったわけです。しかも1部と2部では、ほぼ全作品が入れ替え展示になる様なので、これはもう両方見に行かないといけない内容だと思います。
当の私は両方行く予定でいますが…^^。
観に行って感じた私の感想・レビュー
第1部を見に行って感じた率直な意見ですが、私みたいな素人がいうのもなんだけれど、プライス氏は本当に絵の事を分かっている人なんだな~と。展示作品数が約40点ほどと少な目ですが、それでも実にイイ作品ばかりが揃っている!そういう印象だったからです。しかも面白い作品が本当に多いので、見に行けば気になる作品に出会える事間違いないと思います。
プライス・コレクションと言えば、若冲ばかりが挙げられてしまいますが、実はそれ以外の江戸絵画も本当に魅力に溢れていました。個人的には屏風の迫力には目を惹くばかりだったのですが、水墨画や浮世絵もイイもの揃いなので、ぜひ行って見る事をおススメします。
次では、”私が目を惹いた作品”と称し、見所を紹介しながらいくつかピックアップしてみました。ぜひ参考にしてもらえると幸いですね。
私が目を惹いた作品と見所は?
第1部「若冲と江戸絵画」を観に行った感想は、意外なほどイイな~^^と思える作品に多く出会えた感じでした。そして、ついつい図録も購入してしまった私ですが、改めて図録で見ても、イイ作品は良いものですね。
さて、第1部の見所作品では、実際に私が観に行き目を惹いた作品をいくつかピックアップしてみました。第2部については図録で気になった作品を注目作品として挙げてみました。簡単な鑑賞ポイントやコメントも付け加えているので、ぜひ参考にしてもらえると幸いですね。
【 第1部で目を惹いた作品 】…2023年1月7日~2月12日まで
・「孔雀図」岡本秋暉(おかもとしゅうき)、江戸時代(19世紀)
…孔雀を得意とした画家岡本秋暉の作品。孔雀の羽の描写が実に美しく、おそらくあなたも目を奪われると思います。
・「牡丹に唐獅子図屏風」水上景邨(みなかみけいそん)、江戸~明治時代(19~20世紀)
…”水上景邨”と言う画家は知りませんでしたが、絵を見た瞬間”琳派っぽいな!?”と。特に唐獅子の毛並みは必見です!
・「鳥獣花木図屏風」伊藤若冲、江戸時代(18世紀)
…今展の注目作品になっている若冲の作品。1隻で4万を超える升目は、一つ一つが様々な描き方をされているこだわり様!じっくりと観察する様に観ると、物凄い気の遠くなる手の込んだ技法なのが分かると思います。
・「酒呑童子図屏風」筆者不明、江戸時代(17世紀)
・「義経記図屏風」筆者不明、江戸時代(17世紀)
…上の2つの屏風は大画面でありながら、細かな描写も見もの!ぜひルーペを通して見てほしい作品です。
・「達磨遊女異装図」竹田春信、江戸時代(18世紀)
…達磨と遊女の衣装が入れ違いになって描かれているのが面白い点です。
・「雪中美人図」礒田湖龍斎(いそだこりゅうさい)、江戸時代(18世紀)
…白い女性の衣装と白い雪の描き方。同じ白でも様々な表現がされている作品。実は”裏彩色”という技法が広範囲で使用されているそうです。
【 第2部で気になる注目作品 】…2023年2月21日~3月26日
・「雪松図屏風」源琦、寛政4年(1792年)
…円山応挙の「雪松図屏風」を模写した作品だそうです。ぜひ応挙と源琦で見比べて見るのも面白いと思います。
・「松に鶴図屏風」森徹山、江戸時代(19世紀)
…画集を見て目を惹いたのが、松の描き方。本物を間近で観たい作品です。
・「虎図」円山応挙、天明5年(1785年)
…画面をはみ出す虎の描き方も斬新ですが、何よりも毛並みの描写はじっくりと観察したい逸品!上のチラシの表紙になっている作品です。
・「四季草花図・三十六歌仙図色紙貼交屏風」酒井抱一、江戸時代(19世紀)
・「四季草花図屏風」酒井道一、明治時代(19~20世紀)
・「十二か月花鳥図」酒井抱一、江戸時代(19世紀)
…酒井抱一と酒井道一の作品は、どれも琳派を象徴する様な作品です。”たらし込み”と言う技法が使用されている点からも、すぐに分かると思います。個人的に琳派は好きなジャンルで、技法や装飾性は必見だと思っています。屏風はある程度大画面で鑑賞できるだけに、技法がちゃんと味わえるのもそうですが、何よりも大画面ならではの迫力も見所!ぜひ、じっくりと観てほしいと思います。
見に行く時に、持参してほしい物!
図録を見渡しただけでも、注目作品が多い印象です。しかも屏風に至っては、細密な描写も結構あるので、近寄って観察するのも楽しみ方の1つだろうと思うのです。第1部を観に行って感じた事ですが、ルーペを持って鑑賞する人が結構いたくらいですから、それだけマクロ派の人にとっても楽しめる内容だと思っています。実際私もルーペを通して鑑賞しましたが、本当に”スゲ~!!”と発してしまうほどでした。ぜひ出光美術館で「江戸絵画の華」を観に行く際は、ルーペは持参する事をおススメします。
私なりの考察! …なぜプライス・コレクションが出光に!?
今回の「江戸絵画の華」展で公開される作品は、出光美術館が購入したジョー・プライス氏のコレクション約190点から構成されています。プライスさんのコレクションは現在約600点以上あると言われて、その内の約190点ですからそれなりの点数になります。これまで雑誌や記事で見ている印象ですが、プライスさんはコレクションに対してかなり愛着を持っている人だな~と。あるエピソードでは若冲の作品を見た時に涙を流した事もあったとか。それほどまでに作品に対して愛着をもっているのに、なぜ他人(出光美術館)に作品を渡したのだろう?って。ふと、疑問に思ったのでした。
ここからは私なりの考察になるので、参考に読んでみらえると幸いです。
実はプライスさんはもうかなりの年齢だそうです。生まれたのが1929年なので、すでに90歳を超えている計算になります。今回出光美術館にコレクションが渡った経緯には、自身の年齢を考慮し大事なコレクションを信頼できる機関や美術館に渡して、大切に保管管理してほしい。そんな願いがあったのでは?と思うわけです。
実際第1部に行って感じた事ですが、どの作品も実に保管状況がイイ!プライスさんは本当に大切に保管していたんだな~というのが感じられます。しかも若冲や他の画家もそうですが、あまり注目もされていなかった時期から、プライスさんは蒐集していた経緯を考えると、本当に好きで気に入ったから蒐集していたのだろうと思うのです。もちろん作品を見る”眼”も兼ね備えていたとは思いますが…。
作品を蒐集する目的は大きく分けて2つあるといわれていて、1つは投資として、2つ目は純粋に作品を気に入ったから。おそらくプライスさんは後者でしょうね。もちろん絵を見る目も肥えていただろうけど、気に入った作品を1点1点自分の眼で見て、そして購入し大切に保管していた。作品への愛情というか愛は相当なものだと思いませんか?そんな愛情をもって扱われていた作品ですから、これは見にかない理由はないと思うのです。
前情報では若冲ばかりが注目されていますが、実は他にも見所が多し言ったのはこういった理由もあるわけです。
「江戸絵画の華」展は1部と2部の両方で大きく展示作品が入れ替わります。若冲や琳派、応挙と見所作品も多いので、ぜひ両方に行ったほしいと思います。もちろん私は行きますけどね!!^^
※ここで扱っているイラストや作品画像はpublic domainなど掲載可能な素材を使用しています。
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