2人のリッピ ~フィリッポとフィリッピーノ

ボッティチェリ展のポストカード

2人のリッピとボッティチェリを比べて見ると…

 

どうしてもボッティチェリ展と言うだけあって、
ボッティチェリの作品ばかりに目が向かいがちです!

 

でもボッティチェリ以外にも
2人のリッピも興味深い作品を描いているのです。

 

ここではボッティチェリ展示していた作品を見ながら、
私なりに感想などを話していきます。

 

まずはボッティチェリの師匠

フィリッポ・リッピ”の作品から~

「玉座の聖母と天使、聖人たち」(1430年初頭)フィリッポ・リッピ

「玉座の聖母と天使、聖人たち」(1430年初頭)フィリッポ・リッピ
※出展:Web Gallery of Artより

…『王座の聖母と天使、聖人たち

 

フィリッポ・リッピはボッティチェリの師匠でした。
そんな事から構図や技術的な事は似ている部分が多いそうです。

似ているとは言われていても
でも違う点もあると思うのです。

 

考え…・思い…
…それは聖母の顔、表情が違う事です。

フィリッポ・リッピの聖母は丸い感じの顔
対してボッティチェリの聖母は面長の顔に見えます。

 

実は以前ラファエロの『大公の聖母』を見た時、
ちょっと面白いエピソードがありました。
ラファエロは若い時に母親を失った思い出があり、
聖母に自分の母親の面影を見ていたのだそうです。

画家によって聖母の顔や表情が違うのは、
それは自分の母親や特別な女性とダブらせていたのかも…。

実際はどうなんでしょうね~。

 

そしてお次は…

ボッティチェリの弟子だった”フィリッピーノ・リッピ”。

ボッティチェリ展のポストカード

…『』

これも聖母子の姿を描いた作品です。

実はボッティチェリも同じような絵を描いているんですが、
実に雰囲気というか似ているのです。

ボッティチェリ展のポストカード

この2つの作品を見て、どう思いますか??

 

でもでも解説ではこんな事が書いてありました。

ボッティチェリの絵は、”男らしい力強さ”がある。

対してフィリッピーノ・リッピは、”甘美さ”がある…。の様な事が書いていました。

と言われても実際に観ると思いますが、似ている感じです。明確に違いを説明してと言われても難しい…。

でも気になった点があるのです。

 

それが聖母とイエスの目線なのです。

 

考え…・思い…
どういう事かと言うと…
ボッティチェリの聖母子は互いの目線に力強さがあるのです。

まるで聖母子2人の強い信頼関係を表現したかったのかな~?

 

でもフィリピ―ノの聖母子の方は、
イエスが首をかしげる様な表情があるのです。
(子供っぽさがある感じなのです。)

なんというか、リアルな親子関係を描いている様に見えます。

だからなのかわかりませんが、
フィリッピーノの聖母には頭の輪っかがあまり強く描かれていないのです。

同じ様なテーマの絵だけれど、
雰囲気が違うのです。

 

考え…・思い…
こうやって作品を見てきて
1つ思ったことがあるのですが…

それはフィリッピーノ・リッピとボッティチェリは、

師弟関係だっただけに似ている部分が多いと思ったのです。

2人とも強い師弟関係でつながっていたのかもしれませんね。

それを裏付けるエピソードがあって、
それはボッティチェリはフィリッピーノの死によって、
筆を置いたともいわれているのです。
(描くことをやめたらしいのです。)

ボッティチェリはフィリッピーノの事を、

他の弟子以上に可愛がっていたのかもな~。

何だかこの2人には何だか深いものを感じます。

 

という風に、
今回は主要3人の画家が登場します。それぞれがボッティチェリと関係しているだけに、

それぞれを見比ながら見るのも楽しいですね!!

 

そして
他にも所として、

”トント”という丸い額も注目です!

「受胎告知の大天使ガブリエル」(1483-84年頃)フィリッピーノ・リッピ

「受胎告知の大天使ガブリエル」(1483-84年頃)フィリッピーノ・リッピ
※出展:Web Gallery of Artより

「受胎告知の聖母マリア」(1483-84年頃)フィリッピーノ・リッピ

「受胎告知の聖母マリア」(1483-84年頃)フィリッピーノ・リッピ
※出展:Web Gallery of Artより

 

今ではあまり馴染みがない形の額ですが、
当時は結構流行っていたものだそうです。

そういう意味でも見れる事自体が貴重だと思います。

 

それに板に書かれたテンペラも見所です!

今では紙のキャンバスに描かれるのが普通ですが、
当時では板に描かれていたのです。特にオモシロいのが

丸く盛り上がっている板に描かれたテンペラ画。

これは板が盛り上がっているだけに、
妙にリアルな立体感があります。
それに見る角度によって雰囲気が変わってくるです。

 

こういうし写真ではまず分からない、本物でしか味わえない発見があります!

 

考え…・思い…
今回は作品以外にも色々と見所満載の
『ボッティチェリ展』だったと思います。

浮き出るようなリアルさ、立体感。
板特有の素材感と味わい。
それに宗教画だけに独特の雰囲気~。

・・・

『ボッティチェリ展』東京都美術館にて

こういう感覚的なものは是非足を運んで見てほしいですね!!

 

やっぱり実際に足を運んで本物を見てほしいですね。

 

 

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