”聖母子”の絵画をより深く愉しむためには…

イエス・キリスト降臨の物語

 

西洋絵画で描かれる事が多い”聖母子”。

 

ルネサンス期をはじめとして、
ゴシック、バロック期と西洋絵画の歴史の中で
聖母子をテーマにした宗教画は頻繁に描かれていました。

 

考え…・思い…
とはいえ日本人からすると
宗教画はちょっと抵抗があるかもしれませんね。

でも西洋絵画を愉しむには
どうしても知ってほしいテーマになるわけです。

というか宗教画はその背景が分かってくると、
実はかなり魅力溢れる奥深いジャンルでもあるのです!!

 

今回は宗教画の中で特に重要な”聖母子”について
初めての人でも分かるよう話したいと思います。

 

・・・

まずはこの名画を見てみて下さい!!

「大公の聖母」(1505‐1506年頃)ラファエロ・サンティ

「大公の聖母」(1505‐1506年頃)ラファエロ・サンティ

ラファエロ・サンティ大公の聖母(1505‐1506年頃)

これはルネサンス期の3大巨匠の一人”ラファエロ・サンティ”の傑作。

 

絵を見て感動!
”聖母子”は多くの画家が描いているテーマで、
もちろん画家それぞれの個性が出ています。

その中でこの”聖母子”の絵は、
私の中でトップ3に入る名画だと思っています。

実は初めてこの絵を見た時の事ですが、
衝撃が走るくらいものすごい衝撃的だったのです。

聖母マリアの子(イエス)を見る優しい表情。
でもそれと同時に聖母の悲しそうな目…。
イエスに降りかかるだろう将来の苦難を案じているのかもしれないけど、
そんな子を想う母の微妙な心境が表情に現れていると思ったのです。

まさに名画にふさわしいと思いませんか!?

もちろんこの「大公の聖母」を深く味わうには、
まず聖母の生い立ちや背景を知った方がいいと思うのです。

 

 

聖母マリアの生い立ちや背景について

 

いきなりキリスト教や聖書の話だと
ちょっと抵抗があるかもしれないので、
ここでは映画の内容を交えながら見ていきたいと思います。

出来れば映画を観るのが手っ取り早いと思います。

聖母マリアのストーリーを映画化したものに
『マリア(原題:The Nativity Story)』があります。

・・・

マリア(原題:The Nativity Story)
     

これはイエス・キリストの誕生と、聖母マリアと夫ヨセフとの愛の絆を描いた映画です。

ストーリー
当時エルサレムのヘロデ大王が権力を握る時代。

話はそのヘロデ王の悪政に苦しめられていたナザレという村から始まります。
(※ナザレは今のイスラエルに位置する実在都市です。)

そんなナザレ村に一人の女性マリアが住んでいました。
(※のちに聖母マリアと言われる女性です。)

ある日マリアは天使ガブリエルから神の子を身ごもると知らされます。

しかしその頃マリアはヨセフとの婚約が決まっていた頃で、
性交渉もなしに子供を授かるという事にマリアは戸惑ってしまうのでした。

それでもマリアはそんな運命を受け入れる事にしたのでした。
(※処女懐胎と言います。)

神の子を身ごもる運命を受け入れたマリアですが、
しかし夫となるヨセフやその村人たちは
マリアの事をまったく信じようとしませんでした。

そんなある時ヨセフは夢の中で
天使ガブリエルからアリアの事が真実だとお告げを聞くのでした。

このお告げを聞いたヨセフはマリアを守ると心に誓うのでした。

でも当時はヘロデ大王が権力を握る時代。
救世主誕生の予言を知ったヘロデ大王は、
自分の身を脅かすのではないかと怯えるのでした。
そして東方の三博士に救世主になるだろう子供の居場所を探る事を命じるのです。

共に生きると誓ったマリアとヨセフは、
ヘロデ大王の追手を逃れるべくヨセフの故郷ベツレヘムを目指します。

キリスト降誕のストーリー
ベツレヘムにたどり着いたヨセフとマリアは、

ここで神の子イエスを出産するのでした。

そんなイエス誕生のその時…
空に見た事のない星が輝いたといいます。
(「ベツレヘムの星」と言われています。)

キリスト降誕のストーリー
この奇跡ともいえる光を目撃した三博士は、

自分たちの間違いに気づきヘロデ大王の元へ戻らない事を決めます。

救世主誕生に怯えるヘロデ王は、
ついに子供の虐殺を命じるのでした。

そしてその追手はマリアとヨセフの近くまで迫ってくるのでした…。

 

考え…・思い…
この映画「マリア」の面白い点は
イエス・キリストの降誕の事だけじゃなく、
当時の時代背景までもが把握できる事ですね!

この話からも分かる通り、
当時の王はイエスの誕生を快く思っていなかったのです。
つまりイエスの存在を排除しようといていた。

ここまで分かると、
将来降りかかるだろうイエスの苦難が想像できますよね。

親としては子供の将来を案じるのは当然の事!

こういった当時の時代背景が分かると、また”聖母子”の絵画がより深く愉しめると思います。

 

 

様々な画家が描いた”聖母子”

 

画家によって聖母子の絵は、まさに個性溢れるものばかり!

これも愉しみ方の一つではあると思っています。

「聖母子」(1440年頃)フィリッポ・リッピ

「聖母子」(1440年頃)フィリッポ・リッピ

フィリッポ・リッピ聖母子(1440年頃)

これはイタリアのルネサンス中期に活躍した画家”フィリッポ・リッピ”の作品です。

フィリッポ・リッピはルネサンスのフィレンツェ派を代表す画家。
フィレンツェ派はきっちりとした線と正確な形を表現しようとした点が特徴と言われています。

同じ聖母子でもラファエロが描くものとは、
また違った印象だと思いませんか!?

余談ですがサンドロ・ボッティチェッリは
このフィリッポ・リッピの弟子だったと言います。

 

「聖母子」(1478年)フィリッピーノ・リッピ

「聖母子」(1478年)フィリッピーノ・リッピ

フィリッピーノ・リッピ聖母子(1478年)

これはフィリッポ・リッピの息子フィリッピーノ・リッピの作品。

同じ

 

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