フェルメールの名画「牛乳を注ぐ女」 …解説と鑑賞のポイント!

Meid Cook

 

ヨハネス・フェルメールの代表作牛乳を注ぐ女(アムステルダム国立美術館所蔵)は、一見するとミルクを注いでいるメイドの姿を描いた作品にしか見えません。でもフェルメール全作品37点の中で、上から2~3番目に位置する人気があります。

なぜこれほどまでに魅力があるのだろう??

 

構図や技法、フェルメールブルーが使用されているといった理由はあると思います。もちろんこの1枚の絵に様々な要素が散りばめられているのは確かです。

 

「牛乳を注ぐ女」(1658-1660年)ヨハネス・フェルメール

「牛乳を注ぐ女」(1658-1660年)ヨハネス・フェルメール

ヨハネス・フェルメール牛乳を注ぐ女(1658-1660年)
・17.9インチ×16インチ(45.5 cm × 41 cm)、カンヴァスに油彩、・アムステルダム国立美術館所蔵(オランダ)

現在アムステルダム国立美術館に所蔵されている「牛乳を注ぐ女」ですが、以前日本でも東京、大阪に来日した事がありました。もちろん私も観に行きましたが、本物を間近で見れるってやっぱりイイですね!特に光がキラキラと反射している様子は個人的に絶賛です!

 

 

「牛乳を注ぐ女」の解説と鑑賞のポイント!

鑑賞のポイント

さて、フェルメールの代表作「牛乳を注ぐ女」には、実に様々な要素が凝縮されています。先ほどちょっと触れましたが、光の反射の描き方も見所です!そしてフェルメール作品の中で、この「牛乳を注ぐ女」が他と異色な点も見逃せないのです。

 

・魅力的な理由1…描かれているモデルがメイド

「牛乳を注ぐ女(detail)」(1658-1660年)ヨハネス・フェルメール

「牛乳を注ぐ女(detail)」(1658-1660年)ヨハネス・フェルメール

 

現在分かっている限りでフェルメール作品は40点にも満たないとされています。画家として残した作品数は少ない方だと思うのですが、それでもここまで人気になっているわけですから、作品の数は関係ないって事でしょうね。さてそんなフェルメールの作品を一通り見ていくと、この「牛乳を注ぐ女」のモデルが他とちょっと違うのが分かると思います。

フェルメール作品の多くは高貴な女性や学者など、比較的地位の高い人物を描く傾向にありました。でも「牛乳を注ぐ女」について言えば全くの逆です!当時では地位が低いとされていたメイド(housekeeper)が絵のモデルになっているのです。なぜわざわざメイドを描いたのだろう??ちょっと疑問に思いませんか??

 

 

・魅力的な理由2…牛乳を注いでる周辺の描写がポイント!

「牛乳を注ぐ女(detail)」(1658-1660年)ヨハネス・フェルメール

「牛乳を注ぐ女(detail)」(1658-1660年)ヨハネス・フェルメール

 

見ての通りメイドが熱心に牛乳を注ぎ、調理している様子を描いています。まずここでのポイントはこの絵から当時の食生活が見て取れる点です!

当時オランダではパンが主食として食べられていました。容器の周辺に描かれているパンからもその様子が分かりますよね。当時古くなったパンはちぎって、そして牛乳を注いで煮て食べていたそうです。乾燥して硬くなり食べられなくなったパンを美味しく食べる工夫がここに描かれているわけです。

 

ポイント!
フェルメールの光の技法がポイント!

ここでフェルメールの卓越した技法を見てみようと思います。牛乳を注いでいる容器の手前にある籠やパン、壺に注目!射し込んでいる陽の光が反射してパンや籠(かご)が白く光っているのが分かりますよね。

この部分は”ポワンティエ”と呼ばれる技法で描かれています。
※ポワンティエ(pointillé)”…光が反射して輝く部分やハイライト部分を明るい絵の具の点で表現する手法のこと。点綴法(てんていほう)とも言います。

光を点で表現する事でより光の反射が強調され、キラキラした印象を与えているのです。ハイライトを点で表現する事で、よりリアルさが増しているのです。

 

そしてもう1つはフェルメールではお馴染みの色!メイドの服が”フェルメールブルー”で描かれています。当時ではかなり高価だったラピスラズリをフェルメールはふんだんに使っていたと言います。(一体いくらくらいだったんでしょうね!?)

他の作品でも目にしますが、フェルメールブルーの紫みを帯びた深みのある感じといい、主張しすぎない独特な鮮やかな感じといい…。実に不思議な魅力を感じさせる色ですね。フェルメールが好んで使っていたのも何だか分かる気がします。

 

 

・魅力的な理由3…周辺に描かれている小物も要チェック!

「牛乳を注ぐ女(detail)」(1658-1660年)ヨハネス・フェルメール

「牛乳を注ぐ女(detail)」(1658-1660年)ヨハネス・フェルメール

 

フェルメールの作品には様々な道具や小物が随所に描かれるのも魅力の1つ!もちろんこの「牛乳を注ぐ女」にもあちこちに小道具が描かれています。例えば右下に見える四角い箱の様な物…。これは足温器と呼ばれる道具です。足温器と書くだけにおそらく足を温める道具だろうと思います。もちろん当時は今の様に電気はないので一体どんな構造になっているのか気になる点ですね。

 

「牛乳を注ぐ女(detail)」(1658-1660年)ヨハネス・フェルメール

「牛乳を注ぐ女(detail)」(1658-1660年)ヨハネス・フェルメール

 

そしてこの足温器の背後に見えるタイルにも注目してほしい!!実はタイルにはキューピッドや長い棒を持つ男性が描かれているそうです。元々は洗濯かごが描かれていたのに、それが消されてしまったそうです。随所に描かれた様々な小道具や小ネタもフェルメール作品の見所!探してみるともっと見つかりそうな感じがしませんか?

ボーと眺めるのもイイ…。

でも私はじっくりと観察した方がよりフェルメール作品を愉しめると思うのです。

 

 

・魅力的な理由4…実は名画「牛乳を注ぐ女」は嘘をついている?

 「名画は嘘をつく」

以前読んだ本名画は嘘をつくから、
フェルメールの絵画を斜め上から見るのも面白い!

するとこんな解釈も出来るのです。

それは硬くなったパンにミルクを注いで、
食材を大切に調理している様子から
メイドの熱心に勤しむ姿が描かれているだけではないとの事。

当時メイドの監視監督していたのは、
その家の主婦(女主人)だったそうです。
このメイドの素晴らしい家事ぶりを描くことで、
その主人でもある主婦の”美徳”を表現しているというのです。

 

 考え…・思い…
ん~、なるほどな~”とは思うけれど、
当時の生活状況や文化を知らないと読み取れないですよね!!

こういった観方も知っていると、
より絵の魅力って増してくると思います。

フェルメールの技法や描かれている物から
当時の生活状況が見えるのも面白いですが、
1枚の絵から様々な解釈をするのも愉しいと思います。

 

ぜひあなたも思う存分観察し、
そして愉しんで欲しいですね!!

 

※ここで扱っているイラストや作品画像はpublic domainなど掲載可能な素材を使用しています。

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