ヨハネス・フェルメールの「牛乳を注ぐ女」 …解説と鑑賞のポイント!

Meid Cook

 

ミルクを注ぐメイドの姿を描いた作品「牛乳を注ぐ女」は、
フェルメールの作品の中でも代表作の一つに挙げられると思います。

それはこの1枚の絵には
様々な要素が散りばめられているからだと思うのです。

 

・・・

「牛乳を注ぐ女」(1658-1660年)ヨハネス・フェルメール

「牛乳を注ぐ女」(1658-1660年)ヨハネス・フェルメール

ヨハネス・フェルメール牛乳を注ぐ女(1658-1660年)
・17.9インチ×16インチ(45.5 cm × 41 cm)、カンヴァスに油彩、
・アムステルダム国立美術館所蔵(オランダ)
※この作品は2019年に「フェルメール展」で公開されました。

さてこの「牛乳を注ぐ女」についてですが、
フェルメールの作品の中ではちょっと異質な1枚と言われています。

一通りフェルメールの作品を見た人なら気が付くかもしれませんが、
まず描かれた絵のモデルからもそれは分かります。

 

今回はこの「牛乳を注ぐ女」の細部に迫りながら、
その解説なり見所について話していこうと思います。

 

 

「牛乳を注ぐ女」の解説と鑑賞のポイント!

鑑賞のポイント

それぞれ解説を交えながら、
見所やポイントについて見ていこうと思います。

 

1、描かれたモデルについて…

「牛乳を注ぐ女(detail)」(1658-1660年)ヨハネス・フェルメール

「牛乳を注ぐ女(detail)」(1658-1660年)ヨハネス・フェルメール

 

現在分かっている限りでは
フェルメールの作品は40点にも満たないとされています。

画家として残した作品数は少ない方だと思うのですが、
そんなフェルメールの作品を一通り見ていくと、
この「牛乳を注ぐ女」のモデルからして他とちょっと違うのが分かると思います。

フェルメールは学者や高貴な女性だったりと、
比較的地位の高い人物を描く傾向にありました。

でもこの作品について言えば全くの逆なのです!
当時では地位が低いとされているメイドを描いています。

確かに他の絵にもメイドが描かれているのもありますが、
単体で描かれているのは実に珍しいと言われています。

 

2、牛乳周辺の描写にも注目すると…

「牛乳を注ぐ女(detail)」(1658-1660年)ヨハネス・フェルメール

「牛乳を注ぐ女(detail)」(1658-1660年)ヨハネス・フェルメール

 

見ての通りこの絵はメイドが熱心に調理している様子を描いています。
まず見所はこの絵から当時の食生活が見て取れる点です!

この絵ではメイドがパンに牛乳を注いでいるのが分かると思います。
当時オランダではパンが主食として食べられていたのですが、
古くなったパンは牛乳を注いで煮て食べていたそうです。

 

ポイント!
ここで見てほしいポイント!

ここでフェルメールの様々な技法を見る事が出来ます!
ぜひ凝視して観てほしいのが
射し込んでくる陽の光が当たっているパンや籠(かご)の部分です!

この部分は”ポワンティエ”と呼ばれる技法で描かれています。

”ポワンティエ(pointillé)”
…”点綴法(てんていほう)”とも言います。

光が反射して輝く部分やハイライト部分を明るい絵の具の点で表現する手法のこと。

光を点で表現する事でより光の反射が強調され、
キラキラした印象を与える事ができるのです。

もちろんフェルメールの写実的な描写も見所で、
主役となる人物や物は精密に描いていたり、
逆に背景となる部分はあっさりと描いているのが特徴。

これによって遠近感を表現していたわけですが、
絶妙な技法の使い分けもフェルメールの凄さだと思います。

 

そしてもう1つ見てほしい点はメイドの服の色!
ここにはフェルメールが好んで使っていた”青色
つまり”フェルメールブルー”が使われているのが分かると思います。

当時ではかなり高価だったラピスラズリを
フェルメールはふんだんに使っていたと言います。
(一体いくらくらいだったんでしょうね!?)

 

フェルメールブルーは他の作品でも目にしますが、
この紫みを帯びた深みのある感じといい、
変に主張しすぎない独特な鮮やかな感じといい、
何度観ても不思議な魅力を感じませんか!?

フェルメールが好んで使っていたのも何だか分かる気がします。

他には代表作「真珠の耳飾りの少女」や
「地理学者」にもこのフェルメールブルーは使われています。

 

3、描かれている小物にも注目!…

「牛乳を注ぐ女(detail)」(1658-1660年)ヨハネス・フェルメール

「牛乳を注ぐ女(detail)」(1658-1660年)ヨハネス・フェルメール

フェルメールの作品には
様々な道具や小物が随所に描かれるのも魅力の1つ!

もちろんこの「牛乳を注ぐ女」にも
こんな気になる小道具が描かれています。

例えば右下に見える四角い箱の様な物…
これは足温器と呼ばれる道具です。

足温器と書くだけに
おそらく足を温める道具だろうと思います。
もちろん当時は今の様に電気はないので
一体どんな構造になっているのか気になる点ですね。

 

「牛乳を注ぐ女(detail)」(1658-1660年)ヨハネス・フェルメール

「牛乳を注ぐ女(detail)」(1658-1660年)ヨハネス・フェルメール

そしてこの足温器の背後に見えるタイルにも注目してほしい!!

このタイルにはキューピッドや長い棒を持つ男性が描かれているそうです。

実は元々は洗濯かごが描かれていたそうですが、
それが消されてしまったそうです。

こんな風にフェルメールの作品は、
色々な小道具や小ネタが随所に描かれている点も興味深いですね!!

これもフェルメールの絵の面白さだと思います。

ボーと眺めるのもイイですが、
じっくりと観察する様に見るのが
フェルメールの絵画の最高の愉しみ方かもしれませんね!!

 

 

そして余談…

 「名画は嘘をつく」

以前読んだ本名画は嘘をつくから、
フェルメールの絵画を斜め上から見るのも面白い!

するとこんな解釈も出来るのです。

それは硬くなったパンにミルクを注いで、
食材を大切に調理している様子から
メイドの熱心に勤しむ姿が描かれているだけではないとの事。

当時メイドの監視監督していたのは、
その家の主婦(女主人)だったそうです。
このメイドの素晴らしい家事ぶりを描くことで、
その主人でもある主婦の”美徳”を表現しているというのです。

 

 考え…・思い…
ん~、なるほどな~”とは思うけれど、
当時の生活状況や文化を知らないと読み取れないですよね!!

こういった観方も知っていると、
より絵の魅力って増してくると思います。

フェルメールの技法や描かれている物から
当時の生活状況が見えるのも面白いですが、
1枚の絵から様々な解釈をするのも愉しいと思います。

 

ぜひあなたも思う存分観察し、
そして愉しんで欲しいですね!!

 

※ここで扱っているイラストや作品画像はpublic domainなど掲載可能な素材を使用しています。

  • このエントリーをはてなブックマークに追加

関連記事

コメント

  1. この記事へのコメントはありません。

  1. この記事へのトラックバックはありません。

Category

2021年10月
 123
45678910
11121314151617
18192021222324
25262728293031
ページ上部へ戻る