- 2025-2-17
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イタリアの画家”モレット・ダ・ブレシア”はご存知ですか!?
本名は”アレッサンドロ・ボンヴィチーノ”で、ラファエロやミケランジェロなど3大巨匠が活躍した盛期ルネサンス期の画家です。
今回は、画家”モレット・ダ・ブレシア”について話していこうと思います。
【 目次 】 |
イタリアの画家”モレット・ダ・ブレシア”について解説!
本名は”アレッサンドロ・ボンヴィチーノ”ですが、一般的には”モレット・ダ・ブレシア”の名で知られているようですね。
活躍していた時代は、ちょうどラファエロやミケランジェロの盛期ルネサンス期に当たります。
日本ではあまり知られていない画家だと思います。
というか私も名を知っているくらいなので、詳しくは知らなかったのですが…。今回”ある記事”をきっかけに深く知るに至ったわけですが、調べてみると結構凄い画家なのが分かってきたのです。
まずは1枚の作品から見てみようと思います。

「聖母戴冠」(1534年)モレット・ダ・ブレシア
・298×198cm、カンヴァスに油彩、サンティ・ナザーロ・エ・チェルソ聖堂(ブレシア)
作品からも分かると思いますが、モレット・ダ・ブレシアは宗教画で名を馳せた画家です。
モレットは若くして一人前の画家として認められ、早くから教会や聖堂からの依頼で祭壇画を描いていきます。
特に地元ブレシアでの活躍が主で、作品の多くもブレシア周辺に所蔵されている様です。日本では見る機会がないのも当然ですね。
参考として『新潮 世界美術辞典』の解説を挙げてみたいと思います。
モレット・ダ・ブレシア(Moretto da Brescia)
1498年頃ー1554年、イタリアの画家。ブレシア近郊に生れ、ブレシアで没。フェッラモーラ(Ferramola)に学んだが、その作風や暖かな色彩はヴェネツィア派と関連づけられる。またラファエロにも心酔し、とくに肖像画にすぐれていた。代表作は『天使に目覚まされるエリア』など。
・出典元:『新潮 世界美術辞典』
ここで、気になる一文があります。
”暖かな色彩はヴェネツィア派と関連づけられる。またラファエロにも心酔…”
私的には”暖かな色彩”と”ラファエロ”にポイントを置きたいですね。
確かに作品を観ていくと分かりますが、ラファエロに通じる感じがします。
自然な感じの人物表現に、柔らかで暖かみのある色彩観。
伝統的で古典的な絵を描いているにも関わらず、変に硬すぎないのです。

「パドヴァのアントニウスと聖家族」(1522-1526年頃)モレット・ダ・ブレシア
・69×90cm、木板に油彩、個人蔵
私的な解釈で言うなら、”穏やかで静けさのある色彩観”と言った感じでしょうか。
これは実際に作品を観るに限ると思います。
さて、今回モレットを調べるに至ったのは、ある記事がきっかけだったのです。
イタリア北部にある都市ブレシアで開催された展覧会において、鑑賞していた女性が転倒したことで画家モレットの作品が損傷。作品の右下部分が破れてしまいました。
事故発生後に損傷を確認。その結果、損害額は数千ユーロに上ると推定された。
偶然発見したネット記事ですが、私的に妙に目を惹く内容だったのです。
アート関連の記事を目にした途端、なぜか居ても立っても居られなかった。そして、本能的に調べてしまった!
こればっかりは”芸術好きの性”というものでしょうか。
でもこの記事がきっかけで画家”モレット”を深く知る事に繋がったわけですし、きっかけは大事!だな~と思いますね。
という流れで、次ではモレットの代表作をいくつか見ていこうと思います。
画家モレットの代表作をいくつか見ていきましょう!
先ほどもちょっと触れましたが、モレットは宗教画で名を馳せた画家でした。
他には肖像画なども残していますが、代表作の多くは教会などの祭壇画が多かったようです。
さすがに日本ではなかなかお目にかかれないのが残念ですが、近い将来日本で展示される機会があれば逃したくないですね。^^
それでは、まず挙げたい作品が…

「パドヴァの聖ユスティナと寄進者」(1530年頃)モレット・ダ・ブレシア
・200×139cm、木板に油彩、ウィーン美術史美術館所蔵
モレットを語る上で、「パドヴァの聖ユスティナと寄進者」は外せないでしょう。
一時、”ラファエロに帰属”との解釈もあったそうで、画風的にラファエロにも通じる部分がある。それからヴェネツィアの影響も見て取れるとも言われる作品です。
ある意味、モレット・ダ・ブレシアを凝縮した作品とも言えるかもしれませんね。

「キリストの哀悼」(1526-1530年頃)モレット・ダ・ブレシア
・175.8×98.5cm、木板に油彩、ワシントン・ナショナル・ギャラリー所蔵
宗教画でもよく描かれる題材「キリストの哀悼」です。
ちなみにキリストの右に居るのが使徒ヨハネで、左の女性が聖母マリア。そして足元で嘆き悲しんでいる女性がマグダラのマリアです。

「聖母子と聖ニコラウス」(1539年)モレット・ダ・ブレシア
・245×192cm、カンヴァスに油彩、トジオ・マルティネンゴ美術館所蔵(ブレシア)

「天使と聖ロクス」(1545年頃)モレット・ダ・ブレシア
・227×151cm、カンヴァスに油彩、ブダペスト国立西洋美術館所蔵
聖ロクスはモンペリエ出身で、一般的には伝染病の守護聖人と言われている聖人です。
よくパンをくわえた犬と共に描かれる場合が多いので、これが人物を見分けるポイントになると思います。

「聖母子と4人の教会博士」(1540-1550年頃)モレット・ダ・ブレシア
・290.4×195.8cm、カンヴァスに油彩、シュテーデル美術館
描かれている人物を左から挙げると…
Saint Ambrose(聖アンブロシウス) 、 Gregory the Great(聖グレゴリウス)、Saint Jerome(聖ヒエロニムス)。
そして一番右がAugustine of Hippo(ヒッポの聖アウグスティヌス)で、カトリック教会で最も影響力の強い神学者と言われた人物です。

「男性の肖像」(1526年)モレット・ダ・ブレシア
・201×92.2cm、カンヴァスに油彩、ロンドン・ナショナル・ギャラリー所蔵
そしてモレットは肖像画も描いていて、特に代表的な作品は上の「男性の肖像」でしょう。
現在の解釈では、歴史上最初の等身大の肖像画と言われていて作品です。

「フォルトゥナート・マルティネンゴ・チェザレスコの肖像」(1542年頃)モレット・ダ・ブレシア
・114×94.4cm、カンヴァスに油彩、ロンドン・ナショナル・ギャラリー所蔵
こうやって作品を見ていくと、技量的にも巨匠と呼ぶに間違いない画家なのが分かると思います。
日本ではなかなかモレットの作品を見れないですが、もし見れる機会があったら逃したくないですよね。
というわけで、その日のためにも今回の記事を参考にしてもらえると幸いですね。
※ここで扱っているイラストや作品画像はpublic domainなど掲載可能な素材を使用しています。
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