- 2025-2-16
- Enjoy This (観てほしい絵画展)
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一般的に”アトラス(Atlas)”というと、地図帳を思い浮かべると思います。
実はギリシア神話に登場する神”アトラス”が由来となっているのは知っていますか!?
『大阪・関西万博』のイタリアパビリオンで展示予定にもなっているだけに、この機会に私なりに解説しながら関連する作品を観ていこうと思います。
【 目次 】 |
天空を支える神”アトラス(Atlas)”について解説!
”アトラス(Atlas)”というと、一般的に地図帳で知られる名だと思います。
でも実は、ギリシア神話に登場する神”アトラス”が由来なのはご存知ですか!?
天空(地球儀?)を支える巨人の姿で描かれる事が多く、一見した限りでは力持ちの象徴とも見て取れる。まるで縁の下の力持ちと言った感じでしょうか。
でも、本来の意味はちょっと違ったりします。
世界の西の果てで、天空を背負う罪を科せられている姿が描かれているのです。
ティタノマキア…
ギリシア神話で知られる全知全能の神”ゼウス”率いるオリュンポスの神々と、クロノス率いるティターン神族との戦い”ティタノマキア”。この戦いに勝利したゼウスは世界の支配者になります。
対してアトラスはティターン神族に味方していた事で、天空を背負う罪を科せられてしまいます。
英雄ヘーラクレースと黄金のリンゴ…
その後、黄金のリンゴを取りに英雄ヘーラクレースがやって来ます。
アトラスは天空を支える罪から逃れたいと、代わりに自身が取りに行くと申し出ます。こうしてヘーラクレースは一時の間、天空を支える事になったのでした。
アトラスは黄金のリンゴを持ってきますが、再び天空を支えるのを嫌がり、このままリンゴをミュケーナイまで届けると提案。でもヘーラクレースはこれが企みだと気づき、逆にアトラスを騙します。アトラスは以降もアトラスは天空を支える罪を科される羽目となったのでした。
その後の神話…
メドゥーサを討伐したペルセウスは、道中アトラスの元を訪れます。
ペルセウスはメドゥーサの首をアトラスに向け、アトラスは石と化したのでした。
これが名残として、後にアトラス山脈になったと言われています。

「石と化したアトラス(『ペルセウス連作』より)」(1878年)エドワード・バーン=ジョーンズ
・150.2×190.2cm、水彩、サウサンプトン市立美術館所蔵
実はこれには諸説あり、天空を支える罪に耐えかねたアトラスに頼まれ、そしてペルセウスがメドゥーサの首でアトラスは石に変えたとも。
アトラース(Atlas)
ギリシア神話の神。巨人族のイーアペトス(Iapetos)とオーケアノス(Okeanos)の娘クリュメネー(Klymene)の子、プロメーテウスの兄弟。地の西端に立ち、天を支えている。その近くには、黄金のりんごが実るヘスペリデスの園があり、その身を取りにきたヘーラクレースは、アトラースに代わって、一時天を支える。全460年頃のオリュンピアのゼウス神殿メトープ浮彫以来、この物語は繰返し美術に登場してきました。~
・出典元『新潮 世界美術辞典』より
ギリシア神話ですから、美術でも度々作品にもなっています。
次では、その一部を見ていきましょう。
関連作品を観ていきましょう!
”アトラス”はギリシア神話に登場する神で、美術でも度々作品にもなっています。
一般的には天空(地球儀?)を支える姿で描かれる事が多いです。

「アトラス」(1645-1646年頃)グエルチーノ
・カンヴァスに油彩、バルディーニ美術館所蔵(フィレンツェ)

・etching by giovanni battista falda、1670年頃、個人蔵
様々な神が描かれる美術作品において、人物を特定する一つのキーワードにもなると思います。

「珍品が飾られている部屋」(1712年)ヤン・ファン・デル・ハイデン
・75×63.5cm、カンヴァスに油彩、ブダペスト国立美術館所蔵
ところで『大阪・関西万博』のイタリアパビリオンで、彫刻「ファルネーゼのアトラス」像が展示予定になっているのはご存知ですか!?
西暦150年頃に制作された、高さ約2メートルで重さ約2トンという大理石の彫刻です。
日本では初めての公開だそうです。
『万博』は複数の国が参加する教育を目的とする催しです。
一般的に科学や技術の披露の場というイメージが強いですが、意外と芸術作品が展示される場でもあるわけです。
現在”アトラス”は様々な場面や物にも使われています。地図帳や車、ゲームなど”アトラス”という名を目にする度に、今回の話を思い返すのもイイかと思います。
※ここで扱っているイラストや作品画像はpublic domainなど掲載可能な素材を使用しています。
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