- 2025-12-13
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今回は『ヨハネの黙示録』に記されている、黙示録の四騎士について解説していきます。
一般的に騎士と言えば、戦う勇敢な戦士といったヒーロー的なイメージがあると思います。
でも『黙示録』で登場する四騎士は、”罰の執行者”という意味合いが強い。
もちろん解釈は様々ありますが、今回はアートを通して”黙示録の四騎士”を見ていこうと思います。
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【 目次 】 ・白い馬に乗る第一の騎士”征服者” |
『ヨハネの黙示録』に記されている四騎士について

「黙示録の四騎士」(1796年)ベンジャミン・ウエスト
・カンヴァスに油彩、デトロイト美術館所蔵
これはベンジャミン・ウエスト(Benjamin West)の「黙示録の四騎士」という作品。
一般的に騎士は勇敢な戦士というイメージがあるかもしれませんが、絵を観て分かるとおり「黙示録の四騎士」はその真逆的な存在です。
解釈は様々ですが、天罰の執行者、もしくは未来に訪れるだろう災難を意味するとされています。
どちらにせよ、僕らのイメージする騎士とは違った存在なわけです。

「四人の騎手『黙示録』より」(1497-98年頃)アルブレヒト・デューラー
・木版画、39.6×27.9cm (※Public Domain画像)
「黙示録の四騎士」で代表的な作品と言えば、”アルブレヒト・デューラー”の木版画になるでしょうか。
黒だけの線で表現されていながら、躍動感があり迫力のある構図は圧巻!!
これは一見の価値ありの傑作だと思っています。
もちろん色が付けられていたらまた違った雰囲気を醸し出すのだろうけど、逆に白黒だけだからこそ創造力も湧いてしまう。
これは版画のオモシロさの一つではないでしょうか。
黙示録(Apocalypse)
〔5〕初めに4つの封印を解いた時、そこに「黙示録の四騎士」が現われた。
(1)1人の天使に冠を授けられた「征服者」は手に弓を持ち、白い馬に跨る。(2「戦争」は剣を手にして赤い馬に乗る。(3)「飢饉」は天秤を手に黒い馬に乗る。(4)「死」は青白い馬に乗り、それにぴったりとハデス(黄泉)が従っている。
・出典元:『西洋美術解読事典』より、一部抜粋
解説からも、四騎士は戦争や飢饉、死を意味しているのが分かると思います。

「黙示録の四騎士」(1887年)ヴィクトル・ヴァスネツォフ
・72×136cm、カンヴァスに油彩
これはヴィクトル・ヴァスネツォフの作品です。
1848~1926年、ロシア出身の主に歴史画や神話画で名を馳せた画家でした。
それでは、アートを通して黙示録の四騎士を見ていこうと思います。
白い馬に乗る第一の騎士”征服者”

「白い馬に跨る騎士(黙示録の四騎士)」(1874-1883年頃)ジョージ・フレデリック・ワッツ
・66.5×53.4cm、カンヴァスに油彩、ウォーカー・アート・ギャラリー所蔵
まずは白い馬に跨る騎士からの説明になります。
この騎士は手に弓を持っている姿で描かれ、”征服(もしくは支配)”を意味するとされています。
上はジョージ・フレデリック・ワッツ(George Frederick Watts)による作品です。
彼の描く作品は非常に神秘的で、感情を表現しようとした寓意的な作品が多いのが特徴。
今回はG.F.ワッツの作品を中心に解説していこうと思います。
『ヨハネの黙示録』によれば…
第一の封印が解かれた時、白い馬に乗った騎士が現れた。手には弓を持ち、頭には冠を被っている。勝利の上の勝利(征服)を得ようとやってきた。
(『ヨハネの黙示録』第6章2節より)
赤い馬に乗る第ニの騎士”戦争”

「赤い馬に跨る騎士(黙示録の四騎士)」(1874-1883年頃)G.F.ワッツ
・カンヴァスに油彩、ウォーカー・アート・ギャラリー所蔵
そして赤い馬に乗る騎士は”戦争”を意味しています。
特徴は手に持った大きな剣で、まさにこれから戦を仕掛けよう!という感じが伝わってきますね。
『ヨハネの黙示録』によれば…
第ニの封印が解かれた時、「出て来い!」という声を聞いた。今度は火のように赤い馬に乗った騎士が現れ、地上から平和を奪い互いに殺し合いをさせる力を与えられ、手には大きな剣が与えられた。
(『ヨハネの黙示録』第6章3~4節より)
黒い馬に乗る第三の騎士”飢饉”

「黒い馬に跨る騎士(黙示録の四騎士)」(1874-1883年頃)G.F.フレデリック・ワッツ
・カンヴァスに油彩、ウォーカー・アート・ギャラリー所蔵
次に登場するのは、”飢饉”を意味する黒い馬に跨った騎士です。
上の絵では、右手に”天秤”を持っているのが特徴的。
『ヨハネの黙示録』によれば…
第三の封印が解かれた時、「来たれ!」という声を聞いた。黒い馬に乗った騎士が現れ、この者は手に天秤を持っていた。
(『ヨハネの黙示録』第6章5節より)
青白い馬に乗る第四の騎士”死”

「青白い馬に跨る騎士(黙示録の四騎士)」(1874-1883年頃)ジョージ・フレデリック・ワッツ
・カンヴァスに油彩、ウォーカー・アート・ギャラリー所蔵
最後は、”死”を意味する騎士の登場です。
思うに、四騎士の中で特に絶望感を感じさせる騎士です。
『ヨハネの黙示録』によれば…
第四の封印が解かれた時、「来い!」という声を聞いた。青白い馬に乗った騎士が現れ、名を”死”と言い、黄泉を従えていた。彼は地上の四分の一を支配し、剣と飢饉、死によって人々を滅ぼす権威が与えられていた。
(『ヨハネの黙示録』第6章7~8節より)
・・・

「死を呼ぶ青白い馬に跨る騎士(黙示録の四騎士)」ウィリアム・ブレイク
・39.5×31.1cm、水彩画
地上の四分の一を支配し、そして剣と剣と飢饉、死によって人々を滅ぼす権利が与えられている。
印象的なのが”人々を滅ぼす権利”という一文ではないでしょうか。
おそらく四騎士の中で、特に絶望感を感じさせる騎士です。

現在”黙示録の四騎士”については様々な解釈がなされています。
もちろん時代や宗派によっても様々ですが、私としては未来に訪れるだろう苦難を意味しているだろうと考えています。
『ヨハネの黙示録』は、1世紀末頃に書かれたもの。
迫害に苦しめられていたキリスト教徒たちと、キリストの再臨という期待感が反映されているからです。
ある意味時代を予言しながら、そして苦難に対する救いを与えているのではないか?と思うのです。
もちろん人それぞれなので、あなたなりに解釈して欲しいと思います。
※ここで扱っているイラストや作品画像はpublic domainなど掲載可能な素材を使用しています。
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