画家”ジョン・ブレッド”に興味が湧き、生い立ちや代表作を調べてみました!

ジョン・ブレッド(John Brett)

 

ところでジョン・ブレット(John Brett)って誰!?

 

先日開催された「テート美術館展 光」の目玉作品になっていた画家です。普通に考えて展覧会の顔とも言える目玉作品は、誰もが知る有名な画家の作品が選ばれるもの!そりゃあ、多くの人に来てもらいたいだろうから、出来るだけインパクトのある絵を顔に据えたいのは当然の事。

それが「テート(TATE)」展の顔を飾っていた作品が、↓この海の風景画だったのです。

「ドーセットシャーの崖から見るイギリス海峡」(1871年)ジョン・ブレット

「ドーセットシャーの崖から見るイギリス海峡」(1871年)ジョン・ブレット

・106×212.7cm、カンヴァスに油彩、テート美術館所蔵

ジョン・ブレッドという人物ですが、実のところ私はよく知らない画家です。

この「テート美術館展 光」には、モネやターナーと言った名のある画家の作品も展示されているのに、あえてジョン・ブレッドの作品を推しているわけだから、それだけ素敵な作品を描く画家だってことでしょう。もちろん作品を見れば、その美しさや素晴らしさは分かります。それに海が好きな私としても、やっぱりジョン・ブレッドという画家にはどうしても興味がありますしね。

なにせ、めちゃくちゃ美しい海の絵なわけですから!

 

今回は個人的に気になった画家”ジョン・ブレット”について調べてみたのでした…

 

 

ジョン・ブレッドはどんな画家??

ZOOM

ジョン・ブレッド”とは、どんな画家なのだろう!?

気になったので、手持ちの辞書で探してみた所…

 

…載っていません。

あまり知られている画家ではない様ですね。ただポイントになるだろうキーワードは発見できました。”ラファエル前派に近い画風の画家!これは大きな特徴というか、ポイントだと思います。

 

ジョン・ブレッド(John Brett)

1831年生まれ、1902年没のイギリスの画家。

若い時にジェームズ・ダフィールド・ハーディング(James Duffield Harding、1798ー1863)リチャード・レドグレーブ(Richard Redgrave、1804ー1888)から絵を学ぶ。そして1853年にロイヤル・アカデミーの美術学校に入学し、本格的に美術の道に進む。

1858年に展覧会に「石割り人夫」を出展し、ジョン・ラスキン(John Ruskin)に賞賛される。

 

「石割り人夫」(1857‐58年)ジョン・ブレット

「石割り人夫」(1857‐58年)ジョン・ブレット

・51.5×68.5cm、カンヴァスに油彩、ウォーカー・アート・ギャラリー所蔵(イギリス、リヴァプール)

思うに、この辺りがジョン・ブレッドにとって大きな分岐点だったようですね。

ポイントとなる人物はジョン・ラスキンです。美術評論家で思想家としても活躍した人物で、ラファエル前派にも大きな影響を与えました。特に思想的な影響力は強く、それは作風にもしっかりと表わされていると思います。

自然をありのまま再現すべき!

ラファエル前派の作品はどれも細密描写で、写実的な理由はこの思想が強く影響しているから。実はジョン・ブレッドもラスキンの思想に影響された人物の一人だったので、そういう意味で”ラファエル前派”に近い画風というのは納得できますね。ただラファエル前派は1853年頃には事実上解散しているので、直接的な繋がりはなかったのかもしれません。

 

参考として…

ラファエル前派 Pre-Raphaelite Brotherhood(英)

略称P.R.B.プレ=ラファエル派とも呼ぶ。1848年、イギリスの青年作家7人の同志的結合によって生まれた芸術集団。ダンテ・ガブリエル・ロセッティ、その弟で評論家のウィリアム・マイクル・ロセッティ、ミレイ、ウィリアム・ホルマン・ハント、コリンスン、スティーヴンス、ウールナーをメンバーとする。かれらは、ラスキンの強い影響と後援のもとに、ヴィクトリア時代の因襲的な諸傾向に反抗し、ドイツのナザレ派の刺戟も受けて、ラファエロ以前、すなわちイタリアの初期ルネサンス美術の、虚飾のない優雅、明澄な色彩の再生を主張した。しかし現実には、自然観察の重視がしばしば過度の細部描写をもたらし、また自己顕示に対する抑制が作品を没個性的なものにしている。・・・

・出典元:「新潮 世界美術辞典」

 

「ローゼンラウイ氷河」(1856年)ジョン・ブレット

「ローゼンラウイ氷河」(1856年)ジョン・ブレット

・44.5×41.9cm、カンヴァスに油彩、テート・ギャラリー所蔵

ジョン・ブレッドは初期の頃、山岳の風景を中心に描いていたそうです。でも次第に海の風景を中心に描くようになった。晩年ヨット(船)を購入し、地中海を旅しては海や港などの風景を描いていったのは有名な話です。

描く対象が”海の風景”に移行していったわけです。

 

「ガーンジー島の南海岸」(1875年)ジョン・ブレット

「ガーンジー島の南海岸」(1875年)ジョン・ブレット

・61.2×108.2cm、カンヴァスに油彩、バーミンガム美術館所蔵

素敵な風景画を描こうと思ったら、最終的に海の風景にたどり着いてしまった!という事でしょうか。でもこの気持ちも分からないでもない。スキューバで海を何度も潜っていて、海の美しさ少なからず知ってしまった私ですから。やっぱり海って永遠の憧れですからね。^^

 

「Plymouth Breakwater」(1884年)ジョン・ブレット

「Plymouth Breakwater」(1884年)ジョン・ブレット

・38.5×76.8cm、カンヴァスに油彩

この絵を観た瞬間”ブーダン”を思い浮かべてしまいましたが、でもジョン・ブレッドの方がより描き方は繊細な感じがしますね。実際に比べて観たいものです。

ちなみに描かれた場所が気になったので、調べてみたところ”Plymouth”はイングランドの南西部に位置する都市だそうです。参考として映像も載せてみました。

 

 

てジョン・ブレッドについて調べていくと、こんな気になるエピソードも見えてきました。

実は天文学にも精通していたと言います。一般的に天文というと、星を観察するというイメージが強い様ですが、実は自然現象の観測・法則の研究など科学的要素も強い。そういう意味では単に自然をありのまま描いたというより、自然の本質を絵画で表現したと言っても過言ではないかもしれない。

私が思うにジョン・ブレッドの風景画は、より確信に迫った画風に仕上がっているのかな?と思ったりします。これは私の解釈ですが、あなたはどう思いますか?

 

今回「テート美術館展」で展示された作品がきっかけで、ジョン・ブレッドについて調べてみたのですが、海好きな私としては何とも相性の良さそうな画家ですね。今回目玉作品として「ドーセットシャーの崖から見るイギリス海峡」がチョイスされた理由も分からないでもない。

 

「ドーセットシャーの崖から見るイギリス海峡」(1871年)ジョン・ブレット

「ドーセットシャーの崖から見るイギリス海峡」(1871年)ジョン・ブレット

というか海好きでなくても、この絵の美しさを観たら誰もが惹かれるでしょうね!

 

テート美術館展 光 — ターナー、印象派から現代へ

・(東京開催)国立新美術館にて、2023年7月12日(水)~10月2日(月)
・(大阪開催)大阪中之島美術館にて、2023年10月26日(火)~2024年1月14日(日)

(参考)⇒巡回展「テート美術館展 光 ターナー、印象派から~」を観てきました。

 

東京の後は大阪でも開催するので、気になる方は実際に作品を見てほしいものですね!

 

 

※ここで扱っているイラストや作品画像はpublic domainなど掲載可能な素材を使用しています。

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