オットー・ヴァッカー事件とゴッホの「アルピーユの道」

大原美術館(岡山県倉敷市)

 

先日NHKの「THE BACKYARD(ザ・バックヤード)」という番組で、実に興味深い内容が放送されていました。それは大原美術館の知られざる裏側についてでした。

 

普段私はあまりテレビを見ない人間ですが、たまに気になる番組は見たりしています。例えば今回話をする「ザ・バックヤード」もその内の一つです。この番組は美術館や博物館、ホテルなど僕らが入れない裏側を、俳優中村倫也さんが案内する形式の内容です。さて、今回の舞台でもある”大原美術館”は、前々から気になっていた美術館です。行きたいな~とは思いつつ、でも場所が岡山県の倉敷市にあるため、さすがに関東在住の私にとってはキビシイ。そんな理由もあって、釘付けになって見てしまいましたね!^^

 

 

ゴッホの「アルピーユの道」が、曰く付きの絵!?

解説

大原美術館は日本初となる私立の西洋美術館です。開館したのは昭和5年、つまり1930年の事でした。私が普段よく行く国立西洋美術館よりも歴史は長いわけですね。もちろん開館当時は日本にあまり美術館がなく、しかも西洋美術を中心に扱う美術館だったので、当時としてはかなり珍しかったと思います。そんな大原美術館には、現在”名画と呼ばれる作品が多く所蔵されていて、例えばゴッホの「アルピーユの道」もその一つです。正確には”だった”と言った方が正しいかもしれませんね。というのも、この「アルピーユの道」は現在贋作とされているからです。

 

実はこれは結構有名な話なので、知っている人も多いと思います。ファン・ゴッホの「アルピーユの道」は、ある事件がきっかけで”本物?はたまた贋作??”で、38年間公開されなかった”曰く付き(いわくつき)の絵”だったのです。

 

 

れでは、本格的に本題に入っていこうと思います。

元々「アルピーユの道」という絵の裏側には、”ド・ラ・ファイユ”の鑑定書が貼り付けられていました。それでも本物か贋作かで何度も紆余曲折があるなんて…。以前美術系You Tuber山田五郎さんも話していましたが、かなり複雑な経緯があったのです。では、きっかけとなったある事件とは、一体何なのか!?

 

 

オットー・ヴァッカー事件とゴッホの「アルピーユの道」

Fake

ところで、オットー・ヴァッカー事件は聞いた事がありますか??芸術を好きな人なら、おそらく知っている人も多いだろうと思います。ちなみにオットー・ヴァッカー(Otto Wacker)は人物の名前で、一時期”絵画取引の世界”ではかなり信頼されていたドイツの画商でした。今回話すゴッホの「アルピーユの道」は、この事件に巻き込まれたある意味被害者的作品なのです。

オットー・ヴァッカーにはレオンハルト・ヴァッカーという弟がいました。実はこの弟は画家で、ゴッホの贋作を数多く制作していた。大原美術館の「アルピーユの道」も、弟によって描かれた贋作だとされたわけです。当初は”ド・ラ・ファイユ”の鑑定書が貼り付けられていたのにです。つまりは、ド・ラ・ファイユ自身も騙されていたわけですね。

 

「アルピーユの道」(1889年)フィンセント・ファン・ゴッホ

「アルピーユの道」(1889年)フィンセント・ファン・ゴッホ

・61.6×45.7cm、カンヴァスに油彩、クリーブランド美術館所蔵

これは現在クリーブランド美術館に所蔵されている本物の「アルピーユの道」です。

こんな事を言うのもなんですが、鑑定書があっても”贋作”となってしまうなら、一体どの絵が本物なのだろう??現在クリーブランドの作品が本物とされていますが、”絶対に本物なの?”と疑いたくなってしまうのは私だけだろうか??ゴッホは有名な画家ですし、どの絵も高値で取引される。しかも真似されやすい画風だから、なおさら標的にされやすい。でも、いざ今回の様な事件が起こると、一体どれが真実なのだろう?…と。

いかにオットー・ヴァッカー事件が絵画取引の世界に与えた影響が大きかったのか。大原美術館は「アルピーユの道」を資料的な価値として考えている!と番組内では話していましたが、それでも事件に巻き込まれたと知った当時はどういった心境だったのでしょうね。

 

 

私の解釈… 本物も贋作も関係がない!?

考え

これまで絵画の世界では、様々な作品が本物か贋作かで騒動になった歴史がありました。特に名画と呼ばれる作品は、こういった騒動に巻き込まれやすいですね。何せ名画は高値で取引されるからです。

 

でも私の解釈では、素晴らしい!と思える作品なら、別に本物か贋作かってあまり関係がないのでは?と思ったりもします。(こんな事を言ったら、元も子もないですが…)

というのも、現在本物だとされている名画が、もしかしたら贋作だって事もあり得るからです。取引されてきた経緯やサイン、画風などで判断される場合もあるわけですし、しかも画風なんて同じ画家でも時代によって変化しますからね。そう考えれば何が正しくて、何が正しくないかなんて分からないわけです。

私の考えになりますが、芸術に正解を求めては駄目って事なのかな?と。もちろん美術館やオークション会社、専門家の人達にとっては”本物と贋作の違い”は超重要かもしれない。でも僕ら鑑賞者側にとっては、正しいか正しくないか?よりも、好きかどうか?が重要だなのかな?と。だって、その方が断然楽しいと思うから!

 


ちなみに山田五郎さんがYou Tubeで、こんな面白い話をしていたので参考に載せてみました。贋作とパクりは違う!という話です。言われてみれば、確かにそうだよな~と。でも説明されなかったら一般人には分からない違い。こういったネタが仕入れられるのも、山田五郎ならではの知識の深さですよね。^^

ちょっとした違いで、贋作になれば”パクリ”にもなる。芸術作品ってちょっとした違いで、全く違った解釈になるから面白い(面白い反面、怖さでもあるわけですが…)

今回「ザ・バックヤード」という番組を見ていて、ふとそう思ったのでした。

 

 

 

※ここで扱っているイラストや作品画像はpublic domainなど掲載可能な素材を使用しています。

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