東京都美術館で「永遠の都 ローマ展」を観てきました。

東京都美術館で開催の「永遠の都 ローマ展」

 

先日東京都美術館永遠の都 ローマ展を観てきました。

 

今回は世界最古のカピトリーノ美術館から作品が集結!という事で、前々から愉しみにしていた展覧会でした。約2000年前の”古代ローマの彫刻が見れるわけですから、そりゃあ期待値は高くなるというもの。

 

して実際に行ってみたら、大理石彫刻は釘付けの連続!でしたね。改めて彫刻はLIVE(生)感に限るな~と思ったものでした。

「永遠の都 ローマ展」は東京福岡の巡回開催になっています。これから行こうと考えている方、どうしようか迷っている方もいるでしょう。今回は実際に観てきた私の感想レビューを元に、見所のポイントについても話していこうと思っています。ぜひ、参考にしてもらえたら幸いですね。

 

目次

はじめに…
私が思う「ローマ展」の見所はコレです!
「永遠の都 ローマ展」の感想レビューをお話しします!
「永遠の都 ローマ展」の開催概要

※(参考記事)ローマの歴史が凝縮!? イタリアの「カピトリーノ美術館」を解説!

 

 

 

はじめに…

私が選ぶ!

私的には2023年の下期で、特に注目していた展覧会が今回の永遠の都 ローマ展でした。

なぜここまで注目していたのか??

やっぱりカピトリーノ美術館(Musei Capitolini)という存在が大きかった。

何せ、地味に凄い美術館だからです。世界最古の美術館と言われるだけあって、歴史を感じさせるだろう作品がこの目で観れると思ったから。そう考えると、2000年を超えるローマの歴史と文化を垣間見よう!という趣旨にはピッタシだろうと思っていました。

 

 

も如何せん…

チラシもそうですが、地味なんですよね。世間的な注目度はイマイチなのかもしれませんね。

「永遠の都 ローマ展(Rome the Eternal City)」チラシ 「永遠の都 ローマ展(Rome the Eternal City)」チラシと「考える人」のフィギュア

 

 

 

私が思う「ローマ展」の見所はコレです!

解説

一言で言えば、大理石の彫刻これに尽きます!!

もちろん、奇跡の初来日!と言われる、「カピトリーノのヴィーナス」もそうです。(東京限定にはなりますが)

 

彫刻作品の醍醐味は、何といっても全方位から鑑賞できる事!

前から真横から、そして斜め上から。ちょっと下から眺める感じで観たり。こういった楽しみ方が出来るのは、彫刻作品ならでは。

しかも大理石の彫刻は、キラキラと光る光沢があったり、模様があるのが特徴です。それらを間近で、しかも様々な角度から観れるわけですから。この感動は言葉でいくら説明しても分からないと思います。ぜひ実際に足を運んで観てもらいたいものですね。

 

考として、私がおススメの彫刻作品をピックアップしてみました。

・「負傷した牝犬44×69cm、ペンテリカス産大理石

・「豹と猪の群像70×120×43cm、ペンテリカス産大理石
 …ほぼ等身大の彫刻です。しかも制作は1世紀だそうで、この時代にここまでリアルな彫刻を作れる技術があるなんて…、想像しただけでも驚愕です。猪と豹のリアルな動きをそのまま忠実に再現したかの様で、観ているだけでも鳥肌物です。

・「トラヤヌス帝の肖像高さ68cm、パロス島産大理石、カピトリーノ美術館所蔵
 …この肖像のモデルとなっているのがローマ皇帝”トラヤヌス”です。今回「トラヤヌス帝の記念柱」の版画も展示されているので、こちらも要チェック!

 

今回の「ローマ展」では、人物肖像の大理石彫刻だけで約10点ほど、他にも「豹と猪の群像」と言ったリアルな作品まであります。近年ここまで彫刻の質と量を備えた展覧会は他にあっただろうか??

 

 

 

「永遠の都 ローマ展」の感想レビューをお話しします!

東京都美術館で開催の「永遠の都 ローマ展」

カピトリーノ美術館はローマの歴史が凝縮した世界で最も古い美術館の一つに数えられます。そこから作品がズラ~とやって来たわけですから、期待しないわけにはいかないですよね!?

特に楽しみだったのが、彫刻と版画作品たち!これまで何度か話しましたが、ピラネージの版画は個人的に期待大ですし、それから複製とはいえ「コンスタンティヌスの巨像」なども気になります。中でも必見は「カピトリーノのヴィーナス」でしょう。ただ東京限定の展示なので、福岡では見れないですが…。

そんなワクワクを胸に秘め、「ローマ展」に行ってきたのですが…

 

観てきた私の感想としては、大理石の彫刻は圧巻だった!でも全体的には、もの足りなかったな~という感じです。

展示作品が約70点程なので、欲深い私からすれば物足りないと感じるのは当然です。それに元々期待感が高過ぎただけに、物足りないと思うのも仕方がないですよね。

とはいえタイトルにも書いている通り”大理石の彫刻たちは、実に良かった!” 2000年くらい前に制作された彫刻から醸し出す重厚感品の高さ!これは見ごたえありますね。^^ この興奮は、実際に本物を観ないと分からないと思います。

 

 

て、この流れで話をしていくと文章多めになりそうなので、ここでちょっと気分を変えて作品を挙げてみようと思います。順番的には版画を挙げたいところですが、色的にモノクロだと地味ですから、色映えする絵画を一点紹介しようと思います。

 

「教皇ウルバヌス8世の肖像」(1624‐27年頃)ピエトロ・ダ・コルトーナ

「教皇ウルバヌス8世の肖像」(1624‐27年頃)ピエトロ・ダ・コルトーナ

・199.0×128.0cm、カンヴァスに油彩、カピトリーノ美術館 絵画館所蔵

ピエトロ・ダ・コルトーナ(Pietro da Cortona)の代表作の一つに数えられる「教皇ウルバヌス8世の肖像」です。

教皇ウルバヌス8世は、本名マッフェオ・ヴィンチェンツォ・バルベリーニ(Maffeo Vincenzo Barberini)。コルトーナにとって、ある意味パトロン的な存在だった人です。事実ウルバヌス8世の依頼で制作した作品も多かったようです。その一つがコルトーナの最大傑作と言われるバルベリーニ宮殿の『神の摂理(フレスコ画)』という天井画です。いつかこの天井画は見てみたいものですね!^^

 

 

「コンスタンティヌス帝の巨像の頭部(複製)」 ※「永遠の都 ローマ展」のチラシより
これはチラシの一部分になってしまいますが、上の写真はコンスタンティヌス帝の巨像(複製)」です。今回の「ローマ展」では、頭部と左手、左足が展示されていました。本物ではないにしろ原寸大ですから、迫力は満点です。

 


それから古代ローマのシンボルと言われるカピトリーノの雌狼複製」も必見ですね。

ただこればっかりは仕方がないですが、今回の「ローマ展」は基本撮影が出来ません。彫刻は全方位から楽しめるので、角度によって違った表情を見せてくれます。もちろん写真も同じで、角度によって彫刻の様々な表情を撮れたりできる。本当なら破損した脚の部分とかも見せたかったですが、ん~残念ですね。(私の目には焼き付ける事は出来ましたが…。)

日比谷公園内にある「ルーパロマーナ(ローマの牝狼)」
余談にはなりますが、同じような彫刻で「ルーパロマーナ(ローマの牝狼)」があり、東京の日比谷公園で見れるので良かったら参考に!

 

て、タイトルにも書いていますが、今回の「ローマ展」で超必見は大理石の彫刻作品です。

約10点ほどの人物肖像の大理石彫刻は見事!としか言いようがないです。意図して展示していたのか分かりませんが、一部石膏の彫刻もありました。石膏と大理石を比べて見れたのは、実にオモシロイ部分でしたね。キラキラと光る大理石で造られた権力者や女性の像は、高貴さと品が感じられてイイですね!^^ つくづく相性がイイのが分かる瞬間です。

 


カピトリーノのヴィーナス(2世紀)高さ193cm、大理石、カピトリーノ美術館所蔵

そんな大理石の上品さと女性の美しさを最大限に発揮した作品が、今回の目玉でもある「カピトリーノのヴィーナス」でしょう。大理石の美しさによって、”美”の象徴と言われるヴィーナスがより美しく見えるからです。

それに体つきも実に魅力的ですしね!腰からお尻にかけての柔らかそうな肉感には見とれてしまいます。現代では太った部類に入るかもしれない体型ですが、当時はこのくらいが理想的な体型だったのかもしれない。少なくとも、私にとっても理想的な感じではありますが。^^ ここだから言える話ですが、実は「カピトリーノのヴィーナス」の周りを何周もグルグル回りながら、眺めてしまっていたほどです。美術館内だから許される行為かもしれないけど、これが現代の街中だったら、変人扱いされ警察沙汰になっているかも!?おかげで目に深く焼き付いたので、写真要らずですが…。

 

 

「古代アッピア街道とアルデアティーナ街道の交差点(『ローマの古代遺跡』より)」(1756年頃)ジョヴァンニ・バッティスタ・ピラネージ

「古代アッピア街道とアルデアティーナ街道の交差点(『ローマの古代遺跡』より)」(1756年頃)ピラネージ

・印刷面:40.2×64.4cm、エッチング・エングレービング

そして↑こちらが、個人的に楽しみにしていた”ジョヴァンニ・バッティスタ・ピラネージ(Giovanni Battista Piranesi)”の版画作品です。

 

「カンピドリオとサンタ・マリア・イン・アラチェリ聖堂の眺め(『ローマの景観』より)」(1748‐74年頃)ジョヴァンニ・バッティスタ・ピラネージ

「カンピドリオとサンタ・マリア・イン・アラチェリ聖堂の眺め(『ローマの景観』より)」(1748‐74年頃)ピラネージ

・印刷面:40.4×54.5cm、エッチング

以前の記事でも書きましたが、建築家視点の版画は凄い!の一言です。改めて詳しくは書きませんが、ルーペでじっくりと鑑賞してほしいですね。ピラネージ版画の醍醐味は何といってもマクロ鑑賞に尽きると思っています。

 

「トラヤヌス帝の記念柱(6-1)」(1774‐75年頃)ジョヴァンニ・バッティスタ・ピラネージ

「トラヤヌス帝の記念柱(6-1)」(1774‐75年頃)ジョヴァンニ・バッティスタ・ピラネージ

・紙面(6面合計)286×46.5cm、エッチング

特におススメは、展示室”SECTION5”で展示している「トラヤヌス帝の記念柱」です。

 

「トラヤヌス帝の記念柱(6-6)」(1774‐75年頃)ジョヴァンニ・バッティスタ・ピラネージ

「トラヤヌス帝の記念柱(6-6)」(1774‐75年頃)ジョヴァンニ・バッティスタ・ピラネージ

・紙面(6面合計)286×46.5cm、エッチング

紙面の横幅は46.5cmで、驚きは286cmという高さ!!さすがに立てた状態の展示は難しいようで、テーブルに広げた状態での展示でした。私なんかは時間を忘れて、ルーペでじっくりと魅入ってしまいました。^^ 何せ人間1.5倍の高さの紙面に、約2500人が描かれているわけですから!!この細かな描き込み様は、ピラネージ版画の真骨頂だろうと思います。
(参考)
「ローマの景観」で知られる版画家で建築家”ピラネージ”を解説!
ピラネージの版画「トラヤヌス帝の記念柱」は、見れば観るほど凄い!

 

「永遠の都 ローマ展」の図録(表紙)
これは図録の表紙になっている「カンピドリオ広場の眺め」です。

エッチング技術による版画の醍醐味は、何といっても線一本一本の細密ともいえる描写です。この世界観はマクロ派の私にはドンピシャですね。ぜひルーペで堪能してほしいと思います。

 

考え
そういえば…、美術館内で感じた事!

今回美術館内で鑑賞している時にふと感じた事があります。それは版画をルーペで鑑賞している人が本当に少ない。もうちょっと版画の楽しみ方が分かれば、よりオモシロイのに…と思いつつ。今回展示している版画作品の多くはエッチングによるもの。繊細な線が特徴の一つでもあるので、こういったマクロな世界観はやっぱりルーペじゃないとなかなか味わわえないです。もし持っているなら、持参は必須です。その方がより楽しめると思います。

 

 

 

「ディオゲネスとプラトン」(1649‐50年)マッティア・プレーティ

「ディオゲネスとプラトン」(1649‐50年)マッティア・プレーティ

・101.0×151.0cm、カンヴァスに油彩、カピトリーノ美術館 絵画館所蔵

マッティア・プレーティ(Mattia Preti)、1613ー1699年に活躍したイタリアの画家です。知る人ぞ知るカラヴァッジオに影響を受けた画家”カラヴァッジェスティ”の一人です。

 

「聖母子と天使たち」(1625‐30年)ピエトロ・ダ・コルトーナ

「聖母子と天使たち」(1625‐30年)ピエトロ・ダ・コルトーナ

・185.0×137.0cm、カンヴァスに油彩、カピトリーノ美術館 絵画館所蔵

先ほどちょっと話しましたが、ピエトロ・ダ・コルトーナの作品です。

(参考)⇒バロック期の建築家で画家”ピエトロ・ダ・コルトーナ”を解説!

 

 

「トル・ディ・ノーナの眺望」(1682‐88年頃)カスパール・ファン・ヴィッテル

「トル・ディ・ノーナの眺望」(1682‐88年頃)カスパール・ファン・ヴィッテル

・23×44cm、羊皮紙に水彩、カピトリーノ美術館 絵画館所蔵

そして締めに挙げたい作品がカスパール・ファン・ヴィッテル(Caspar van Wittel)の水彩画です。

写真の様な景観的構図と水彩画ならではの柔らかさ!地味にイイ作品です。実は写真的な作品にイッポリート・カッフィの「フォロ・ロマーノ」もあります。一見写真の様に見えて、でも間近で観ると油絵だと分かる。この”紙一重”的な作品は、実際に本物を観ないと分からない部分でしょうね。

興味のある人は、ぜひ行ってみる事をおススメします。

 

 

 

 

「永遠の都 ローマ展」の開催概要

美術館の前にチケット購入

この「ローマ展」の大きな見所は彫刻作品と言っても過言ではない!彫刻は全方位から楽しめる芸術です。実際に行かない、その良さは分からないもの。だから、個人的には行ってほしいわけです。

 

【 永遠の都ローマ展 】

東京開催)
・期間:2023年9月16日(土)~12月10日(日)
・場所:東京都美術館にて(東京都台東区上野公園8-36)
・休館:月曜日、9月19日(火)、10月10日(火)※9月18日(月・祝)、10月9日(月・祝)は開館
・時間:9:30~17:30、金曜は20:00まで※入館は閉館の30分前まで

福岡開催)
・期間:2024年1月5日(金)~3月10日(日)
・場所:福岡市美術館にて(福岡市中央区大濠公園1-6)

 

東京都美術館で開催の「永遠の都 ローマ展」
カピトリーノ美術館の作品を通して、2000年というローマの歴史を知ろう!とカッコよく言うつもりもなく、純粋に作品を楽しむにも最適です。出来ればルーペを持参する事をおススメしますね。版画のマクロな世界観も見れますしね。

興味のある人は、ぜひ行ってみる事をおススメします。

 

 

※ここで扱っているイラストや作品画像はpublic domainなど掲載可能な素材を使用しています。

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