フェルメールの「天文学者」と「地理学者」

左:「天文学者」(1668年) /  右:「地理学者」(1669年) ヨハネス・フェルメール

 

天文学者(The Astronomer)地理学者(The Geographer)

 

”ヨハネス・フェルメール”の描いた作品には、
それぞれ共通点や繋がりがあるものが多いと言います。

 

絵画は単独でじっくりと観るのもいいけれど、
時には2つを見比べて鑑賞するのもイイものです。

「天文学者」と「地理学者」を見比べてながら、
2つに共通する点や繋がりを探ってみたいと思います。

 

 

「天文学者」と「地理学者」を見比べてみた!

 

 

フェルメールが描いた作品は
現在分かる範囲では約35点ほどと言われています。

そしてそのほとんどが
女性を描いたものが多いのです。

 

その中でこの「天文学者」と「地理学者」は、
共に男性のみを題材として描かれています。

実はフェルメールの作品としては非常に珍しい事なのです。

 

考え…・思い…
この2作品は共に学者で男性を描いています。
しかもほぼ同時期に制作されている。

2つが似ている様に見えるのは、
こういった共通点があるためなんでしょうね。

 

でも探っていくと、
もっと興味深い繋がりが見えてくるのです。

 

・・・
共に和服を着ている!

左:「天文学者」(1668年) /  右:「地理学者」(1669年) ヨハネス・フェルメール
この2つの作品が描かれたのは1668~1669年。
ちょうど日本では江戸時代で、
他国と交易をしない鎖国を行っていた頃でした。

そんな中で唯一交易をしていた国がありました。

学校の授業などでは習った事があると思いますが、
さてどこの国だったか覚えていますか??

 

それはフェルメールの出身国”オランダ”です。
当時オランダは長崎の出島と交易をしていたのです。

 

「地理学者(detail)」(1669年)ヨハネス・フェルメール

「地理学者(detail)」(1669年)ヨハネス・フェルメール

そんな経緯もあって
日本の着物がオランダにも伝わったと言われています。

 

考え…・思い…
実は当時オランダの知識人たちの間では、
日本の着物はひそかに人気だったそうで、
好んで和服を着る人も多かったと言われています。
この2つ絵に描かれている衣装から
当時の日本とのつながりや歴史が見えてくるのです。

 

ある共通の道具が描かれている!

左:「天文学者」(1668年) /  右:「地理学者」(1669年) ヨハネス・フェルメール

2つを見比べてみると、
ある共通の道具が描かれているのが分かると思います。

 

「天文学者(detail)」(1668年) ヨハネス・フェルメール

「天文学者(detail)」(1668年) ヨハネス・フェルメール

それは天球儀という道具です。

しかもこの2つの地球儀ですが、
見た感じ両方とも同じ様に見えませんか!?

それもそのはずで、
2つとも”ヨドクス・ホンディウス”が製作したものだから!

 

となるとある推測が思い浮かぶのです。
同じ製作者の地球儀が描かれているとなると
もしかしたこの2つに描かれた部屋は…

 

共に共通の人物が描かれている!!

左:「天文学者」(1668年) /  右:「地理学者」(1669年) ヨハネス・フェルメール

この2枚を見て分かるでしょうか?
… ”構図”というか部屋の位置関係が似ているのです!!!

例えば窓で言えば
2つとも似たような窓と窓枠なのが分かります。
そして後ろに見える棚と絵画。
部屋のインテリアも位置関係も似ているのです!

つまりこの天文学者と地理学者の2作品は、
同じ人物を描いているのでは?と言われているのです。

そんな事もあってか、
この2つは対をなす作品と言われているのです。

さてそのモデルとなった人物は、
アントニ・ファン・レーウェンフックと言われているそうです。

 

 

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