見所はアメリカの印象派!? 東京都美術館で「ウスター美術館展」を観てきました。

「印象派 モネからアメリカへ ウスター美術館所蔵」 …東京都美術館にて

 

先日、東京都美術館で開催した印象派展 モネからアメリカへを観てきました。

 

この展覧会は、ボストンにあるウスター美術館所蔵作品が中心で、個人的にはアメリカの印象派が一番の見所!だろうと思っています。

普段アメリカ出身の画家に触れる機会がないだけに、そういった意味でも非常に興味深い!

なによりウスター美術館(The Worcester Art Museum)は、日本ではあまり知られていないけど、実は素晴らしい作品を多く抱えているとも言いますからね。

 

東京都美術館
というわけで今回は、東京展で開催した「ウスター美術館展」について、感想レビューも交えながら展覧会の様子などについて話していこうと思います。

東京開催後は、郡山(福島県)や八王子大阪と巡回開催するので、気になる方はぜひ参考にしてほしいと思います。また随所に私視点の見所も書いているので、そちらも参考にしてもらえたら幸いですね。

 

目次

「ウスター美術館所蔵 印象派」の感想レビュー!
私が気になる”アメリカの印象派画家”を一人チョイス!
東京開催の「ウスター美術館所蔵 印象派」開催概要
その後の「ウスター美術館所蔵 印象派」の開催予定は?

※参考:”ウスター美術館”はどんな場所? 所蔵作品を観ながら解説!

 

 

 

 

「ウスター美術館所蔵 印象派」の感想レビュー!

「印象派 モネからアメリカへ ウスター美術館所蔵」※フォトスポット

印象派”と言えば、日本でも非常に人気の絵画ジャンルです。

しかも着眼点が”アメリカの印象派”というのも、実に興味深い。

 

どういった展覧会なのか?

気になる方も多いと思います。

 

私の考え

いうわけで、まず率直に「ウスター美術館展」の感想について話すと…

作品数や解説もそうですが、全体的にちょっと薄い感じだな~と。

 

ちょっと辛口コメントになってしまいましたが、元々の期待値が高かっただけに、こういった感想になってしまうのも仕方がない。それでも気になる作品はチラホラあったので、やっぱり作品は実際に観ないと分からない!って事でしょうか。

 

ちなみに今回の展示構成は、こんな感じでした。

1、伝統への挑戦
2、パリと印象派の画家たち
3、国際的な広がり
4、アメリカの印象派
5、まだ見ぬ景色を求めて

前半はフランス人画家を中心に、後半からはアメリカ出身の画家の作品が展示される流れになっています。

ある意味オーソドックスな流れで構成された展覧会といったところでしょうか。

 

「ヴィル=ダヴレーの牧歌的な場所ー池畔の釣り人」(1865‐1870年頃)ジャン=バティスト=カミーユ・コロー

「ヴィル=ダヴレーの牧歌的な場所ー池畔の釣り人」(1865‐1870年頃)ジャン=バティスト=カミーユ・コロー

・56×71.6cm、カンヴァスに油彩、ウスター美術館所蔵

まず1章目で目を惹いたのが、フランスの画家”ジャン=バティスト=カミーユ・コロー(Jean-Baptiste Camille Corot)”の作品です。

コローはバルビゾン派の画家で、田舎町や農村の風景画を好んで描いていました。

素朴で、ゆったりとした時間が感じられる作品なので、観ているだけで穏やかな気持ちになってきますね。しかも画風的に淡いというか、夢見心地な感じなので、なおさら!

そんな中にあってコローの作品の多くは、ワンポイントに映える色もあります。右側で後ろ向きに立っている女性の帽子?が何とも目を惹きますね。

 

「冬の海岸」(1892年)ウィンスロー・ホーマー

「冬の海岸」(1892年)ウィンスロー・ホーマー

・72.4×122.6cm、カンヴァスに油彩、ウスター美術館所蔵

これはアメリカを代表する風景画家”ウィンスロー・ホーマー(Winslow Homer)”の作品です。

パッと見は写実的ではあるけれど、でも波の描写は印象派っぽくも感じる。印象派など筆触を特徴とする画風は、つくづく本物を観るに限るな~と思いますね。

ちなみに画家”ホーマー”ですが、実のところ私も詳しくは知りませんでした。

私なりに調べてみたのですが、バルビゾン派に影響を受け写実的な作品を描いた画家だそうです。時代的に戦争にも従軍していたので、戦争の様子を描いた作品も数多く残しているのも押さえたい部分ですね。

 

「キャサリン・チェイス・プラット」(1890年)ジョン・シンガー・サージェント

「キャサリン・チェイス・プラット」(1890年)ジョン・シンガー・サージェント

・101.9×76.7cm、カンヴァスに油彩、ウスター美術館所蔵

そして”ジョン・シンガー・サージェント(John Singer Sargent)”の作品も展示していました。

サージェントはフランスやイギリスでの活動が主でしたが、実は純粋なアメリカ出身の画家です。

特に肖像画での活躍が目立つので、個人的なイメージですが”女性”を描かせたら、右に出る者はいないと思っています。代表作は誰もが知る「マダムXの肖像」で、数年前に日本で展示されたので覚えている人もいるかと。

 

「コルフ島のオレンジの木々」(1909年頃)ジョン・シンガー・サージェント

「コルフ島のオレンジの木々」(1909年頃)ジョン・シンガー・サージェント

・55.9×71.1cm、カンヴァスに油彩、ウスター美術館所蔵

そういえば、サージェントの印象派的な風景画もありました。

私の中ではサージェントは印象派の画家というイメージがなかったので、この作品を観れたのは意外というかオモシロイ発見でしたね。

 

 

「コロンバス大通り、雨の日」(1885年)フレデリック・チャイルド・ハッサム

「コロンバス大通り、雨の日」(1885年)フレデリック・チャイルド・ハッサム

・43.5×53.7cm、カンヴァスに油彩、ウスター美術館所蔵

そして今回一番気になっていた画家が”フレデリック・チャイルド・ハッサム(Frederick Childe Hassam)”です。

アメリカ印象派の立役者の画家で、今展では4点の作品が展示しました。中でも特にお気に入りが、上の「コロンバス大通り、雨の日」という作品です。

制作は1885年で、まだまだ本格的に印象派にのめり込む前の作品。全体的に薄暗い作風ですが、でもどことなく印象派っぽく感じもしませんか!?ちょっと歴史を感じる都市部とそこに住む人々の様子を描いた作品で、思うにハッサムの一番描きたかった作品だろうと。

それにしても馬車や人物の後ろ姿を描くなんて、私が言うのもなんですが”洒落た”感じがしますね。
※参考⇒これは魅入る! 日本人が好みそうな”チャイルド・ハッサム”の作品ベスト3!!

 

「森の池」(1892年)ジョージ・イネス

「森の池」(1892年)ジョージ・イネス

・56.2×69.5cm、カンヴァスに油彩、ウスター美術館所蔵

そして後半に見かけた”ジョージ・イネス(George Inness)”の「森の池」も、妙に惹かれる一枚でした。何とも神秘的で、観ているだけで不思議な感じに思えたからです。

ちなみに展覧会の後半では、「トーナリズム」という用語が頻繁に登場してきますが、思うにアメリカ絵画において重要な画風になるかと。この機会にちょっと頭に入れておくのもイイかと思います。

 

トーナリズム(Tonalism)

19世紀末から20世紀初頭にかけて米国に現われた風景画の一様式。色調主義。用語そのものは1890年代の終わりに米国の美術批評家たちが国内絵画の新たな傾向を「トーナル(色調)」と評したのが始まりとされる。

トーナリズムの作家はバルビゾン派やハドソン・リバー派、また浮世絵に影響を受けながらも、霧、影、柔和な光で覆われた自然景を茶、灰、青などのくすんだ色彩を用いながら、静謐(せいひつ)な自然景の中に主観的な内省世界を投影した象徴主義的な絵画を制作した。

・出典元:美術館・アート情報のWebマガジン「artscape」のトーナリズム解説より一部抜粋

淡くくすんだ色彩から、一見すると地味に見えるかもしれない。

でも神秘的で抽象主義的な感じから、ターナーが好きな人は好きな画風かもしれませんね。

 

 

「印象派 モネからアメリカへ ウスター美術館所蔵」※フォトスポット

展示数が少なめだったりと内容的な薄さはあったにせよ、でも素敵な作品に出会えることは出来た。特に先ほど挙げたチャイルド・ハッサムジョージ・イネスの作品は良かったですね。

それに次でも話しますが、グリーンウッドという画家も非常に良かった。

印象派もそうだけど、作品は鑑賞者の感性に訴える部分も多いと思うので、こればっかりは実際に観に行かないと分からないですね。^^

 

 

「印象派 モネからアメリカへ ウスター美術館所蔵」 …東京都美術館にて

という感じの「ウスター美術館所蔵 印象派」展でしたが、気になる方はぜひ行ってみるのもイイかと思います。

 

東京展は2024年4月7日(日)まで開催します。
⇒”東京開催の「ウスター美術館所蔵 印象派」開催概要

その後は郡山や八王子、大阪でも巡回開催するので、気になる方はどうぞ!

 

 

 

 

私が気になる”アメリカの印象派画家”を一人チョイス!

考え

て、今回気になる画家を発見したので、紹介したいと思います。

実は私もよく知らない画家だったのですが、作品が何とも魅力的だったのです。

その名も”ジョゼフ・H・グリーンウッド(Joseph H Greenwood)”で、アメリカ出身の画家です。

今回「ウスター美術館展」で展示された作品は、以下の2点ありました。

・「リンゴ園(1903年)50.8×76.2cm、カンヴァスに油彩
・「雪どけ(1918年)76.2×106.7cm、カンヴァスに油彩

 


上の動画では、”4:17分頃”に作品「リンゴ園」が登場してきます。

グリーンウッドの生まれは、マサチューセッツ州にある町”スペンサー(Spencer)”で、ウスター群にある小さな田舎町だそうです。地元ウスターの風景を数多く描いた事から、”ウスター美術館”を代表する画家と言っても過言ではないかと。

今後グリーンウッドの作品と出会える機会はあるかは分かりませんが、今回こうやって出会えたのは嬉しい”(めぐり合わせ)”ですね。^^

 

 

 

東京開催の開催概要とチケット・撮影は?

東京都美術館で開催の「印象派 モネからアメリカへ ウスター美術館所蔵」

印象派作品は風景を見る感じで鑑賞できるので、普段美術に親しんでいない人でも気楽に楽しめるのが魅力!

モネやルノワール、コローといった有名画家の作品もありますが、普段なかなか出会えないアメリカの画家の作品も展示されています。新たな発見できるかもしれない!?ので、興味のある方は行ってみるのもイイかと思います。

 

東京開催印象派 モネからアメリカへ ウスター美術館所蔵

・会期:2024年1月27日(土)~4月7日(日)
・会場:東京都美術館にて(東京都台東区上野公園8-36)

・時間:9:30~17:30まで(金曜は20:00時まで)※入館は閉館の30分前まで
・休館:月曜日、2月13日(火) ※2月12日(月)、3月11日(月)、3月25日(月)は開館します。
・観覧料:一般 2,200円(前売2,000)、大学・専門学生 1,300円(1,100)、65歳以上 1,500円(1,300)
 高校生以下は無料

 

チケットについて…

公式サイトにも記載がありますが、混雑が予想されるためだそうですが、土日・祝日・4月2日以降は日時指定予約制になっています。

平日は特に指定券は必要ないですが、どちらにせよ行く予定でいるなら、前もってチケットは購入しておく事をおススメします。

 

撮影について…

今回の「ウスター美術館所蔵 印象派展」ですが、基本的に撮影スポット以外は撮影が不可になっています。

 

 

 

その後の「ウスター美術館所蔵 印象派」の開催予定は?

美術館の前にチケット購入

東京後は、各地で巡回開催予定になっています。

気になる方は日程をチェックして行ってみるのもイイかと思います。

 

印象派 モネからアメリカへ ウスター美術館所蔵

・(東京展)2024年1月27日(土)~4月7日(日)、東京都美術館にて
・(郡山展)2024年4月20日(土)~6月23日(日)、郡山市立美術館にて
・(八王子展)2024年7月6日(土)~9月29日(日)、東京富士美術館にて
・(大阪展)2024年10月12日(土)~2025年1月5日(日)、あべのハルカス美術館にて

 

目玉作品にモネの「睡蓮」が紹介されていますが、個人的にはアメリカの印象派作品に注目してほしい!

日本ではなかなかお目にかかれない作品に出会えるかもしれないから。

 

「印象派 モネからアメリカへ ウスター美術館所蔵」 …東京都美術館にて

というわけで展覧会に行った際は、純粋な気持ちで作品を見てほしい。

そしてイイな!と思う作品と出会ってほしいものです。

 

美術鑑賞は感性に訴える部分も多いので、実際に観ないと分からないですから!!

 

 

 

※ここで扱っているイラストや作品画像はpublic domainなど掲載可能な素材を使用しています。

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