”シュルレアリスム(超現実主義)”が理解できると、芸術の世界が何となく分かってきます。すると絵を見るのがますます楽しくなってきます!
例えばサルバドール・ダリやジュアン・ミロ、エルンスト、マグリットの作品だってそうです。日本を代表する芸術家岡本太郎の名言”芸術は爆発だ!”の意味も分かるようになる。
シュルレアリスムは様々なものを一本の線でつなげてくれるのです。
とはいっても、いざ辞書で調べてみると”超現実主義”と書かれていたりします。何のことやら?って感じですよね!?
今回は”シュルレアリスム”を私なりに超~分かりやすく話していきたいと思います。また画像も随所に挙げているので、超現実的な雰囲気を体感しながら、シュルレアリスムを知ってくれると幸いですね。
”シュルレアリスム(超現実主義)”とは?
”シュルレアリスム(Surrealism)”日本語では”超現実主義”と訳されます。
ちなみに、辞書で調べるとこの様な意味で書かれています。
超現実主義。第1次世界大戦後、ダダの流れをくみながらその破壊的な性格を否定して建設的方向に転じた文学、美術の革新運動。ブルトンが1924年に「シュルレアリスム宣言」を発表して、この運動を明確なものにした。この名称はアポリネールの造語になるが、この運動の基盤にはフロイトとマルクスの思想がからみ合っている。すなわち芸術作品から合理的、理性的、論理的な秩序を排除し、代りに無意識の表現を定着させることを意図し、そのことによって失われた人間存在の全体性を回復しようとする人類救済の意志を蔵している。したがってシュルレアリストは創作に際し、想像力、幻覚、妄想、夢、狂気、驚異に絶対的信頼をおき、それらを表現するためにオートマティスム (自動記述) やデペイズマン (違和効果) の技法を用いた。
※「ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典」より抜粋
どうです?分かったようで、何だか分からないですね…。
さて私的に超ざっくりと説明します。
分かりやすく言うと、シュルレアリスムは思考の裏側にある無意識(潜在意識)の世界を描いたもの。無意識にある想像力を引き出すことで、これまでになかった様な多様な芸術が誕生することを期待したわけです。
さて心理学では、人間の意識は顕在意識と潜在意識の2つに分かれます。
氷山で例えるなら、表面に姿を現している部分。これが普段の生活で自覚できる意識、つまり“顕在意識”と言われるもので、全体のたった1割程度だと言われています。対して、自覚される事はないけれど、知らない間に考えや行動に影響を与えている意識“潜在意識”は約9割と言われています。シュルレアリスムは9割の潜在意識の中にあるものを引き出そうとする事です。今まで描かれた事がない様な想像力溢れた作品が生まれてきそうですよね!
さてシュルレアリスムはフランスの詩人アンドレ・ブルトンが提唱した芸術運動で、1924年に発刊した書物「シュルレアリスム宣言」がきっかけと言われています。
さて、私はここでシュルレアリスムってまさにブレスト(ブレーンストーミング)と同じだな!と思ったのです。※ブレストは俗に会議でアイデアを出す手法の事。
会議でアイデアを出す際、これは常識的に考えると駄目だから~と常識の範囲内で考えるとありきたりなアイデアしか出てこない。でも常識や先入観を切り離して考えると、これまでにない様な奇抜な発想が出てきたりします。 今までの先入観や常識、論理的な考えをいったん除外する。とにかく何も考えずに絵を描こう!って事でしょうか。すると、今までになかった様なアイデアや想像力が生まれるって事なんでしょうね。シュルレアリスムでは夢や幻想、幻覚といった内容の絵が多いのは、常識や先入観を捨て去って描いているからなんでしょうね。
さて、ここでこんな疑問が湧きませんか??ではどうやって無意識を絵で表現するのか??自覚できない意識を引き出すって、そもそも不可能じゃないの?と。でもその話をする前に、まずはシュルレアリスムを代表する画家たちを挙げてみたいと思います。
シュルレアリスムを代表する画家たち
シュルレアリスムと言って思い浮かぶ画家…
おそらく一番有名なのが
スペインの画家”ダリ”だろうと思います。
”サルバドール・ダリ(Salvador Dalí)”
他に挙げるとしたら…
・マグリット(ルネ・マグリット)
・サルバドール・ダリ
・マックス・エルンスト
・エドガー・エンデ
・イヴ・タンギーなど
このシュルレアリスムはヨーロッパだけでなく、
その後、世界中へと拡大していきます。
もちろん日本にも影響を与えました。
特に詩人で画家の瀧口修造(タキグチシュウゾウ)は有名です。
元々この芸術運動は
アンドレ・ブルトンによって広がった運動でした。
”シュルレアリスム”のリーダー的な存在だっただけに、
アンドレ・ブルトンが亡くなった頃(1966年)になると、
そのシュルレアリスムの勢いも落ちてきたと言われています。
このシュルレアリスムという芸術は
奇妙な世界観や抽象的な雰囲気を持った作風だけに、
最初はちょっと抵抗があるかもしれませんね。
でも観れば観るほど深みにハマる魅力があるのも事実!
ではそのヒントになるかもしれない、
シュルレアリスムの絵画鑑賞の方法を紹介したいと思います。
シュルレアリスムの描く方法は?
シュルレアリスムは無意識を絵で表現したもの。でもここで1つの疑問が湧いてきます。どうやって無意識を絵で表現するのだろう?
実は方法はいくつもあるそうですが、大きく分けると2つになります。先ほどの辞書にも載っていますが、オートマティスム(自動記述)とデペイズマン(違和効果)の2つの技法になります。
シュルレアリストは創作に際し、想像力、幻覚、妄想、夢、狂気、驚異に絶対的信頼をおき、それらを表現するためにオートマティスム (自動記述) やデペイズマン (違和効果) の技法を用いた。
※「ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典」より抜粋
手法1つ目!…自動記述(オートマティスム)
超高速でなんでもいいから描き続けていく。すると 常識が捨て去られ新しいものを生もうというやり方です。
手法2つ目!…違和効果(デペイズマン)
本来あるべきところから、別のところに移してみる。すると違和感が生まれてくるというもの。例えば地面の上にいるゾウを、空に描いてみる。するとこれまでになかった様な違和感が生まれてくるというもの。 実はこのシュルレアリスムは 文学的で哲学的だったりで堅苦しいイメージがありますが、 でもこのシュルレアリスムは知れば知るほど面白い!これまでになかった様な作風が続々登場します。だって常識的に考えずに無意識にあるものをえぐり出したわけですから! 観れば観るほど深みにハマる芸術だと思うのです!!
私なりのシュルレアリスムの鑑賞方法を紹介!
シュルレアリスムはその画家の無意識の世界を絵に表現したものです。幻想的だったり、夢や幻惑だったり…、中には理解に苦しむような作品もあります。絵を見ても全く分からないものもあります。でもそんなの関係ない!まずは実際に美術館に行って、作品と向き合う事が大切!
今回は私がおススメする”シュルレアリスムの鑑賞方法!”をレベル毎にお伝えしたいと思います。
レベル1,何だかオモシロイ!の感想で十分!
私的にまずおススメする見方はこれです。とにかくシュルレアリスムの作品を見てみる事。はっきり言って意味が分からないものも多いと思います。それでもいいのです。とにかく見てみる。そして“何だかオモシロイ!”そんな感じで十分!とにかく何だかイイ!の気分で気楽に見てみよう!
レベル2 これって何だろう?と興味を持ってみる。
とにかく見える!の次のステップがこちらです。まずは描かれている物に興味を持ってみる。これって何だろう?? 何ぜ浮いているのだろう?? なぜ顔がないのだろう?? 1つのものにポイントを絞って、興味を持ってみてみよう! すると、自分なりの解釈が生まれてきます。
レベル3,画家の無意識の世界を覗き見る!
これはある意味最終段階だと思っています。まずシュルレアリスムはある意味”覗き”に近いもの。一番楽しめる鑑賞方法は画家の無意識の世界を覗き見る!って事です。”この絵は一体何を意味しているのだろう?”、”これはどんな世界観なのだろう?”。…こんな風に自分なりに考え想像して画家の無意識の中を探ってみるのが一番の醍醐味!!
隣の部屋で何かだ物音がする!ちょっと隣と繋がっているノゾキアナで覗いてみよう!こんな要領で作品から画家の内面を覗き見ようというのが最終段階!自分なりの解釈でも構いません! 実はダリの作品は子供の頃のトラウマが描かれているとも言われています。 作品からダリの幼少期のトラウマや苦手な物が見えてくるわけです。
実は海外の企業では研修で”シュルレアリスム”を鑑賞する事もあるそうです。シュルレアリスムの作品は感性を磨くにも最適なのかもしれませんね!!
ぜひあなたもシュルレアリスムで、覗きの面白さを体感してみましょう!!
※ここで扱っているイラストや作品画像はpublic domainなど掲載可能な素材を使用しています。
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