何気に凄い! 画家”ピーテル・クラース”について解説します。

静物画家”ピーテル・クラース”について解説!

 

今回紹介したい画家は、静物画の分野で活躍したピーテル・クラースです。

 

日本でも度々目にする画家ですが、その時は決まって嬉しくなってしまいます。あれほどリアルな描写を見せられたら、おそらく誰もがニヤケてしまうでしょうね。

さすがは17世紀のオランダ”黄金時代”に、静物画の分野で勝負した画家だけあるな~と。

 

目次

ピーテル・クラースはどんな画家なの?
17世紀のオランダで、あえて静物画で勝負する自信!?

それでは画家”ピーテル・クラース”の作品を見ながら、どんな画家なのか話していこうと思います。

 

 

 

ピーテル・クラースはどんな画家なの?

Story

いきなりどう凄いのか!?について話すのもなんですから、まずは作品を見ながら”ピーテル・クラース”について解説していこうと思います。

 

17世紀のオランダといえば、当時は「黄金時代」と呼ばれていました。経済的にも芸術や学問の分野でも、世界をリードする立場にありました。有名どころの画家で言えば、フェルメールやレンブラントは特に有名だと思います。

他にもフランス・ハルスやハブリエル・メツーなど、名立たる画家が活躍していました。つくづく当時のオランダって、凄い時代だったんだな~と思いますね。

 

「静物」(1625‐1627年頃)ピーテル・クラース

「静物」(1625‐1627年頃)ピーテル・クラース

・49.8×74.8cm、カンヴァスに油彩、個人蔵

そんな時代に、静物画の分野で活躍したのが今回紹介する”ピーテル・クラース”という画家です。

 

クラースゾーン、ピーテル Pieter Claesz.

1600頃(おそらく1597年)ー1660年

オランダの画家。ブルクシュタインフルト(一説でがハールレム)に生れ、ハールレムで没。フロリス・ファン・デイク(Floris Claesz. van Dyck、1575ー1651)の弟子。ヘダと並ぶ17世紀オランダ静物画の代表者。食卓上の静物をおもに描くが、1630年頃から秩序ある画面構成となり、40年以後はとくに色彩が強烈に豊かになる。代表作『静物』(1636、ロッテルダム美術館)、『カニのある静物』(1644、ストラスブール美術館)など

・出典元『新潮 世界美術辞典』

 

ず作品を挙げるなら、食卓上の静物画は外せないと思います。

「静物」(1642年)ピーテル・クラース

「静物」(1642年)ピーテル・クラース

40×51cm、カンヴァスに油彩、個人蔵

一般的なピーテル・クラースのイメージは、骸骨を取り入れた、俗にいうヴァニタスという静物画で知られているかもしれませんね。確かにそれも間違いじゃないと思います。でも前提として果物やグラス、食物などを描いた静物画を抜きには語れないと思っています。

 

というのも、果物などの静物は”時間的な経過”を表わす側面もあるので、「ヴァニタス」に通じると思っているから。

 

「ヴァニタスの静物画」(1630年)ピーテル・クラース

「ヴァニタスの静物画」(1630年)ピーテル・クラース

39.5×56cm、カンヴァスに油彩、マウリッツハイス美術館所蔵

一見不気味にも感じるかもしれないけれど、実は「ヴァニタス」は”人生の儚さ”を象徴する寓意画の様なもの。

先日のSOMPO美術館で開催した「ゴッホと静物画」展でも展示されていましたが、骸骨が描かれていても、怖さとか不気味さはあまり感じなかったと思います。

「ヴァニタス」は”死は必ず訪れる”という”人生の儚さ”を描いた寓意画。ある意味教訓的な意味合いも兼ね備えた作品なのです。ホラー的な目的で描いた作品ではないわけです。

 

 

て、ここまでの説明で”ピーテル・クラース”がどういった画家なのか分かってきたと思います。

17世紀のオランダ”黄金時代”に、静物画というジャンルに特化した画家。

そしてもう一つ大きなポイントがあって、当時のオランダにおいて「静物画」は格の低い絵画と見なされていた事。「静物画」が低く評価されていた時代に、あえて静物画で勝負しているのが、私が思うピーテル・クラースの凄さだったりします。

それは次で詳しく話していこうと思います。

 

 

 

17世紀のオランダで、あえて静物画で勝負する自信!?

考え

て、ここからの話が”ピーテル・クラース”が凄い画家!の理由になってきます。

 

長い西洋絵画史を見てもそうですが、様々ある絵画ジャンルの中で「静物画」の評価は低いものでした。

17世紀頃までの西洋では、宗教画や歴史画が最も高く評価されていて、「静物画」は様々ある絵画の中でも下の下だったわけです。今思うと、ちょっと信じられないと思います。

もっと言ってしまえば、絵のトレーニングのための題材だったとも言われています。

 

「静物」(1625‐1626年頃)ピーテル・クラース

「静物」(1625‐1626年頃)ピーテル・クラース

・30.5×39.5cm、板に油彩、個人蔵

ちなみに専門的な言葉で説明するなら”絵画のヒエラルキーの下位に位置づけられていた”となります。
(※ヒエラルキーは、階層や階級と言った意味になります。)

この言葉はよく出てくるので、この機会に覚えておいて損はないと思います。

 

 

談にはなりますが、静物画はフランス語でnature morte

意味は死せる自然となります。

英語では”still life”と書くので、ニュアンス的には生命が続いているとなるでしょうから、いかにフランスでの静物画の扱いが低かったかが分かると思います。

 

「静物(detail)」(1625‐1626年頃)ピーテル・クラース

「静物(detail)」(1625‐1626年頃)ピーテル・クラース

 

そんな時代にあえて静物画で勝負しているわけですから。これってどういう意味か分かりますか??

 

私の解釈にもなりますが、自分の画力を示すためだったのでは?と思っています。

つまり画家としての力量に自信があったからだと思うのです。

歴史画や神話画、宗教画はジャンル自体が高く見られていたので、描かれた背景やテーマが重要視されていた。ちょっと表現に語弊があるかもしれませんが、ほどほどの画力でも歴史画や宗教画を描いてさえいれば評価されたって事になります。

でも静物画はジャンル自体が低く見られていました。しかも描かれた物に意味や背景ってほとんどありませんから。そうなると絵の上手さと言うか、画力が純粋に観られてしまうと思っています。

 

「静物」(1647年)ピーテル・クラース

「静物」(1647年)ピーテル・クラース

40×61cm、カンヴァスに油彩、エルミタージュ美術館所蔵

しかも17世紀のオランダは黄金時代でしたから、優れた芸術家も多かった。そんな競争の激しいオランダで、あえて格の低い「静物画」で勝負しているわけですから。これって画家として、画力に自信がないと出来ない!と思いませんか?

実際に作品を見ても分かりますが、物凄く上手いですよね。

 

私が思う醍醐味
私が最初に発した言葉…

静物画で勝負しているという時点で、ピーテル・クラースは凄い画家!の理由が分かってもらえたかと思います。

 

一見すると「静物画」は地味かもしれない。

でも描かれた物に画家の自信と野心が込められていると考えると、ちょっとは見る目も変わってきませんか?私的にかなり「静物画」はオモシロイ絵画だと思っているので、ちょっとはその一部分でも感じてくれたら嬉しいでしね。

 

 

※ここで扱っているイラストや作品画像はpublic domainなど掲載可能な素材を使用しています。

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