- 2023-10-25
- Impression (絵画展の感想)
- コメント:2件
先日SOMPO美術館で、「ゴッホと静物画 ー 伝統から革新へ」を観てきました。
ゴッホの「ひまわり」や「アイリス」ばかりが注目されがちですが、自称”美術通”を謳っている私からすると、それだけでは勿体ない。
もっと目を向けてほしい画家や作品がたくさんあります。
静物画は一見地味に見えますが、実はかなり面白い絵画です。実際に観れば分かりますが、おそらく釘付けになる作品ばかりかと。
今回は「ゴッホと静物画」展の様子やレビューを交えながら、見所作品についても話していこうと思います。
また後半では、私が推したい画家も挙げているので、これから行く人はぜひ参考!
【 目次 】 ・「ゴッホと静物画」展の開催概要 |
「ゴッホと静物画」展の開催概要
日本で唯一ゴッホの「ひまわり」と出会える場所と言えば、新宿にある”SOMPO美術館”しかありません。
そういった意味でも、「ゴッホ展」には最も適した場所だろうと思います。
【 ゴッホと静物画 ー 伝統から革新へ 】 ・会期:2023年10月17日(火)~2024年1月21日(日)まで ・時間:10:00~18:00(11月17日(金)と12月8日(金)は20:00まで)※入館は閉館の30分前まで ・観覧料:当日券一般2,000円(事前購入は1,800円)、当日券大学生1,300円(事前購入は1,100円) |
私はこれまで何度もSOMPO美術館に足を運んでいますが、やっぱり名画「ひまわり」はLIVE感に限りますね!
平面の絵でありながら、3D的な立体感も味わえる。ゴッホを象徴する厚塗りの技法は、間近で観てこそ真価を発揮すると思っています。何度観ても、常に新鮮味が味わえる。これはゴッホの名画たる所以でしょうか。
ちなみに余談ですが…
SOMPO美術館前にある↑右の看板ですが、これもちょっと注意して見てほしい!
おそらくレプリカでしょうけど、単なる平面的なポスターじゃない!しっかりと厚塗りが表現された立体的なレプリカになっているのが凄い。こんな所にも、SOMPOのこだわりが感じられたのは、何とも嬉しい発見ですね。
「ゴッホと静物画」展のチケットや混雑状況、撮影は?
おそらく多くの人が気になるのが、混雑状況などでしょう。
今回はゴッホが主役の展覧会ですから。
私は休日に行ったのですが、思った以上の賑わいでした。(私の予想を超えた多さにビックリ!)
参考になるか分かりませんが、まずはチケットや美術館の状況などについて話していこうと思います。
チケットについて…
大きく分けると当日券(美術館窓口の販売)と日時指定券(アソビュー!)の2つがありますが、個人的おススメは日時指定券一択!
観覧料は事前にアソビューで購入しておけば1,800円で、200円お得に!一般の当日券だと、2000円ですから。それに休日混んでいた場合はスムーズに買えない事も想定できますから。
混雑状況について…
こればっかりは行かないと分からないというのが本音です。
平日はそこまで混まないと思いますが、休日はそれなりの混雑が想定されます。何せ、ゴッホが主役ですから!
そしてココが重要なポイントで、「ゴッホと静物画」展では、入場時の手荷物検査があります。おそらく昨今の環境活動家による絵画を汚すテロ行為が一因かと思います。ただ検査のためそれなりに並ぶ可能性があるので、出来るなら早めに行った方がイイかもしれませんね。
とにかく以前に比べてセキュリティー面が厳しくなった感じがするのは、さすがに残念というか悲しいというか…。
写真撮影について…
撮影は基本的にはOKになっていました。
一部撮影不可の作品もありますが、それはマークが付いているので分かると思います。またどの美術館でも言えることですが、フラッシュ撮影や動画撮影は禁止なので、ルールを守った上で楽しんで欲しいと思います。
とにかく”SOMPO美術館”は、じっくり作品と向かい合うには最適な場所です。
ぜひ今週に行ってみるのもイイと思います。良い気分転換になると思いますよ。^^
「ゴッホと静物画 ー 伝統から革新へ」をレビューします!
それでは「ゴッホと静物画」展のレビューをしていこうと思います。
前もって出品リストに目を通していたので、どんな作品が見れるかは分かっていました。それでも実際に本物を観ると、つくづく来て良かったな~と。
直接絵画作品と会って対話する!!
これは美術館に行かないと味わえない醍醐味だから。
それにゴッホ作品は、厚塗りが特徴でもあるので、本物を観るに限るわけです!
さてゴッホが主役の「ゴッホと静物画展」ですが、個人的には他にも嬉しい画家が勢ぞろいでした。
まずは、ゴッホ以外の作品から挙げていこうと思います。
・40×60.5cm、パネル(木版)に油彩、クレラー=ミュラー美術館所蔵
まずお出迎えしてくれたのが”ピーテル・クラース(Pieter Claesz.)”の「ヴァニタス」でした。
この画家と会うのは、何だか久しぶりと言う感じですね。しかも最初に登場したのが、骸骨を描いた作品だったので、なおさら衝撃的でした。
個人的に静物画は好きなジャンルで、純粋に絵の上手さを味わえるのは最高にイイですね。しかも「ヴァニタス」は寓意的な要素が加わっているだけに、より味わいも深い!
ピーテル・クラースはオランダの黄金時代に活躍した画家なので、知らない人はぜひこの機会に覚えてほしいと思います。
・59.1×51.5cm、カンヴァスに油彩、国立西洋美術館所蔵
そしてもう一人挙げたい画家が、”アンリ・ファンタン=ラトゥール(Henri Fantin-Latour)”です。
この作品は国立西洋美術館でも度々お会いしますが、やっぱりイイ物は良い!!「常設展」で何回も観ているというのに、今回の様に他の美術館で観ると、また違った印象を受けるものです。
観る場所や時期よって、作品の雰囲気や印象が違ってくる!
これも美術館で絵画を観る醍醐味だと思っています。
・57.7×48.8cm、カンヴァスに油彩、スコットランド・ナショナル・ギャラリー所蔵
そしてゴッホの静物画と言ったら、ドラクロワ(Eugene Delacroix)も忘れてはいけない!
ロマン主義を代表する画家なので、一見関係がないかな~と思いきや、実はゴッホに相当影響を与えた画家です。
ちなみに次に挙げるモンティセリも、ゴッホを語る上では超重要な画家です!
おそらくゴッホにとって、最も影響力があった画家と言ったら”アドルフ・モンティセリ(Adolphe Monticelli)”になるかと。
とにかく画風というか、描き方は通じる部分が非常にあるからです。
写真ではよく分からないかもしれませんが、厚く盛られた絵の具がゴッホとの共通点を表わしています。
今回展示されていたモンティセリの作品は、上で挙げた「花瓶の花」の1点だけでした。
個人的には、もうちょっと展示して欲しかったな~と。欲を言ったらキリがないわけですが、これも”美術好きの性”ってものでしょうか。
…という感じで始まった「ゴッホと静物画」展ですが、最初からイイ作品の連続ですね。^^
静物画って一見地味かもしれませんが、実は超オモシロイ絵画ジャンルだったりします。それは実際に行って味わってほしいですね。
さて、ここから少しずつゴッホの作品も挙げていきたいと思います。
今回ゴッホの作品で最も印象に残った作品が、上の「野牡丹とばらのある静物」でした。
おそらくゴッホ好きなら、何となく違和感を感じませんか?
構図やタッチ、そして署名の位置が、いつものゴッホ作品とはちょっと違うから。科学的調査では、ゴッホの使用していた絵具だと確認されたそうですが…。
でも私が思うに、こういった花の静物をゴッホが描くとは思えない。
私の解釈では他の誰かが、ゴッホの絵の具を使用して描いたのでは?と思いますが、あなたはどう思いますか?
とにかく個人的に嬉しかったのが、こうやって静物画というジャンルにスポットライトを当ててくれた事!
一般的に”静物画”に絞った展覧会は、あまりないですからね。こういう粋な展覧会が開けるのも「ひまわり」を所蔵しているSOMPO美術館ならではの強みでしょうか。
・32.3×43.2cm、カンヴァスに油彩、ファン・ゴッホ美術館所蔵(アムステルダム)
私事の意見になりますが、ゴッホの描く「静物画」は、静物だけれど”静物”じゃない!と思っています。
内面の感情が露出している様にも見えるので、私的には表現主義といった感じでしょうか。
・92.7×73.9cm、カンヴァスに油彩、ファン・ゴッホ美術館所蔵(アムステルダム)
例えば今回の見所作品になっている「アイリス」も、まるでゴッホの内なる感情が表現されているようです。
1890年と言えばゴッホの亡くなった年(晩年)です。亡くなる人間が描いたとは思えないくらい、活き活きとした生命力を感じませんか?黄色が映えるためか、より活力を感じますね。
100.5×76.5cm、カンヴァスに油彩、SOMPO美術館所蔵
そして最後に挙げる作品は、SOMPO美術館を象徴する名画「ひまわり」です。
「SOMPOひまわり生命」と社名になるくらいですから、いかに重要な作品かが分かると思います。
それにしても普段「ひまわり」は目にしていますが、展示場所が変わると雰囲気も変わる。いつもなら3階でガラスケースに覆われる状態なのに、今回は4階で大胆な展示がされています。
いつもより大きく感じたのは私だけでしょうか。こういう違った発見が出来るのも、美術館ならではですね。
締めに、私が”推したい画家”を紹介したいと思います。
最後に「ひまわり」と言っておきながら、どうしてもこの画家だけは挙げたかった!
それが”イサーク・イスラエルス(Isaac Israels、1865年ー1934年)”です。
印象派を代表するオランダの画家で、ゴッホの「ひまわり」をオマージュした画家でも知られています。
※オマージュは、尊敬、敬意という意味。
見て分かる通り、作品の中に「ひまわり」が描かれていますよね。
実はゴッホの弟テオの妻ヨーとは友人の関係にあったようで、作品を借りていたそうです。ちなみに描かれている「ひまわり」は、現在ロンドン・ナショナル・ギャラリー所蔵の作品。現在の価値で言ったら、数十億は下らないはずだろうし、それを借りられるって…。私個人の本音ですが、本当に羨ましいですね。
とにかく「ゴッホと静物画」展で、イサーク・イスラエルスの作品を持ってくるとは、さすがはSOMPO美術館と言った所でしょうか。今回は2点ほど展示されていましたが、個人的に超嬉しい!の一言です。
私の様な素人が言うのもなんですが、SOMPOのセンスの良さを感じますね!^^
イサーク・イスラエルスは、あまり知られていないかもしれないけど、実はゴッホの凄さを伝えるには最適な画家だと思っています。名画「ひまわり」もやっぱりイイけれど、画中画から垣間見る「ひまわり」も、また違った良さがある!
だってゴッホの影響力の大きさを感じられるからです。
という感じの「ゴッホと静物画 ー伝統から革新へ」でした。
新宿にあるSOMPO美術館で、2024年1月24日まで開催するので、興味のある方は行ってみるのもイイと思います。
静物画は絵画に詳しくない人でも、気楽に楽しめるジャンルですし、何より今回はゴッホの作品が25点も集結しています。ただ休日は混む可能性が大なので、予約をしてから行ってみるのもイイと思います。
※ここで扱っているイラストや作品画像はpublic domainなど掲載可能な素材を使用しています。
コメント
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ゴッホ展、次の休みに行くんです。だから、凄い楽しみです。
コメントありがとうございます。
思いっきり楽しんできてくださいね!^^