鑑賞方法が超重要!? 「ガウディとサグラダ・ファミリア」展を観てきました。

東京国立近代美術館で開催の「ガウディとサグラダ・ファミリア展」

 

予想通りの混雑ぶりだったガウディとサグラダ・ファミリア」展

 

先日東京開催に行ってきたのですが、やっぱりサグラダ・ファミリア(Sagrada Familia)の注目度は絶大!って事でしょうか。今後は滋賀愛知と巡回で開催します。実は観てきた私だから言える事ですが、鑑賞方法が非常に重要じゃないかな~と思っています。通常の美術展というよりも、建築展に近いからです。

せっかく行くなら、楽しまないと損!というわけで、今回は私の感想レビューを交えながら、鑑賞方法について話していこうと思います。これから行く予定の人は、参考にしてもらえたら幸いですね。

 

目次

はじめに
ところで”サグラダ・ファミリア”はどんな建物?
「ガウディとサグラダ・ファミリア」の構成と感想レビュー
楽しく見るためのポイントは、順番と選択と集中

・滋賀開催:2023年9月30日~12月3日、佐川美術館にて
・愛知開催:2023年12月19日~2024年3月10日、名古屋美術館にて

 

 

はじめに…

早速私の感想を言ってしまいますが、”サグラダ・ファミリアはやっぱり教会なんだな~”と。

”やっぱり教会って”当たり前じゃないかと言われそうですが、実は物凄く深い意味を含めての事だったりします。(※その理由は後ほど話しますね)

 

東京国立近代美術館で開催の「ガウディとサグラダ・ファミリア展」
さて、今回の「ガウディとサグラダ・ファミリア」は、美術展というより建築展に近い感じの仕上がりになっています。良くも悪くも、非常に真面目に作られた内容になっています。よく言えば丁寧で密度が濃い。悪く言えば説明が多めという印象です。私の様に美術館に行っても、ほとんど解説を見ない人間にとって、今回の「サグラダ・ファミリア展」はちょっと疲れてしまうわけです。

ちなみに普段筋トレで体を鍛えている私でも、隅々までキッチリ見たら後半はガス欠します。体力に自信のない人だったら、なおさらですよね。だからこそ、順番とポイントを絞って鑑賞した方が絶対に良い!と思うわけです。

今回は実際に行ってきた私のレビューを元に、誰もが楽しめる鑑賞方法について話していこうと思います。また随所に参考として”サグラダ・ファミリア”の写真(掲載可能画像)や最低限知っておいてほしい知識も加えています。これから行く予定の人は参考にしてもらえたら幸いですね。

 

 

ところで、”サグラダ・ファミリア”はどんな建物?

解説

まずはサグラダ・ファミリア(Sagrada Familia)という建物について話そうと思います。

エッ!そんなの知っているよ!と思うでしょうけど、でもココが非常に大事だと思っています。サグラダ・ファミリアは独創的な建築のため、話題性や注目度が先行しがちです。意外とどんな建物なのかよく知らない人も多い様です。まずは「新潮 世界美術辞典」を挙げながら、私なりに分かりやすく解説しようと思います。

 

サグラダ・ファミリア聖堂 (Sagrada Familia)

聖家族聖堂の意。スペインのバルセローナにあるガウディ設計の聖堂。1883年ガウディが主任建築家となり、1884-91年にクリュプタを建造。しかし以後、前任者ビリャール(Francesco de Paula del Villar i Carmona)の設計を大きく変更して比類のないアール・ヌーヴォー的デザインを形づくり、1926年に没するまで工事をつづけたが、四つの特異な塔をもつ東袖廊外壁を建てたのみでほとんど中絶、近年工事は再開された。地下のクリュプタに模型が置かれている。

・出典元:「新潮 世界美術辞典」

 

サグラダ・ファミリア(Sagrada Familia)
サグラダ・ファミリアの正式名はカタルーニャ語で「Temple Expiatori de la Sagrada Familia」で、意味は”聖家族贖罪教会”(日本では一般的に聖家族教会と呼ばれる事が多い様です。)簡単に言えば、”教会”というわけです。

でもここで一つの疑問が生まれてくると思います。教会がこれほど独創的な建物でいいの??と。実は元々計画者というか依頼主は民間の団体だったから。だからガウディの奇抜というか独創過ぎる設計も認めてくれたって事でしょうか。

ちなみに最初の建築家はビリャールで、当初は伝統的というか古典的なゴシック様式を採用した設計だったと言います。でも意見の対立によって辞任。ガウディはその後に任された建築家だったというわけです。それがガウディの研究や構想によって、当初の設計が大きく変更していったわけですね。

 


※こちらは参考として挙げてみました。サグラダ・ファミリアの全体像を眺める感じで観てほしいと思います。

もちろん教会ですから、いかに奇抜で独創的な建築でも、装飾や構造はしっかりと教会としての機能を兼ねている点はお忘れなく!だから展覧会で見られる展示物にも、ちゃんとキリスト教に関わるものが多いというわけです。

 

ここでCheck!
こまでをまとめると


”サグラダ・ファミリア”という建物は、教会としての役割も持ちながら、ガウディの建築構想を上手く取り入れた建築物と言えば分かりやすいと思います。そして約100年以上の歳月を経て、近い将来完成しようとしている!こう考えると、ワクワクしてきませんか??

それでは今回のメイン!下記から「ガウディとサグラダ・ファミリア展のレビューをしてこうと思います。

 

 

「ガウディとサグラダ・ファミリア」の構成と感想レビュー

東京国立近代美術館で開催の「ガウディとサグラダ・ファミリア展」

「ガウディとサグラダ・ファミリア」展は、大きく分けて4つから構成されています。

1、ガウディとその時代
2、ガウディの創造の源泉
3、サグラダ・ファミリア聖堂の軌跡
4、ガウディの遺伝子

 

1と2は建築家アントニ・ガウディ(Antoni Gaudi)についての展示になっています。ガウディが建築を勉強していた学生時代から、その後の建築構想の根本的な部分が紹介されています。実際に制作した図や模型、書き残したノートなどが展示されています。特に印象的だったのが、正確に細部まで描かれた図です。ある意味デッサンにも通じるな~と思いながら、私は食い入るように見てしまいましたね。

 

そして3章からは、本格的にサグラダ・ファミリアについてが紹介されていきます。ここではかなりの量の模型が見れるので、見ごたえは充分という感じです。それに3章は写真撮影が基本OKになっているので、必然的滞在時間も長くなるのではないでしょうか。

 

「ガウディとサグラダ・ファミリア展」

「ガウディとサグラダ・ファミリア展」

 

「ガウディとサグラダ・ファミリア展」

個人的に3章のおススメポイントは、”二重ラセン円柱”でした。実際に映像も観れるので、かなり釘付けになって見てしまった感じです。こういった工夫が柱に施されていると分かると、実際に本物を見たくなってしまいますね!^^

 

ちなみに、4章の「ガウディの遺伝子」は、個人的にあまり興味の惹くものではなかったので、ほぼチラ見程度で終わった感じだったので、ちょっとレビューは出来ませんが…。

 

いう流れで鑑賞してきたわけですが、私的に一番の見所スポットは3章でしょうか!

先ほどちょっと触れましたが、サグラダ・ファミリアは本来”教会”です。ですから装飾や建築自体がキリスト教と関りがある点は見逃してはいけない!実は個人的にここが一番の釘付けポイントでしたね!

 

「ガウディとサグラダ・ファミリア展」

例えば誕生の門上部にある彫刻”糸杉”と””も、キリストとの関係が非常に深い!

糸杉は一般的に”死を象徴”する樹とされているのはご存知だと思います。イエス・キリストが磔にされた十字架が糸杉で作られていたという説があるくらいですから。(※糸杉は死の象徴以外にも、哀悼や生命の象徴とも言われています。)

に至っては、キリスト教では物凄い重要な動物です。聖書では「聖霊が鳩(ハト)の姿になって降りてきた」という記述があるくらいです。確かに教派によって多少の違いはあるにせよ、一般的には神の様に神聖化されているわけで、それがちゃんとサグラダ・ファミリアにも存在している点は必見ですね。ちなみに宗教画で鳩が描かれている場合もよくあるので、もし見かけたら注意して見てほしいですね。

 

「ガウディとサグラダ・ファミリア展」
そしてサグラダ・ファミリアの”聖母マリアの塔”上部に位置している””もキリストとの関係が深い!!

この星はキリストの誕生を知らせた”ベツレヘムの星”を意味しています。(余談ですが、クリスマスツリーの星も同じですよ!)点灯してライトアップ的な感じで言われる事が多いですが、実はキリストの誕生にとっては重要な意味を持っているわけです。

 


サグラダ・ファミリアはガウディの独創的な建築美によって、教会には見えない派手さがあります。でもしっかりとキリスト教との関りを持ち、教会としての機能を兼ねている。私が最初に”サグラダ・ファミリアはやっぱり教会なんだな~”と言った理由は、ここにあるわけですね!この建築美と教会とのバランス感はガウディのなせる業といったところでしょうか。

 

 
↑これは「ガウディと井上雄彦 新装版」の一部です。書籍内には「ガウディとサグラダ・ファミリア展」の展示様子も一部載っているので、予習も兼ねて見るのもイイと思います。

 

 

 

楽しく見るためのポイント! それは、順番と選択と集中

私の考え

今回の「ガウディとサグラダ・ファミリア」展は、非常に真面目に作られた展覧会という感じです。細かく解説がされていて、しかも色々な要素が凝縮された作りになっています。私的に言えば、詰め込み過ぎた感がありますね。元々建築などに興味のある人なら、満足いく展覧会だと思います。でもほとんどの人はそこまで建築に詳しくない人でしょう。日本人は真面目な国民性なだけに、1章から順番通りくまなく見ようとする人が多いと思います。でもそんな真面目な鑑賞方法では、後半はガス欠します。それに人によって興味のある分野もあれば、そうでないものもありますしね。

一般的に私たち人間は、10個の事を説明されても最後まで印象に残る事ってせいぜい2~3つくらいです。だから今回の展覧会では完璧主義はやめてほしい!ビジネスで言う”選択と集中”ではないですが、ポイントを絞って鑑賞した方が絶対に楽しめると思います。

は、どんな鑑賞方法がベストなのか?私がおススメする2つのポイントを挙げたいと思います。

 

ここでCheck!
ポイント1、木を見て、枝を見る鑑賞法!

今回の展覧会ですが、私の場合1章の中頃辺りから「この展覧会は解説が多いな~」と感じ、3章くらいまでサラ~と見る感じに軌道修正したのです。実は3章の終わり?にサグラダ・ファミリアの最近の姿を映した映像を見る事ができます。私はこの映像で全体像を見てから、そして戻って、鑑賞していきました。つまり”木を見て、枝を見る”という鑑賞方法ですね!真面目に順番通り隅々見ていくのもいいですが、それでは今回の「サグラダ・ファミリア展」では途中でガス欠してしまいます。まずは、映像を見て全体像を掴むことが大事だと思いますよ!!

 

ここでCheck!
ポイント2、選択と集中

この「サグラダ・ファミリア」展は、様々な内容が一つに凝縮されていて、しかも一つ一つが丁寧に説明されているのが特徴です。はっきり言って、建築に詳しくない人が全部を理解しようなんて無理です。それに展示されているものすべてが自分の興味のある物とは限らないですしね。まずは3章の映像で全体像を掴んでから、そして1章⇒2章⇒3章と観ていき、気になった部分だけに集中する!俗に言う”選択と集中”というわけですね。

先ほどちょっと話しましたが、僕ら人間は10個見ても最後まで印象に残るものはせいぜい2~3つ。だったら、気になったポイントだけに絞って集中した方がよっぽど効率的だと思いませんか?

私は今挙げた”木を見て、枝を見る”と”選択と集中”の鑑賞方法のおかげで、近い将来スペインで本物を見たい!と思ったわけですから。少なからず私的にはベストな鑑賞方法だと思っているわけです。^^

 

サグラダ・ファミリア(Sagrada Familia)

どんなによく出来た展覧会でも、観方を間違うと楽しさも半減してしまうと思います。特にこの「ガウディとサグラダ・ファミリア」はそんな感じです。この展覧会は東京開催の後は、滋賀の佐川美術館や愛知の名古屋美術館でも開催予定になっているので、ぜひ行く予定の方は参考にしてもらえたら幸いですね。

 

ガウディとサグラダ・ファミリア展

(東京開催)2023年6月13日(火)~9月10日(日)、東京国立近代美術館にて
(滋賀開催)2023年9月30日(土)~12月3日(日)、佐川美術館にて
(愛知開催)2023年12月19日(火)~2024年3月10日(日)、名古屋市美術館にて

 

 
 
 

※ここで扱っているイラストや作品画像はpublic domainなど掲載可能な素材を使用しています。

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