- 2022-6-11
- Impression (絵画展の感想)
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久々に再会する作品と新たな出会いがあった国立西洋美術館のリニューアルオープン記念展「自然と人のダイアローグ」。先日早速ですが、観に行ってきました。今回はいくつか作品を挙げながら、私的な感想を交えて話していこうと思います。
今展はドイツのフォルクヴァング美術館とのコラボ開催!ロマン主義を代表するフリードリヒや印象派の作品たち、それから最近何かと話題の画家リヒター。それから今回初展示となるガッレン=カッレラも観れる!結構見どころ満載で、前々から楽しみにしていた企画展でした。
国立西洋美術館がリニューアルオープンしたのが2022年4月9日。今回の記念展を観に行くついでに、リニューアルした姿を見るのもまた楽しいと思います。
「自然と人のダイアローグ フリードリヒ、モネ、ゴッホからリヒターまで」 ・東京都開催:2022年6月4日(土)~9月11日(日)まで |
さて、この「自然と人のダイアローグ展」はコラボ開催で、展示作品の半分はドイツにあるフォルクヴァング美術館の作品です。もちろん国立西洋美術館の所蔵作品も数多くあって、見慣れた作品もありますが…。でも約2年という休館の間があっただけに、見慣れているとは言っても、何だか懐かしい再会っていう感じですね!
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・63×89cm、カンヴァスに油彩、国立西洋美術館所蔵
「トルーヴィルの浜」は「常設展」でもよく見かける作品なので、新鮮さという意味ではちょっと欠けてしまいますが…。それでもイイ作品は、何度観ても良いですね!個人的にブーダンの絵は好きで、「トルーヴィルの浜」は特にお気に入りの1枚。実はこの作品がブーダンを好きになった記念すべき1枚だったりします。
参考)⇒印象派の先駆け!空の風景画家”ウジェーヌ・ブーダン”を解説!
・73.5×101cm、カンヴァスに油彩、国立西洋美術館所蔵
これは言わずと知れた印象派の巨匠クロード・モネの作品。国立西洋美術館の所蔵作品なので、もちろん何度も目にした事のある作品です。個人的に渦巻く様な筆のタッチが印象的で、波の荒々しい感じが伝わってくる感じがしてきませんか!?
元々絵画を好きになるきっかけがモネだっただけに、モネの作品は何度見てもイイものですね(^^)。今回の「自然と人のダイアローグ展」では、約100点の作品が展示されていますが、その中でモネは約10点とかなりの割合を占めている印象。ほとんどが国立西洋美術館の作品ですが、中にはフォルクヴァングの作品もあります。
・101×66cm、カンヴァスに油彩、フォルクヴァング美術館所蔵(エッセン)
このルーアン大聖堂のシリーズは結構馴染みがある作品です。フォルクファング美術館の所蔵作品ですが、なぜか初めて見た感じがしないのが不思議です。というのもこの”ルーアン大聖堂”シリーズは約30点ほどあるからです。
・46×55cm、カンヴァスに油彩、フォルクヴァング美術館所蔵(エッセン)
ルーヴシエンヌはフランス、パリから約10キロほど離れた場所にある町。ピサロは1869年から1872年頃までこの町に住み、印象派の技法で風景画を描いていました。これはピサロが42歳頃に描いた作品で、まだまだ画家として評価されていなかった頃。生活も大変だったそうです。
・22×30.5cm、カンヴァスに油彩、フォルクヴァング美術館所蔵(エッセン)
ドイツのロマン主義を代表する画家”カスパー・ダーヴィト・フリードリヒ”。神秘性を帯びた風景画を数多く描いた画家で知られています。もちろんこの「夕日の前に立つ女性」にも、自然の偉大さや神秘さが表れていると思いませんか?
参考)⇒ドイツのロマン主義、風景画家”カスパー・ダヴィット・フリードリヒ”を解説!
ここで気になった作品をいくつか紹介したいと思います。
・「雲」(1970年)ゲルハルト・リヒター
…最近話題の画家リヒターの油彩画です。見た目は写真の様で、でも間近で観ると油彩で描かれているのが分かると思います。まるで草原に寝そべって空を眺めている様な…そんな感じの作品です。
・「波」(1870年頃)ギュスターヴ・クールベ
…今回、国立西洋美術館とフォルクファング所蔵の2つの「波」が隣り合わせで展示されています。個人的には国立西洋美術館の方が好きですが、ぜひ見比べて観てほしい作品です。
・「木」(1951年)マックス・エルンスト
・「恋人たち」(1929年)イヴ・タンギー
…共にシュルレアリスムを代表する画家エルンストもタンギー。特にエルンストの「木」は一度見たら、忘れられない衝撃の走った作品です。
・112×177.3cm、カンヴァスに油彩、フォルクヴァング美術館所蔵(エッセン)
タイトルの”城の中の殺人”からして、何だか不気味な感じもする作品。
・91.9×72.9cm、カンヴァスに油彩、フォルクヴァング美術館所蔵(エッセン)
・65×80.6cm、カンヴァスに油彩、フォルクヴァング美術館所蔵(エッセン)
見ての通り点描で描かれているのが分かります。このテオ・ファン・レイセルベルヘはベルギーの画家。ぜひ覚えておいて欲しい画家の一人です。
参考)⇒ベルギーの新印象派画家”テオ・ファン・レイセルベルヘ”を解説!
・65.5×80.5cm、カンヴァスに油彩、フォルクヴァング美術館所蔵(エッセン)
フォルクファング美術館はドイツにありながら、様々な国の作品があるのが分かります。このホドラーはスイスの画家ですし、レイセルベルヘはベルギー。この後に紹介しますが、ガッレン=カッレラはフィンランドの画家。しかもどれもが良い作品ばかり!風景画でもそれぞれが全く違った画風なのが面白いですね。
・59.5×72.5cm、カンヴァスに油彩、フォルクヴァング美術館所蔵(エッセン)
今回初の展示という事ですが、ぜもなぜか親しみを感じてしまう作品です。これはゴッホが療養していた時期に描いた作品で、”死”が表現されているとも言われています。麦を刈る人は”死”、そして刈られる麦に”人間”のイメージを見ていたそうです。ゴッホはかなり感受性豊かな画家だと思っていて、そういった意味でも、この刈り入れをしている風景から、ゴッホは私たちには見えない何か?を読み取ったのだろうと思っています。
ゴッホの深層についてはなかなか理解できない部分があるとはいえ、でも麦の生き生きとした生命力は感じる事が出来ます。思うに今回の”自然と人のダイアローグ”という名に一番ピッタリな作品だと思いませんか?
・61×76.2cm、カンヴァスに油彩、国立西洋美術館所蔵
国立西洋美術館に新たに仲間入りしたアクセリ・ガッレン=カッレラの「ケイテレ湖」。
おそらく知らない人も多いだろうと思います。今回初めて知った画家でしたが、でも実にイイですね~。特に印象的なのが輝きを見せている水面の様子。銀色にも見える灰色で描かれた水面の反映。展示室では光の当たり具合によるものなのか?キラキラと輝いて見えるのです。写実的で描かれているので、実際のケイテレ湖はこんなに美しいのかな?と想像を膨らませてしまいますね。
国立西洋美術館も実にいい作品を所蔵したな~と思います。おそらく今後常設展でも展示されると思うので、また今後が楽しみです。「常設展」はこういったイイ作品がほぼ独り占め状態で鑑賞できるので、ぜひ「常設展」もおススメですよ!!
・117×216.5cm、カンヴァスに油彩、国立西洋美術館所蔵
今回のリニューアル記念展では、ほぼ半分くらいが国立西洋美術館の所蔵作品で占められている印象です。ほぼ2年ぶりに見れる所蔵作品もあったりと、何だか懐かしさもあったりします。
久々の所蔵作品との再会と新たな作品との出会い!
それにリニューアルした新たな国立西洋美術館の姿も垣間見れる!まさに一石三鳥の記念展「自然と人のダイアローグ」。ぜひ行ってみてはいかがでしょうか!?
参考)⇒国立西洋美術館はリニューアル前後で、一体何が変わったの??
※ここで扱っているイラストや作品画像はpublic domainなど掲載可能な素材を使用しています。
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