- 2022-1-9
- For you (”Art”なイイ話)
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普段モネやゴッホなど、人気の企画展に行くのもいいけれど、たまにはプロアマ自由出品の「アンデパンダン展」もイイものですよ!
”プロとアマの作品展”と聞くと、あまりピンと来ない人も多いと思いますし、なにより質も低いんじゃないの?と。でも私が思うに、考えようによっては、超オモシロイ展覧会だったりします。
事実、最近は日本各地で開催されるくらいですから。なかでも国立新美術館の「日本アンデパンダン展」は特に知られていますし、他では横浜や大阪、仙台でも開催されています。
今回は「アンデパンダン展」の解説を交えながら、魅力について話していこうと思います。
【 目次 】 ・ところで、「アンデパンダン展」とは何!? |
ところで、「アンデパンダン展」とは何!?
”アンデパンダン展(Salon des indépendants)”
フランス語で”indépendants”、意味は「独立した人々、無所属」になります。
一言で「アンデパンダン展」は、無審査、自由出品、無褒賞を原則とする展覧会を言います。プロの画家だけでなくアマチュアでも、誰でも自由に作品を出品し、披露できる場所というわけです。
きっかけは1884年のフランスのパリで、アカデミーに対抗する形で開催されたのが始まりとされています。
アカデミーに対抗する形で開催された!?
・48×63cm、カンヴァスに油彩、マルモッタン・モネ美術館所蔵(フランス、パリ)
1884年と言えば、印象派が誕生したちょっと後です。
当時”西洋”で開催されていた展覧会は、基本的にアカデミー主催によるものがほとんどでした。長い間”西洋美術”の礎を築いてきたという意味では、アカデミーの貢献度は非常に大きかったけれど、でも問題も色々とあったと言われていたのです。
審査委員がアカデミーの会員で占められていたり、審査基準もアカデミー主体の意向になっていたり。自ずと出品者側も審査に通りやすい様に、アカデミーの基準に沿った作品を制作しようという流れになっていた。
結果として新たな絵画運動が誕生しにくくなってしまったのです。
つまり芸術の可能性が狭められてしまったわけです。
このままの展覧会の在り方でイイのだろうか?
”本来芸術は、もっと自由であるべきじゃないのか??”
・200×300cm、カンヴァスに油彩、ロンドン・ナショナル・ギャラリー所蔵
アカデミー主体の保守的な展覧会に対抗しようとする動きが出てきたのです。その代表格の人物が、ジョルジュ・スーラ(Georges Seurat)やポール・シニャック(Paul Signac)たちでした。
1884年にスーラやシニャックらが中心となってアンデパンダン美術協会を設立、そして”アンデパンダン展”が開催されていったのです。
・80.5×117.5cm、カンヴァスに油彩、ニューヨーク近代美術館所蔵
もちろん参加メンバーは、プロアマ問わず様々でした。
例えば、日曜画家”アンリ・ルソー(Henri Rousseau)”のように、なかなか展示する機会に恵まれなかった者。スーラやシニャックの様に当時前衛的な作品を制作していて、アカデミーから評価されなかった画家など。
アマチュアにとっては、展示する機会が出来るので制作意欲にも繋がるだろうし、斬新過ぎてアカデミーでは受け入れられなかった画家にとっては、新たな芸術運動(ムーヴメント)を起こそうとする起爆剤にもなる。
”アンデパンダン展”は多くの画家にとって、受け皿的な展覧会だったと同時に、新たな芸術が誕生する母体だったわけですね。そしてこの芸術の流れは世界各地へと広まっていきます。もちろん日本にもやってきたという流れです。
現在では当たり前の様に開催されているけれど、当時は革新的な運動だった。たった100年ちょっとで、芸術も大きく変わったのが分かると思います。
日本で開催されている「アンデパンダン展」は?(2024年度)
元々パリで開催された「アンデパンダン展」ですが、瞬く間に世界各地へと広まっていきます。
そして当然の様に、この流れは日本にもやってきました。
現在は日本各地で開催されていて、一番知れらているものだと国立新美術館で開催されている「日本アンデパンダン展」になるかと思います。
【 第77回、日本アンデパンダン展 】 ・会期:2024年3月20日(水)~4月1日(月)まで ・入場料:一般:700円、65歳以上・大学生・高校生:400円 ・出品料:1点出品者は12,000円、2点出品者は17,000円、3点以上は1点増すごとに9,000円増し。 |
【 第12回、横浜開港アンデパンダン展 】 ・会期:2024年3月12日(火)~3月17日(日)まで ・入場料:無料 |
私の分かる範囲ですが、他には大阪や仙台にもある様です。
現在様々な都市で開催されているので、気になる方は調べてみるのもイイでしょうね。あなたの住んでいる近くで開催しているかもしれないですから。
そして、もし近くに「アンデパンダン展」があるなら、ぜひ行ってみる事をおススメします。
というのも、出品者側にとってもそうですが、鑑賞者側にとってもメリットが満載だから!
鑑賞者側にとってのメリット・デメリット!
「アンデパンダン展」は、普段美術館で開催する企画展とは一味も二味も違います。
展示作品の多くは、プロだけでなくアマチュアが多いのが特徴です。
これって一見すると、素人の作品だと質も低いのでは?と思われがち。たしかに実際に行けば分かりますが、そういった作品もあります。これは鑑賞者にとってのデメリットになるでしょうか。
でも逆に思いもよらない発見があるのも事実です。
例えば、最近の現代アートの中にも”??”と思う様な作品を見かけますよね!
アンリ・ルソーの作品を例にするのもなんですが、上手いからイイ!というわけではない。芸術作品は観る人の感性に直結するので、あなたがオオッ!と思える作品があればイイわけですから。だから実際に観ないと分からないわけですね。
それからもう一つ大きなメリットは、入場料が安かったり、無料の場合が多い!
たくさんの展示作品を鑑賞出来て、しかもリーズナブルです。ここ最近、国立新美術館で開催する「日本アンデパンダン展」では、毎年約1,000点前後が展示されていて、それで大人は700円という入場料。
何とも嬉しい金額だと思いませんか?^^
出品者側にとってのメリット・デメリット
元々「アンデパンダン展」は無審査、自由出品で始まったもの。
一番のメリットは自分が制作した作品を気楽に出品できる事!でしょうか。
もちろんプロだろうとアマチュアだろうと構わない!自分の制作した作品(絵画や彫刻、陶器など)を、とにかく審査なしに自由に出品し観てもらえるわけです。これは作る側にとっては、嬉しい事だろうと思います。
これは私の実体験になりますが、確か中学時代の美術の授業だったでしょうか…。
座席前後で似顔絵を描きましょうという課題で、ここで制作した水彩画が表彰されてしまったのです。もちろん賞状をもらい、その流れでちょっとした展覧会に自分の作品が展示される事に!!
当時まだ中学生だったので、絵のイロハなんて全く分からなかった。でも自分が描いた絵が皆の前で展示されるって、これほど嬉しい事ってないですよね。^^(もちろん多少なり気恥ずかしさはありましたが…)
でも対照的に出品する側にとってのデメリットもあります。
それは出品に多少の出品料が必要となる場合が多い。ただ展覧会によって出品料は違いますから、作品を出品しようと考えているなら、前もって公式サイトで調べるのをおススメします。
次はあなたの番!? 「アンデパンダン展」に出品しよう!
本来「アンデパンダン展」は自由出品、無審査、無褒賞が原則。
年齢問わず自分が制作した作品を自由に出品できるのが最大のポイント!です。
美術学校に通っていなくても、専門の教育を受けてこなかったとしても。もちろんプロの画家じゃなくても、アマチュアの私でも制作した作品を出品できるわけです。
これこそ「アンデパンダン展」の醍醐味ではないでしょうか!?
確かに出品料は多少かかりますが、でも格安だと思います。普通に自身で個展を開こうとしてら相当掛かりますからね…。
先ほど”出品者側にとってのメリット・デメリット”でも話しましたが、自分の描いた作品を皆に観てもらえるって、多少の気恥ずかしさもありますが、やっぱり嬉しいものです。またイイ絵を描こう!って思いますしね。^^
私の持論になりますが、”作品は1人でも評価してくれる人がいたら、その時点で芸術作品になりえる!”と思っています。
多くの人に作品を観てもらって、そして一人でも評価してくれる人がいたら…。
これって実に最高な気分だと思いませんか??
さあ!
次はあなたが出品する番かもしれませんよ!
※ここで扱っているイラストや作品画像はpublic domainなど掲載可能な素材を使用しています。
コメント
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とてもいいアンデパンダン展の紹介です。セザンヌ、マチス、モンドリアン、デュシャン…なども出品されていましたね。
コメントありがとうございます。セザンヌにデュシャン、ロートレックと名を挙げただけでも、そうそうたるメンバーですよね。アンデパンダン展がなかったら新しい作風も誕生しなかったかもしれないし、つくづく可能性の大きさを感じますね。