- 2016-1-30
- Impression (絵画展の感想)
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2人のリッピとボッティチェリを比べて見ると…
どうしてもボッティチェリ展と言うだけあって、
ボッティチェリの作品ばかりに目が向かいがちです!
でもボッティチェリ以外にも
2人のリッピも興味深い作品を描いているのです。
ここではボッティチェリ展示していた作品を見ながら、
私なりに感想などを話していきます。
まずはボッティチェリの師匠
”フィリッポ・リッピ”の作品から~
…『王座の聖母と天使、聖人たち』
フィリッポ・リッピはボッティチェリの師匠でした。
そんな事から構図や技術的な事は似ている部分が多いそうです。
似ているとは言われていても
でも違う点もあると思うのです。
…それは聖母の顔、表情が違う事です。
フィリッポ・リッピの聖母は丸い感じの顔。
対してボッティチェリの聖母は面長の顔に見えます。
実は以前ラファエロの『大公の聖母』を見た時、
ちょっと面白いエピソードがありました。
ラファエロは若い時に母親を失った思い出があり、
聖母に自分の母親の面影を見ていたのだそうです。
画家によって聖母の顔や表情が違うのは、
それは自分の母親や特別な女性とダブらせていたのかも…。
実際はどうなんでしょうね~。
そしてお次は…
ボッティチェリの弟子だった”フィリッピーノ・リッピ”。
…『』
これも聖母子の姿を描いた作品です。
実はボッティチェリも同じような絵を描いているんですが、
実に雰囲気というか似ているのです。
この2つの作品を見て、どう思いますか??
でもでも解説ではこんな事が書いてありました。
ボッティチェリの絵は、”男らしい力強さ”がある。
対してフィリッピーノ・リッピは、”甘美さ”がある…。の様な事が書いていました。
と言われても実際に観ると思いますが、似ている感じです。明確に違いを説明してと言われても難しい…。
でも気になった点があるのです。
それが聖母とイエスの目線なのです。
どういう事かと言うと…
ボッティチェリの聖母子は互いの目線に力強さがあるのです。
まるで聖母子2人の強い信頼関係を表現したかったのかな~?
でもフィリピ―ノの聖母子の方は、
イエスが首をかしげる様な表情があるのです。
(子供っぽさがある感じなのです。)
なんというか、リアルな親子関係を描いている様に見えます。
だからなのかわかりませんが、
フィリッピーノの聖母には頭の輪っかがあまり強く描かれていないのです。
同じ様なテーマの絵だけれど、
雰囲気が違うのです。
こうやって作品を見てきて
1つ思ったことがあるのですが…
それはフィリッピーノ・リッピとボッティチェリは、
師弟関係だっただけに似ている部分が多いと思ったのです。
2人とも強い師弟関係でつながっていたのかもしれませんね。
それを裏付けるエピソードがあって、
それはボッティチェリはフィリッピーノの死によって、
筆を置いたともいわれているのです。
(描くことをやめたらしいのです。)
ボッティチェリはフィリッピーノの事を、
他の弟子以上に可愛がっていたのかもな~。
何だかこの2人には何だか深いものを感じます。
という風に、
今回は主要3人の画家が登場します。それぞれがボッティチェリと関係しているだけに、
それぞれを見比ながら見るのも楽しいですね!!
そして
他にも所として、
”トント”という丸い額も注目です!
今ではあまり馴染みがない形の額ですが、
当時は結構流行っていたものだそうです。
そういう意味でも見れる事自体が貴重だと思います。
それに板に書かれたテンペラも見所です!
今では紙のキャンバスに描かれるのが普通ですが、
当時では板に描かれていたのです。特にオモシロいのが
丸く盛り上がっている板に描かれたテンペラ画。
これは板が盛り上がっているだけに、
妙にリアルな立体感があります。
それに見る角度によって雰囲気が変わってくるです。
こういうし写真ではまず分からない、本物でしか味わえない発見があります!
今回は作品以外にも色々と見所満載の
『ボッティチェリ展』だったと思います。
浮き出るようなリアルさ、立体感。
板特有の素材感と味わい。
それに宗教画だけに独特の雰囲気~。
・・・
こういう感覚的なものは是非足を運んで見てほしいですね!!
やっぱり実際に足を運んで本物を見てほしいですね。
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