- 2024-4-4
- Enjoy This (観てほしい絵画展)
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先日、東京藝術大学美術館で開催した『大吉原展 江戸アメイヂング』を観てきました。
開催前から炎上したりと、何かと話題性のあった展覧会で、おそらくどんな感じか気になっている方も多いだろうと思います。
今回は私のレビューを交え、展覧会の様子や見所などに触れていこうと思います。これから行こうと考えている方は、ぜひ参考にしてもらえると幸いですね。
【 目次 】 ・東京藝大美術館の『大吉原展 江戸アメイヂング』の感想レビュー |
東京藝大美術館の『大吉原展 江戸アメイヂング』の感想レビュー
『大吉原展 江戸アメイヂング』についてレビューしていこうと思います。
まず私の率直な感想を言えば、”予想を上回る内容だった!”に尽きます。
展示作品の量や解説の丁寧さ、それから質も物凄くイイからです。個人的には久々にシビレる感じの内容でしたね。^^
喜多川歌麿や菱川師宣、北斎に酒井抱一といった名立たる画家の作品もそうだけれど、何より世界の美術館から多数作品を集めてきている。中でも際立って嬉しかったのが、解説が非常に分かりやすく丁寧だった。
こういった展示が出来るのも、やっぱり芸術大学ならではかもしれないですね。
・48.0×67.0cm、絹本着色、河鍋暁斎記念美術館所蔵
ちなみに『大吉原展』は、以下の様に3部構成になっています。
第1部:吉原の文化やしきたり、生活などを解説。
第2部:風俗画や美人画を通して、吉原約250年の歴史を紹介。
第3部:吉原五丁目を展示室全体で演出しながら、浮世絵や工芸品などを交えて吉原の年中行事、ファッションなどを紹介。
前半は”吉原”の文化やルール、生活などを作品を通して解説してくれていて、後半では工芸品なども展示しています。
そして締めになると、妓楼の立体模型と辻村寿三郎さんの人形により、吉原の遊女たちの生活ぶりまで再現されている。(立体模型ブースでは、撮影が可能です!)
私が思うに”吉原”をテーマにした展覧会でも、これほど充実した内容のものって過去になかったでしょうね。
・大判錦絵、大英博物館所蔵
ちなみに”青楼(せいろう)”とは、遊女がいた場所。つまり江戸時代の吉原遊郭を指す言葉です。知らない人は、この機会に知っておくのもイイかと思います。
・大判錦絵、大英博物館所蔵
それにしても、歌川国貞が描いた「青楼二階之図」は圧巻の一言ですね。
妓楼で働く人々やお客の様子が所狭しと、しかも細部までキッチリと描かれている。
私がいうのもなんですが、実に見事!!これは見飽きる事がないですね。個人的にはルーペ必須の代物だと思います。^^
・77.0×54.8cm、カンヴァスに油彩、東京藝術大学所蔵
高橋由一は日本の洋画を語る上では超重要な画家。
「花魁」という作品は、藝大が所蔵している作品なので、展示されるのは分かっていたけれど…。
なんて表現すれば良いか分からないですが、何度見ても圧倒される存在感は見ごたえがあります。美化することなく描かれた感じは、浮世絵の美人画とは正反対というか。私的に表現するなら”正直な画”と言ったところでしょうか。
ちなみにモデルとなった花魁”小稲”は、この絵を見て「これは私じゃない!」と言って激怒したのは、有名なエピソードです。
・204.5×275.0cm、紙本着色、ワズワース・アテネウム美術館所蔵
実は映画『吉原炎上』でも触れていますが、吉原には48種類の桜があったそうです。早咲きから遅咲きまであり、毎年植えられていたのは有名な話。
今回『大吉原展』が3月後半という、桜の咲き始める時期に開催したという点からも、この喜多川歌麿の「吉原の花」は注目作品になるのも納得ですね。
・大判錦絵二枚続、大英博物館所蔵
単なる浮世絵の展示だけに終わっていない!
今回私が特に嬉しかったのが、作品を通して当時の花魁たちの生活を知れた事でしょうか。
華やかな吉原というイメージの裏には、人身売買や病気といった闇の部分もあったのは事実。現代ではあってはならない事だけど、作品から当時”吉原”を垣間見るのもイイ機会だと思います。
何せ美術作品は当時の様子を見せてくれる、ある意味”資料”的な意味合いもありますからね。
例えば、後半に展示していた「江戸風俗人形」は、まさに当時の妓楼を垣間見れる”再現的資料”といったところです。
・「江戸風俗人形」(1981年、昭和56年)台東区立下町風俗資料館
(参考):「江戸風俗人形」から、江戸時代の妓楼内部を観察しよう!
2024年5月19日まで、東京藝術大学大学美術館にて開催します。
興味のある方は、ぜひ行ってみてはどうでしょうか!?
私が推す!『大吉原展』の見所は!?
さて、せっかく『大吉原展』に行くなら、ポイントを絞って鑑賞するは大事!だと思っています。
これは実際に行った私だから言える事ですが、今回の見所は大きく2つあると思っています。
1つ目:吉原の街並みや生活ぶりなどを知れる!
絵画や錦絵、それから映像による解説もあったりと、吉原という街並みをビジュアルで知れるのがオモシロイ!
個人的に釘付けになったのが、喜多川歌麿の『青楼十二時 続』という12枚のシリーズです。
子の刻とは午前0時頃で、見世が閉店の時間帯です。左の花魁は床着に着替え、その横では新造が花魁の脱いだ座敷着を袖たたみしている場面が描かれています。
花魁たちの1日の生活を、解説付きで見れるのは何とも嬉しい展示ですね。
2つ目:花魁たちの着物の装飾が凄い!
・紙本着色、ワズワース・アテネウム美術館所蔵
今回の『大吉原展』ですが、当初はファッションや”美”に焦点を当てた内容だったと思っています。
集められた作品はどれも着物の装飾性に富んだものが多いのはそのためでしょう。
実際に観たら分かりますが、装飾の美しさは釘付けです。これから行こうと考えている方は、ぜひ”ルーペ”は持参してほしいですね。その方がより細部を堪能できると思います。
『大吉原展 江戸アメイヂング』展の開催概要
『大吉原展 江戸アメイヂング』の開催概要は以下の通りです。
【 『大吉原展 江戸アメイヂング』展の開催概要 】 ・会期:2024年3月26日(火)~5月19日(日) ※前期・後期で展示替え有り。 ・場所:東京藝術大学大学美術館にて(台東区上野公園12-8) ・時間:10:00~17:00※入館は閉館の30分前まで |
チケット・ロッカーについて
基本的に当日チケットでも問題ありません。ただ混雑ぶりが予想されるので、貸しロッカーは利用できない場合が想定されます。行く際は荷物は少なめがベストだと思います。
写真撮影について
基本的に撮影は不可になっています。ただ後半の立体模型と人形の展示については、撮影が可能になっています。
私的な感想にはなりますが、内容は実に充実しています。
今回は前期と後期で展示替えもあるので、リピートするのも最適な選択ではないでしょうか。
もちろん私は、その予定でいますが。^^
※ここで扱っているイラストや作品画像はpublic domainなど掲載可能な素材を使用しています。
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