- 2020-2-9
- Impression (絵画展の感想)
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デンマーク黄金時代を支えた作品と
”北欧のフェルメール”とも言われる画家
ヴィルヘルム・ハマスホイの作品を観に行ってきました。
・・・
場所は東京、上野にある”東京都美術館”でした。
この絵画展は東京と山口で巡回開催になっています。
【 ハマスホイとデンマーク絵画 】 (東京開催) (山口開催) |
東京開催と山口開催は同じ展示内容になると思います。
ハマスホイは日本でも何気に人気のある画家で、
たまに作品は見る機会はあるのですが、
ここまで大掛かりにハマスホイの作品を観れるのも珍しいと思います。
(今回は約40点くらいが展示)
これから見る予定の人や
なかなか行く機会のない人もいるかと思います。
ぜひ参考にしてくれると幸いです。
さてこの「ハマスホイとデンマーク絵画展」ですが、
展示構成は大きく分けて計4章での展示になっていました。
いくつか主要作品を挙げながら
その様子や感想を交えて見ていきたいと思います。
フランスなどの西洋絵画に比べれば開催機会は少ないので、
デンマーク絵画も併せて見れる今展は、なかなかないと思います。
行ける人はぜひ行ってみるのもいいと思います。
・・・
第1章… デンマーク絵画の黄金期
デンマーク絵画の黄金期と言われてピンとこないかもしれません。
時代的にいうと1800年~1864年までが黄金期と言われています。
特に絵画ジャンルとしては”風景画”が中心だったそうです。
もちろん
今展でも風景画から始まったのです。
このクレステン・クプゲはこの黄金時代で特に重要な画家と言われているそうです。
画家”クレステン・クプゲ”(Christian Schiellerup Købke) 1810年5月26日生まれ~1848年2月7日没 コペンハーゲンの北部のカステレズ城塞の内側で14年間暮らし、 クレステン・クプゲは身近にある風景を描いていた事もあり、 元々身体が丈夫ではなかったそうで38歳という短い生涯でした。 |
このクレステン・クプゲの風景画は
特に身近のありふれた風景を描いたのが特徴だった様です。
今回このクレステン・クプゲの作品が他にも数点ありました。
「ランゲリニェと軍港を望むカステレズの風景」(1832年頃)
「パン屋の傍の中庭、カステレズ」(1832年頃)
共にカステレズの風景を描いています。
どれも身近な風景の中から
”自然の美”を見出だして描いていたと思うのですが、
どれもが繊細で調和のとれた作品ばかり!
だから観ていて心が落ち着くんでしょうね!
ちなみに…
デンマークの黄金期(1800~1864年頃)と言えば
この頃フランスではロマン主義を代表する
ドラクロワ(ウジェーヌ・ドラクロワ)が活躍していた頃でした。
他にはミレー(ジャン=フランソワ・ミレー)で有名な
”バルビゾン派”の風景画が起こったのもこの頃だったのです。
そんな時期にデンマークでは
こういった写実的な風景画が主流だったようです。
目の前の風景をありのまま描いた感じで
まさに写実的と言った感じでしょうか。
実はこの後デンマークの風景画に変化が出てきます。
フランスの風景画に影響を受けたからなのか?
この後印象派の影響を受けてきた様に思うのです。
※印象派は1870年辺りから誕生してきた絵画運動なので、
時代的にはまさにピッタリだと思います。
次の2章はスケーイン派が見れるのですが、
この2章辺りから印象派らしい風絵画が見れたりします。
2章… スケーイン派と北欧の光
この”スケーイン派”はデンマークの最北端の町名から来ています。
1870年代にスケーインという漁師町が発見された事が始まりだったそうです。
この頃スケーインという町は
良くも悪くも物質文化に染まっていなかったそうで、
当時のスケーインは厳しい自然と素朴な生活を送っていたそうです。
そんな漁師たちの生活や労働に魅了された画家たちが、
このスケーインに集まり描くようになった。
この画家たちを”スケーイン派”と呼んでいるのです。
ある意味バルビゾン派の様なものだったと思います。
これはミケール・アンガの作品「ボートを漕ぎ出す漁師たち」
実はこのミケール・アンガの妻アンナ・アンガも
スケーイン派の画家として活躍していました。
そういえ数年前だったと思いますが、
以前ミケール・アンガの作品を見たことがあるのです。
それは国立西洋美術館で開催したプチ企画展で
日本・デンマーク外交関係樹立150周年記念として
「スケーエン:デンマークの芸術家村展」が開催した時の事でした。
今でも記憶に残っていますが、
漁師たちの男らしい姿今でも印象的ですね!
このオスカル・ビュルクの「スケーインの海に漕ぎ出すボート」もそうですが、
目の前で働く漁師たちの男らしい姿が描かれているのが印象的!
まるで動いているかのような映画の一場面の様にも見えるのです。
まさにこういった漁師風景画はスケーインならではと思いますね!
ここで参考ですが、
この漁師町スケーインに最初に訪れた画家は
デンマークの黄金期を代表する
画家マーティーヌス・ラアビューだったそうです。
その頃この地を訪れる観光客や画家はほとんどいなかったそうです。
それが1872年にホルガ・ドラクマンがスケーインを訪れたのを皮切りに、
その後のスケーイン派を代表する画家がこの地を集まるようになったそうです。
今回紹介したミケール・アンガや
次の3章で挙げるヴィゴ・ヨハンスンも訪れる様になったのです。
目の前の風景を描くのが風景画なので、
”画家が描きたい!”と思った風景があれば、
その場所を求めるのは画家の本能なんだろうと思うのです。
このスケーインにはそれだけの魅力があったって事なんだと思います。
さて、
ちょっと話も長くなってきたので、
後半は次で話していこうと思います。
⇒後半へとつづく…
※ここで扱っているイラストや作品画像はpublic domainなど掲載可能な素材を使用しています。
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