- 2024-12-17
- Enjoy This (観てほしい絵画展)
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東京にあるアーティゾン美術館には、実に様々な所蔵作品があります。
日本画に西洋画、古美術。
それから最近は近代美術にも力を入れている様で、ジャンルも多岐に渡っています。
そんな様々あるコレクションの中で、意外と忘れがちな名品もあったりします。
今回紹介するアリスティド・マイヨールの高浮彫り彫刻「欲望」です。
【 今回の話の流れ 】 ・アーティゾンで、この名品を見落としていませんか!? |
アーティゾンで、この名品を見落としていませんか!?
アーティゾンには様々なコレクションがありますが、中には見落としがちな名品もあります。
アリスティド・マイヨールの高浮彫り彫刻「欲望」です。
展示されている場所は、5階のエスカレーター付近になるでしょうか。意外と気付いていない人も多いかと思います。
結構名の知れた芸術家ではあるけれど、悲しいかな…
アーティゾン美術館での展示場所がちょっと残念だったりします。
置かれているのが展示室の外になるからか、意外と通り過ぎてしまう人が多い様です。
通り過ぎる人が多いって事は、私にとってはメリットもあったりします。
じっくりと作品と対面できる!からです。
でも、美術作品は観られてナンボですからね…。
出来るなら、見逃さずじっくりと鑑賞してほしいのです。
では次から、マイヨール作「欲望」の私がおススメする鑑賞方法について紹介していこうと思います。
アリスティド・マイヨールの彫刻「欲望」の観方!
さて、私が思う”彫刻の鑑賞方法”をちょこっと紹介したいと思います。
上の写真を見ても分かる通り、「欲望」という作品は高浮彫りによる彫刻です。
平面に彫られた彫刻ではあるけど、”高浮彫り”なので結構ボリューム感のある彫刻になるわけですね。
つまりは、見る角度によって様々な表情が鑑賞できる!
これこそ、最大の見所で鑑賞方法だと思っています。
例えば、女性側から見ると…
照明の当たり具合もあり、女性の色気(セクシーさ)がより際立ってくる!
しかも女性の表情からは、嫌がっている様にも見えてしまう。
(ちょっと抵抗している感じに見えるのは、私だけでしょうか。)
アリスティド・マイヨールは、シンプルというか明瞭な人物像を得意とした彫刻家です。それだけ人物の感情が、まざまざと表現されるんでしょうね。
対して、男性側から見ると…
これは私の解釈になりますが、強引に抱きしめようとしている感じにも見える!
欲に負けて、女性を抱きしめようとしているのだろうか??
おそらくこの2人は恋人同士だとは思いますが、それでも強引に抱きつかれたら女性もちょっとは嫌がるでしょう。
こういった人間の本能や欲を立体的に表現しているわけですから、アリスティド・マイヨールがいかに凄い彫刻家!が分かると思います。
そしてもう一つ付け足すなら…
筋肉の表現も忘れてはいけない見所!です。
筋トレに励んでいる私からすると、筋肉質な脚はどうしても目が向いてしまうわけです。
男性の筋肉質な感じと、女性のふくよかな感じというか豊満な感じ。
筋肉の表現によって、男女を描き分ける。これはさすが!としか言いようがないですね。まさにリアル!です。
こういった肉体表現からも、マイヨールの凄さが垣間見れると思います。
ぜひアーティゾンに行った際は、今回紹介した私の鑑賞方法を参考にしてみては?
芸術家”アリスティド・マイヨール”について簡単解説
せっかくなので、芸術家”アリスティド・マイヨール”について簡単に解説したいと思います。
一般的には彫刻家として知られていますが、実は画家やデザイナーとしての側面もありました。
ここではあえて”芸術家”としたのは、このためです。
アリスティド・マイヨール(Aristide Maillol) 1861年12月8日生ー1944年9月27日没。 1885年、画家を目指し”エコール・デ・ボーザール”に入学。しかし授業に失望し、ほどなくして退学します。当時マイヨールはナビ派の画家たちと親交があり、強く影響を受けていきます。 1900年以降は視力の低下もあり、画家としての活動を断念。彫刻家として活動し始めます。 1902年、初の彫刻の個展を開きます。ここで彫刻家ロダンから高い評価を受け、1905年のサロンで出品した「地中海」が認められ、一躍名を挙げます。 |
一般的にマイヨールの作風は、単純明快で人間の肉体表現が優れていると言われています。
参考として「新潮 世界美術辞典」の一文を挙げると…
~ 明快単純な構成と、平滑清新な肉付けによって、ロダンの苦悩にみちた造形を拒絶し、ほとんどすべてのテーマを女性の肉体で表現しながら、ギリシア・アルカイクの生命とフランス近代の感性を統合する。 ~
・出典元:「新潮 世界美術辞典」より一部抜粋
私なりの解釈でまとめるなら、一切の無駄を省いて、人間本来の姿を表現した作風となるでしょうか。
まさに”人間美”と言った感じだと思います。
特に女性の彫刻が多いのは、マイヨールが思う”美”を表現するには最適な主題だったのかもしれないですね。
私が思うに芸術鑑賞は展示室だけじゃない!!展示室の外でも鑑賞出来る!と思っています。
今回紹介したアリスティド・マイヨールの「欲望」は、まさにその最たる例だと思っています。
というわけでアーティゾンに行った際は、見逃すことなく鑑賞してほしいですね。^^
※ここで扱っているイラストや作品画像はpublic domainなど掲載可能な素材を使用しています。
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