ルノワールの『ピアノの前のイヴォンヌとクリスティーヌ』と2枚の画中画

ピアノ(イメージ画像)

 

美術館で絵を観ていると、たまに画中画(がちゅうが)と出くわす事があります。

つまり絵の中に描かれた絵をいうわけですが、私は”画中画”を観ると、不思議と得した気分になってしまいます。

 

ぜかというと…一度に2枚or3枚の絵を鑑賞した気分になるから!

先日三菱一号館で開催した「ルノワール×セザンヌ展」で、私の気になる作品と画中画について解説したいと思います。

 

目次

ルノワールの「ピアノの前のイヴォンヌとクリスティーヌ」
エドガー・ドガの「踊り子たち」
エドガー・ドガの「レースの前」

 

 

 

ルノワールの「ピアノの前のイヴォンヌとクリスティーヌ」

「ピアノの前のイヴォンヌとクリスティーヌ・ルロル」(1897年頃)ピエール=オーギュスト・ルノワール

「ピアノの前のイヴォンヌとクリスティーヌ・ルロル」(1897年頃)ピエール=オーギュスト・ルノワール

・73×92cm、カンヴァスに油彩、オランジュリー美術館所蔵

これは「ピアノの前のイヴォンヌとクリスティーヌ・ルロル

ピエール=オーギュスト・ルノワール(Pierre Auguste Renoir)の作品で、現在はオランジュリー美術館に所蔵されています。

描かれている人物ですが、手前でピアノを弾いている白い衣装の女性は”イヴォンヌ・ルロル

その後ろにいる赤い衣装を着ている女性が”クリスティーヌ・ルロル”。

共に画家で美術収集家だったアンリ・ルロルの2人の娘です。

2人の着ている衣装やピアノが描かれている点から、かなり裕福な家なのがわかります。

 

「アンリ・ルロルの肖像」(1895年頃)ピエール=オーギュスト・ルノワール

「アンリ・ルロルの肖像」(1895年頃)ピエール=オーギュスト・ルノワール

・45.4×35cm、カンヴァスに油彩

アンリ・ルロルはルノワールやドガとも親交があり、パトロンとして支援もしていたそうです。
※アンリ・ルロル(Henry Lerolle)1848~1929年、フランスの画家で収集家。

上の肖像画からも分かりますが、実際にルノワールに多数の作品を描いてもらっていたからです。

ルノワールらしい穏やかで、非常に親しみのこもった雰囲気で、作品からも2人の関係性が良好なのが分かりますよね。

 

 

 

エドガー・ドガの「踊り子たち」

「ピンク色の踊り子たち」(1886年頃)エドガー・ドガ

「ピンク色の踊り子たち」(1886年頃)エドガー・ドガ

これはエドガー・ドガ(Edgar Degas)の「ピンク色の踊り子たち」。

「ピアノの前のイヴォンヌとクリスティーヌ・ルロル」に描かれた2点の画中画の内の一つです。

ドガはバレエを主題とした作品を多数描いていて、大雑把に数えるだけでも400点近くはあります。

実際に絵に描かれた絵はどれかは分かりませんが、私が調べる限り上の「踊り子たち」になるでしょうか。

 

ドガは一応”印象派の画家”とも言われますが、どちらかと言えば古典的な感じがつよい。

ドガ自身「現代生活の古典画家」という位置づけで考えていたようです。
※エドガー・ドガ(Edgar Degas) …1834年~1917年、フランスの画家で彫刻家。一般的には印象派に属する画家と言われています。

作品の多くは室内を描いた作品が多く、この「踊り子たち」もその一つ。

一般人の出入りが出来ない様な場を描いた作品も多かったことからも、相当バレエが好きだったのが分かります。

 

 

 

エドガー・ドガの「レースの前」

「レースの前」(1882年頃)エドガー・ドガ

「レースの前」(1882年頃)エドガー・ドガ

そして、もう一つの画中画が、エドガー・ドガの「レースの前」という作品。

「ピアノの前のイヴォンヌとクリスティーヌ・ルロル」の左側に描かれた競馬を主題とした作品です。

風景を描いた印象派画家が多いのに対し、ドガの場合はバレエや競馬など、都市で生活する人々の娯楽や風俗を中心に描いた作品が多い。

現代社会で生きる人間の本質を描こうとしたかの様な…、そんな鋭い観察眼で描いた作品が特徴です。

 

ドガは気難しい性格だったそうで、他の画家とも衝突が多かったとよく言われます。

そんな中にあって、アンリ・ルロルはドガの作品を収集し部屋に飾る程だった。

ドガとも仲が良かったのもあるだろうけど、ドガの才能を高く買っていたって事でしょうか。

画中画として描かれている点からも、画家同士の関係性が読み取れるのもオモシロイですね。

 

 

※ここで扱っているイラストや作品画像はpublic domainなど掲載可能な素材を使用しています。

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