ピーテル・ブリューゲルの「バベルの塔」 …ボイマンス美術館所蔵

ボイマンス美術館所蔵 ブリューゲル「バベルの塔展」より

 

ピーテル・ブリューゲルバベルの塔

あなたはこの絵画を見た事がありますか?

 

この”バベルの塔”というのは、
旧約聖書の「創世記」の中に登場する塔の事。

神話というか伝説というか
深い教訓的な内容の話なのです。

 

実は2017年に東京と大阪で、
ボイマンス美術館所蔵  バベルの塔展」が開催して、
ここで目玉作品として「バベルの塔」が展示されたのです。

 

・・・

「バベルの塔」(1568年頃)ピーテル・ブリューゲル1世

「バベルの塔」(1568年頃)ピーテル・ブリューゲル1世

ピーテル・ブリューゲルバベルの塔(1568年頃)

 

絵を見て感動!
かなり巨大な塔なのが分かりますね。

空に浮いている雲をはるかに凌ぐ高さで、
もちろんこれは人間が造っているもの。

でもまだ建設途中なのが気になりませんか??

 

実はこの”バベルの塔”には、
こんな物語があるのです。

・・・

~すべての人類が同じ言葉を用いていた時代…
人々は東の方に移動し、
シンアルの平原に集まり住みつきます。

そしてこの地に住みついた人々は互いにこんな事を言い合います。
”煉瓦を作ろう。火で焼こう”と。
人々は石の代わりに煉瓦を、
漆喰の代わりにアスファルトを作る技術を生み出します。

そして”自分たちの街と塔を作ろう!”と。
人々は自分たちの力を示すために、
天まで届くような高い塔を作ろうとしました。

しかし神は塔を建設するという”人間の傲慢さ”に激怒します。

そして怒った神は人間に多様な言語を与え混乱させたのです。

これによって人々は互いの話を理解できなくなり、
塔の建設は中断して。そして人々は地上の各地へと散ってしまうのでした。

この塔はヘブライ語で”混乱”を意味するバベルの塔と名付けられたのです。~
※旧約聖書の「創世記」11章より

 

現在この物語について様々な解釈があると言います。
実現不可能な計画”を比喩する言葉として使われたり、
傲慢の象徴”として例えられたりもします。

私の解釈としては人間の傲慢さだと捉えますが、
あなたはこの絵画を見てどう思いますか?

 

 

ピーテル・ブリューゲルの「バベルの塔」の凄さ!とは!?

絵を見て感動!
この「バベルの塔」の凄さ!
それは…知識想像力画力の結晶!!

ポイントはこの3つになると思います。

 

まず1つ目は画力の高さ!

実際にこの「バベルの塔」を見ると、
細かい部分まで繊細に描かれているのが分かると思います。

「バベルの塔(detail)」(1568年頃)ピーテル・ブリューゲル1世

「バベルの塔(detail)」(1568年頃)ピーテル・ブリューゲル1世

建設中の様子や人間一人一人の動きが実に繊細で細かい…。

この繊細で精密とも言える”画力の高さ!”が
ブリューゲルの最大の魅力でもあると思います。

実はこのブリューゲルの細密過ぎる絵画は、
絵画としてだけでなく歴史的資料としても貴重だと言います。

ぜひ拡大版で見て欲しい作品だと思います。

 

2つ目は知識がないとまず描けない!

「バベルの塔(detail)」(1568年頃)ピーテル・ブリューゲル1世

「バベルの塔(detail)」(1568年頃)ピーテル・ブリューゲル1世

これも拡大版で見ると一番分かりますが、
この作品は構造や建設の様子が細部まで描かれています。

細密過ぎる絵画だけに、
それなりの知識がないとここまで細かく描く事は出来ない!

このブリューゲルは画家としてだけでなく、
それなりに知識人でもあったと思うのです。

 

3つ目はブリューゲルの想像力が凄い!

この絵が描かれた時代(1568年頃)
当時は天まで届くような高い塔はなかったと言われています。

現在では”天まで届くような高いビル”があるけれど、
当時はそこまでの建築技術もなかったわけです。

 

「バベルの塔(detail)」(1568年頃)ピーテル・ブリューゲル1世

「バベルの塔(detail)」(1568年頃)ピーテル・ブリューゲル1世

当時まったく現実味がなかった高い塔をどう描くか?
よっぽど想像力がないと描けなかったと思うのです。

 

考え…・思い…
スポーツで言う”心技体”ではないですが、
この「バベルの塔」を描くには”知識”と”想像力”と”画力”が必要!

そう思うとピーテル・ブリューゲルって
相当スゴイ画家なんだな~って思いませんか!?

こういった絵の背景を知ると、
絵の凄さが分かってくると思います。

 

ちなみに現在の科学などから分析してみると、
この塔の高さは約500メートルくらいになるそうです。

ボイマンス美術館所蔵 ブリューゲル「バベルの塔展」より
この「バベルの塔」のスケールのデカさが実感できると思います。

ピーテル・ブリューゲルは”第2のボス”といわれていますが、
この絵を見ると”ボスを超えたかな!?”なんて思えてきませんか?

 

ぜひ、ブリューゲルの本物を観て
その凄さを感じてほしいですね!

 

 

※ここで扱っているイラストや作品画像はpublic domainなど掲載可能な素材を使用しています。

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