- 2024-2-9
- Enjoy This (観てほしい絵画展)
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”知られざる”という表現が適切かどうかは分かりませんが、トーハク(東京国立博物館)の隅っこに「ジェンナー像」という彫刻が立っているのは、ご存知でしたか!?
私の持論ですが、”屋外の彫刻作品は、人に見てもらってこそ!”という考えがあります。
せっかく日本を代表する博物館に立っているのに、存在自体を知られないで…というのは、実に勿体ない!
この機会にちょっとでも「ジェンナー像」に目を向けてくれたら嬉しいですね。
【 目次 】 |
「ジェンナー像」の立っている場所は、ココです!
・明治30年(1897年)、高さ178.8cm、銅盤高9.4cm、鉄台座高151.5cm
作品名は「ジェンナー像(Edward Jenner)」で、米原雲海による彫刻作品です。
トーハク(東京国立博物館)の隅っこに、人知れず立っている彫刻と書きましたが、具体的にどこに立っているかというと、入り口を入って右に行ったところにあります。
おそらくほとんどの人は正面入口を入ったら、そのまま真っすぐに本館や平成館に向かうだろうから、右端に彫刻が立っている事に気が付かないかもしれないですね。
実はトーハクにはよく行く私ですが、それでも「ジェンナー像」を見つけたのは今回が初でした。最初は「エッ!?なんでこの場所に?」と思ったくらいです。
それだけ目立たない場所にあるわけです。
もうちょっと人目に付く場所に立ってほしいな~と思いながら、でも考えようによっては、最適な場所かもしれない!?と思ったりもします。
なぜかというと、まるでトーハクを見守る様に立っているから!
しかも、この彫刻になっている”エドワード・ジェンナー”は、人間の命に関する功績を残した人だから…。
エドワード・ジェンナーは、どういった人物なの?
現在「ジェンナー像」は、日本で計5体あると言われています。その一つが、この東京国立博物館の像です。
彫刻になるほどですから、それなりの功績を残した人物だというのは分かると思います。おそらく、医学に関係する人なら知っている人物かもしれないですね。
ちなみに私は医学に関係していないためか、ジェンナーという人物は知りませんでした。
今回イイきっかけだと思い、”エドワード・ジェンナー”について調べてみたのです。
エドワード・ジェンナー(Edward Jenner)
1749年ー1823年、イギリスの医学者。天然痘の予防”種痘(しゅとう)”を開発した人物で、「近代免疫学の父」と呼ばれています。
現在”天然痘”は、ほとんど聞かない感染症だと思います。
1980年のWHO(世界保健機関)によって、人類史上初の根絶に成功した感染症と宣言されただけありますよね。そう考えると、”種痘”を開発した医師”ジェンナー”の功績は相当なものだと思います。
当時ジェンナーが生きていたイギリスでは、度々天然痘の流行で苦しめられていたそうです。別にイギリスだけではなく、世界中でも天然痘には苦しめられていました。最古の例だと、古代エジプトでも存在していたのが確認されているそうです。
人への感染力も非常に強く、致死率は約20~50%と高かった。仮に天然痘に罹り治療が上手くいっても、瘢痕などの痕が残ったそうです。比べるのはどうかと思いますが、数年前に世界的に流行したコロナよりも酷い感染症だったのかもしれませんね。
さてエドワード・ジェンナーの開発した”種痘”は、牛からの感染症”牛痘”がヒントになったと言われています。
”牛と接する仕事をして自然と牛痘に罹った人間は、その後に天然痘にはならない。”この言い伝えがきっかけで、人間にも利用できるのでは?とジェンナーは考えたそうです。
そして1796年、人間に牛痘を接種したところ、多少の発熱などの不快感はあったにせよ、その後天然痘には感染しなかった。天然痘の予防法が成功したというわけです。
それから1896年(明治29年)、種痘発明100年記念として、高村光雲の弟子”米原雲海”に制作を依頼して完成したのが、トーハクの「ジェンナー像」というわけです。
ちなみに台座の碑文には、漢字で「善那」と書かれています。
先ほど私が”ジェンナー像は、まるでトーハクを見守る様に立っている!”と話しましたが、その意味も何となく分かってもらえたかと。
確かに人目のない場所に立ってるかもしれない。でも僕らを見守っていると考えると、実は最適な場所なのかもしれないですね。
というわけで、もしトーハクに行った際は「ジェンナー像」と会ってみるのもイイと思います。
おそらく像の周辺には、ほとんど人がいないでしょうから、じっくりと「ジェンナー像」と対話できると思います。
※ここで扱っているイラストや作品画像はpublic domainなど掲載可能な素材を使用しています。
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