- 2025-12-31
- Enjoy This (観てほしい絵画展)
- コメントを書く

西洋絵画史を見る限り、これほど深みがあり影響力のある名画は他にあるだろうか!?
今回は二コラ・プッサンの代表作と言われる「我アルカディアにもあり(Et in Arcadia Ego)」について解説していこうと思います。
この作品はかなり有名なので知っている人も多いと思いますが、改めて観ると作品の深みにハマってしまいます。
後世に残した影響力の大きさが伊達じゃないのも納得ですね。

「我アルカディアにもあり」(1638年)二コラ・プッサン
・85×121cm、カンヴァスに油彩、ルーヴル美術館所蔵
これは二コラ・プッサン(Nicolas Poussin)の代表作で、現在はルーヴル美術館に所蔵されています。
一見した限りでは、楽園アルカディアで墓石の周辺に集まる3人の羊飼いと女性が描かれているだけですが、実は深みのある意味を含んでいると言われています。
現在も様々な解釈がされていますが、特に有力なのが”メメント・モリ”です。
理想郷とされるアルカディアにも、”死”は存在する。
つまり”死を忘るるなかれ”という教訓的な意味を含んでいると。
本来ならメメント・モリを象徴する”頭蓋骨”らしきモチーフが描かれるのが多いです。
では、なぜ”死”を意味しているのか??
墓石にラテン語で”Et in Arcadia Ego”の碑文が刻まれているからです。
ちなみに…

「我アルカディアにもあり」(1629-1630年頃)二コラ・プッサン
・101×82cm、カンヴァスに油彩
プッサンは同主題の作品をもう一枚描いています。
制作年から第1作目となる作品で、こちらでは墓石の上にさりげなく頭蓋骨が描かれているのが分かります。
この1作目の数年後に、2作目となる「我アルカディアにもあり(ルーヴル所蔵)」が制作されたわけですが、2作目では頭蓋骨が描かれていない。
こういった違いも、解釈に多少の影響を与えていると言います。
我アルカディアにもあり
Et in Arcadia Ego 17世紀にイタリアで作られたラテン語の成句で、人文主義的感慨を凝縮して表現している。「われ(すなわち<死>)アルカディアにもあり」。つまり、現実逃避の牧歌的な理想郷アルカディアも、死からの逃避所ではないというわけである。~
・出典元:『西洋美術解読事典』より、一部抜粋
参考に…
現在ではプッサンの2作目となる「我アルカディアにもあり」が特に知られていますが、プッサンが描く以前に他の画家が同主題の作品を描いています。

「我アルカディアにもあり」(1618年頃)グエルチーノ
・78×89cm、カンヴァスに油彩
グエルチーノ(Guercino)による「我アルカディアにもあり」です。
こちらでは”メメント・モリ”がより顕著に表現されています。
”理想郷アルカディアにも、死は存在する!”です。
グエルチーノ(1591~1666年)はイタリア出身のバロック期に活躍した画家です。
プッサンとほぼ同時代を生きた画家です。
グエルチーノが制作した約十数年後に、プッサンが同主題を描いている事から、少なくとも影響を与えているのは間違いないでしょうね。
まとめ…

”死を忘るるなかれ!”
こう言われると、ちょっと怖い感じにも聞こえますが、解釈によっては非常にプラスになる教訓だと思います。
私的な解釈になりますが、常に死を意識して生きよう!
つまり、人生に限りがあるので、悔いのないように生きよう!です。
一年の終わりとなる大晦日に私がこの作品を紹介したのは、一年という期間に区切りがある様に、人生にも終わりがあるから。
こういった意味も込めて、今回「我アルカディアにもあり」を紹介させて頂きました。
※ここで扱っているイラストや作品画像はpublic domainなど掲載可能な素材を使用しています。
コメント
この記事へのトラックバックはありません。

















この記事へのコメントはありません。