- 2024-1-6
- Enjoy This (観てほしい絵画展)
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先日ネットで見かけた記事ですが、1月5日から福岡で「永遠の都 ローマ展」が始まりました。
一番の目玉作品は日本初公開となるカラヴァッジョの「洗礼者聖ヨハネ」で、福岡会場のみの限定公開だそうです。
私の様に美術好きだと、”日本初公開!”と言われると妙に気になってしまう。単なるミーハーなだけなのかもしれませんが、カラヴァッジョの作品だからなおさらですよね。
【 目次 】 ・カラヴァッジョの「洗礼者聖ヨハネ」の見所ポイントは? |
個人的に妙に気になった作品だったので、今回は私的な解説を交えて話していこうと思います。
カラヴァッジョの「洗礼者聖ヨハネ」の見所ポイントは?
・129×95cm、カンヴァスに油彩、カピトリーノ美術館 絵画館所蔵
現在カピトリーノ美術館に所蔵されている、巨匠”カラヴァッジョ(Caravaggio)”の作品です。
バロック期を代表する画家だけあって、光の差し方には目が向いてしまいますね。
ネットニュースを見た話ですが、福岡市美術館で「永遠の都 ローマ展」が開催した初日、ローマ市文化財監督官のクラウディオ・パリージ・プレシッチェさんがこんな解説をしたそうです。
…「バロック美術の夜明けのと呼べる革新的な作品。光の入り方、目線などじっくりと鑑賞してほしい!」と。
カラヴァッジョの持ち味は、何といっても高い写実性と強い明暗の対比描写です。どこから光が差し、肉体のどの部分に光が当たっているのか?対照的に光の当たっていない部分との違いを観るのも見所の一つ。プレシッチェさんの解説にも納得ですね。
ただ私としてはもう一つ挙げたい大きな見所があり、それはカラヴァッジョの描く人体描写です。
特に裸体表現は、不思議な魅惑を醸し出しています。男性(もくしく男の子)を描いた裸体でも、妙なセクシーさというかエロさがあります。
高い写実性を持った画家であれば他にも多々いますが、官能的ともいえる裸体表現や人物の内面を浮き彫りにしたかの様な描写が出来る画家はそうはいない。私が思うに、カラヴァッジョにしか描けない代物でしょうね。
本当に洗礼者聖ヨハネ!?様々な説と背景について解説!
図録の解説にもありますが、1602年にカラヴァッジョがチリアコ・マッティのために描いた作品で、実際に作品に対する支払いがあったという記録も残っている。そしてカラヴァッジョの真筆として認められたという経緯もあるため、カラヴァッジョによる作品なのは間違いはない様です。
・129×95cm、カンヴァスに油彩、カピトリーノ美術館 絵画館所蔵
でも描かれている人物は、本当に洗礼者聖ヨハネなのか!?
これについては諸説あると言われています。
チリアコ・マッティの息子の財産目録に記載があるため、現在は”洗礼者聖ヨハネ”との説が最有力の様です。
でも他の専門家たちからは、違うのでは?との意見もあるそうです。画面の左下に火のついた薪が描かれているため、神の命によって犠牲に捧げられそうになった”イサク”ではないか?との説もある。
さらには少年の頭には光輪が描かれていないので、純粋に牡羊を伴った少年なのでは?という説もあるようです。
・172.7×132cm、カンヴァスに油彩、ネルソン=アトキンス美術館所蔵
日本を代表する美術史家宮下規久朗(みやしたきくろう)さんの書籍『カラヴァッジョ巡礼』では、”洗礼者ヨハネ(解放されたイサク)”という風に書かれていました。ハッキリとした答えは書いていませんでしたが、宮下規久朗さん的には”イサク”という解釈の方が強いのかもしれませんね。
洗礼者聖ヨハネなのか?私の解釈をお話しします。
一般的に洗礼者ヨハネの持物は、十字架や動物の毛皮が描かれる事が多い。この点から推測すると、私の解釈になりますが、”洗礼者ヨハネ”だろうと思います。実際に身にまとってはいませんが、少年の下には獣の毛皮が描かれていますからね。
描かれている人物は誰なのか?は、注文者や描いたカラヴァッジョしか分からない事です。
でも僕ら鑑賞者からすれば、事実よりも解釈の方が大切ですからね。あなたなりにじっくりと観て、一体だれなのか?自分なりに分析して推測するのも絵画鑑賞の楽しさだと思います。
【 特別展「永遠の都 ローマ展」開催概要 】 ・会期:2024年1月5日(金)~3月10日(日)まで |
とにかく関東圏に住んでいる私からすると、福岡でカラヴァッジョの「洗礼者聖ヨハネ」を観れるって羨ましい!
何せ、日本初公開ですからね。行ける環境の人はぜひ逃さずに観てほしいと思います。
※ここで扱っているイラストや作品画像はpublic domainなど掲載可能な素材を使用しています。
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