美術館で版画はアッサリ見て終わり!? 実は絵画にはない魅力があって面白い!

Face Printmaking

 

美術館で度々目にする版画作品、もしかしたらアッサリ見終わってませんか??

 

アッサリだったらまだイイものの、中には素通りしている人もいる様です。せっかく展示されている美術作品ですから、見ないのは実に勿体ない。でも版画の多くは白黒がメインで、如何せん見た目は地味。いざ鑑賞しようと思っても、どうやって楽しめば良いのやら…。

今ではそれなりに版画作品も楽しめるまでなった私だけれど、実を言えば最初の頃は版画が好きではありませんでした。だから”版画の楽しみ方が分からない”という気持ちも分からないでもない。そんな私だからこそ言える言葉なので、多少は説得力も増すってものでしょうか。^^

この際だからハッキリ言わせてもらいます。

版画は観方によっては、物凄くオモシロイ芸術です!

 

今回は私なりの楽しみ方や鑑賞方法について話していこうと思います。

 

 

話は数年前にさかのぼります…

Think back

元々私が美術を好きになるきっかけは”絵画”でした。そんな経緯もあり最初の頃は版画がそこまで好きではなかったのです。さすがに素通りはなかったものの、アッサリ見て終わりと言う状態でしたね。当時の版画に対する印象と言えば、版画って地味だな~とか、油絵に比べて個性がある様には見えなかったのです。印象派や現代アートに比べると、見た目はパッとしない感じですしね。今思えば、本当に勿体ない事をしたな~と。(過ぎ去りし過去ってわけですね。)

 

 

版画の先入観が変わった瞬間!

版画はオモシロイ!

そんな私の版画への先入観が大きく変わった出来事がありました。

「ミラクル・エッシャー展」に行った時の事です。今でも覚えていますが、エッシャーの版画をルーペで見た時の衝撃!!あれはヤバかったですね!!…その時の衝撃を言葉で表現するなら、”コレって、超オモシロイじゃん!!”と。

 

元々スキューバダイビングで小さな魚を観察するのが好きだった私にとって、版画をルーペ(単眼鏡)で観るという行為は、まさに通じるものがあったわけですね。俗にいうマクロ派な私にとっては、ドンピシャな鑑賞方法だったというわけです。それからというもの、版画が展示される際は”ルーペ”の持参が必須になってしまった。そして版画を観る際は、ルーペが欠かさなくなったというわけですね。

やっぱり版画を鑑賞するなら、ルーペ(単眼鏡)は必須でしね!!

 

 

「犀(The Rhinoceros)」(1515年)アルブレヒト・デューラー

「犀(The Rhinoceros)」(1515年)アルブレヒト・デューラー

・23.5×29.8cm、木版画

これはアルブレヒト・デューラー(Albrecht Durer)の作品『(The Rhinoceros)』。実はこの版画でまず驚くのは、木版画という点でしょうね。細かく細密な描写を、木版に彫って描いたわけですから。

そしてもう一つの驚きは、デューラーは実際に犀(サイ)を見ないで描いたと言いう点。ある程度参考となる資料などはあっただろうけど、多くは想像して描いたわけです。当時はこの版画が”本物の犀”と認知されていたそうなので、そう考えたらデューラーの作品の影響力って凄いですよね。

 

もう一つデューラーの版画を挙げてみたいと思います。

「皇帝マクシミリアン1世の凱旋車(1-4)」(1518-1522年)アルブレヒト・デューラー

「皇帝マクシミリアン1世の凱旋車(1-4)」(1518-1522年)アルブレヒト・デューラー

 

以前「ボストン美術館展」で観た、『皇帝マクシミリアン1世の凱旋車』という作品です。

実はこれもWoodcuts、つまり木版と言うのが驚きです。

 

「皇帝マクシミリアン1世の凱旋車(5-8)」(1518-1522年)アルブレヒト・デューラー

「皇帝マクシミリアン1世の凱旋車(5-8)」(1518-1522年)アルブレヒト・デューラー

 

僕らが小学?中学?だったか忘れましたが、図工の授業で木版画を習った経験があると思います。そんな私の実体験から、木版で作品を作るって結構大変だった記憶があります。だからこの版画を観た時の衝撃は半端なかったでしね。

 

「皇帝マクシミリアン1世の凱旋車(1-2)」(1518-1522年)アルブレヒト・デューラー 「皇帝マクシミリアン1世の凱旋車(3-4)」(1518-1522年)アルブレヒト・デューラー
※クリックして、大画面で見てみるのもイイと思います。

 

「皇帝マクシミリアン1世の凱旋車(5-6)」(1518-1522年)アルブレヒト・デューラー 「皇帝マクシミリアン1世の凱旋車(7-8)」(1518-1522年)アルブレヒト・デューラー

細かな字に、細密かつ緻密な模様。これが木版で制作されているって…。つくづくデューラーって、凄い画家というか版画家だな~と思った瞬間です。デューラーは、画家のイメージが強いかもしれないけれど、実は版画作品も傑作揃い!です。もし見かけた際は、見逃してほしくないですね!

 

ちなみに私が現在使っているルーペ(単眼鏡)がこちら↓です。色はパール調で上品な感じがするホワイト、そして視界の明るさは特にイイと思っています。眼鏡を掛ける私にとっては最適な相棒です。

 

 

版画にも様々ある!?

版画は様々!

ある程度版画が分かってきた身としては、版画には様々な技法や制作方法があるのは知ってます。でもそうでない人からすると、版画と言えば木版画を一番に思い浮かべるかもしれませんね。

でも実は版画には色々な技法というかバリエーションがあります。先ほどデューラーでも挙げた木版画を始めとして、他にはエングレービングやエッチング、ドライポイント、リトグラフなど様々。もちろん制作方法や技法が違えば、作品の味わいも特徴も違います。さすがにここでは全部は挙げれないので、一部を簡単に説明すると。

 

「レダと白鳥」(1540年頃)コルネリス・ボス

「レダと白鳥」(1540年頃)コルネリス・ボス

・27.5×40.6cm、エングレービング

エッチング、エングレービングなどは緻密な線が特徴的で個人的に好きな部類に入る版画です。イメージとしては木版画の様に彫るというか、針(ニードル)などで彫るという感覚に近いでしょうね。

それから私たちもよく知る浮世絵も版画の一種だったりします。江戸時代に活躍した葛飾北斎は特に有名です。俗に”多色版画”と呼ばれるものです。一概に版画とは言っても、様々な技法や楽しみ方があるわけですね。

だから版画は知れば知るほど奥が深いし、オモシロイ芸術なわけです。

 

 

版画はマクロに限る!?

マクロ派

先ほどもちょっと触れましたが、私は”マクロ派”な人間です。スキューバダイビングの世界では、小さな生物や魚を観察したり、撮影して楽しむダイバーの事を言います。そんなマクロ派人間にとって、ルーペで版画を観察する行為は、まさに通じる部分がある!というわけです。

確かにデューラーの木版画も凄いけれど、個人的にエングレービングやエッチングの版画はお気に入り!なのはこのためです。

 

「パリスの審判(ラファエロの原画より)」(1515‐16年頃)マルカントニオ・ライモンディ

「パリスの審判(ラファエロの原画より)」(1515‐16年頃)マルカントニオ・ライモンディ

・エングレービング、シュトゥットガルト州立美術館(ドイツ)

エングレービングの醍醐味とも言える繊細な線をルーペでじっくりと観る!これは実際に観ないと分からない面白さだと思います。マクロ派にはタマラナイ瞬間ですね!^^ もちろん絵画でもルーペで観察する機会は多々ありますが、版画の場合はその世界観に圧倒されます。正直言って、絵画にはない別の世界観が広がっています。今思い返しただけでも、シビレますね。私がマクロ派人間なのもありますが、何よりも版画とルーペの相性がイイという証でもあると思います。

 

だから版画を素通りする行為は、今の私にとっては本当に信じられない行為です。この版画の世界観を見逃しているわけですから!実に勿体ない。本当に勿体ないと思います。

 

まとめるなら…

版画は鑑賞方法によっては、物凄くオモシロイ芸術にもなる!というわけです。

 

 

版画に対するイメージも変わってきましたか!?

「サン・ジョヴァンニ・イン・ラテラーノ聖堂の内部(『ローマの景観』より)」(1768年)ジョヴァンニ・バッティスタ・ピラネージ

「サン・ジョヴァンニ・イン・ラテラーノ聖堂の内部(『ローマの景観』より)」(1768年)ピラネージ

 

ここまでの話を聞いて、版画に対するイメージもちょっとは変わってきたと思います。

今まで版画をじっくり観てこなかった理由に、もしかしたら絵画と同じ感覚で版画を見ていたかもしれませんね。でも騙されたと思って、ルーペ(単眼鏡)を使って見てみて下さい!!結構面白い感覚を味わえるかもしれませんよ。

 

考え
て、ここから私のちょっとしたアドバイスをしたいと思います。

これまで版画に対して興味を持てなかった人に向けて、個人的におススメしたい版画があります。先ほどもちょっと触れましたが、浮世絵やエッチング、エングレービングは導入としてイイかもしれませんね。浮世絵は日本の江戸時代に多く制作されたもので、日本人にとっては一番馴染みやすいかもしれませんね。そしてエングレービングやエッチングは繊細な線が特徴なので、ルーペで版画の世界観を観察するには一番分かりやすいかと思います。

西洋絵画でも頻繁に登場する版画作品。デューラーやレンブラントなど、有名な画家たちも版画を数多く制作しています。せっかく美術館に行って芸術作品を味わうなら、版画も忘れてはならないと思います。観方によっては、物凄くオモシロイ版画!ぜひ、ルーペでじっくり観察して観てほしいと思います。

 

 

 

※ここで扱っているイラストや作品画像はpublic domainなど掲載可能な素材を使用しています。

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