- 2016-1-25
- Impression(絵画展の感想)
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『ボッティチェリ展』に行って… その2
前回では私の印象に残った2つの作品の1つ
『ラーマ家の東方三博士の礼拝』について話してみました。
そして2つ目が…

「アペレスの誹謗」(1494-96年頃)ボッティチェリ
※出展:Web Gallery of Artより
…『アペレスの誹謗』という作品です。
この絵を見た最初の印象は、
…なんだか違和感を感じてしまったのです。
厳かな神殿とは真逆のまっ黒な衣を着た怪しい人物。
その黒装束の人物とは対照的な
”聖人”らしい右手を挙げた人物。
背景と人物が何だかすごい違和感があったのです。
何でかな~?と思って解説を見ると
これは逸話的な要素を含んだ作品だって事です。
この『アペレスの誹謗』という絵は、
画家アペレスの『誹謗』をボッティチェリが復元した作品です。
それぞれの人物は、
それぞれ意味しているモノがあるのです。
例えば…

「アペレスの誹謗」(1494-96年頃)ボッティチェリ
※出展:Web Gallery of Artより
王の前に引きずり出されている若者。
(手を合わせている若者です。)
これは”無実”を表しているそうです。
そして”無実”の若者を引きづっている女性
(松明を持っている女性)
これは”誹謗”を表しています。
そしてその周りにいる2人の女性。
”誹謗”の女性の髪の毛を整えている女性。
それぞれ”欺瞞”と”嫉妬”を表しています。
※欺瞞(ぎまん)…あざむく事、だます事。
それから王座に手を伸ばしているフードをかぶった男性
(誹謗の女性の左腕を掴んでいる人物)
これは”憎悪”を表しているそうです。

「アペレスの誹謗」(1494-96年頃)ボッティチェリ
※出展:Web Gallery of Artより
それから王座に座っている男性らしき人物は”不正”。
その両肩でささやく2人の女性は、
それぞれ”無知””猜疑”を荒らしているのです。

「アペレスの誹謗」(1494-96年頃)ボッティチェリ
※出展:Web Gallery of Artより
そして後ろにいる黒装束の人物は”後悔”を表し、
横にいる右手を挙げている人物は”真実”を表しているのです。
この絵が言いたいのは、
”嫉妬からか無実の罪で捕らえられた男の悲惨な姿”
それを擬人化して伝えているそうです。
これは知らないで見ると、
単なる上手い絵だな~しか思わないかもしれないけど、
絵の内容まで見てみると実は深い作品なのです。
ちょっと難しい言葉で言うと、
”寓意(ぐうい)”という言葉が当てはまると思います。
※寓意(ぐうい)…直接には表さず、他の物事に託して表す事。
ボッティチェリの作品は1つ1つ意味があって、
そして描かれていると思うのです。
そういう意味では
この『アペレスの誹謗』はボッティチェリらしいな~と。
そういえば…
この本を見て知った事ですが、
ボッティチェリは性格的にいたずら好きで、
ユーモアあふれる人物だったと言われています。
だからこういうユーモアというか、
”奥深い作品”を作ったのかもしれませんね!
こんな風に解説や背景を知った上で、
作品を見るみるのもオモシロいと思いますよ!
宗教画は一見すると
ちょっと敷居が高い感じに見えてしまいます。
でも実はユーモアだったり
逸話的だったりと奥深い要素が結構あると思うのです。
だからあまり固くならずに、
普通の絵を観る感じに気楽に見てほしいですね!!(^^)
ではでは~、
次ではボッティチェリの師匠と弟子のリッピの作品を見ていきます…
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