印象派風な風景画を描いた”レッサー・ユリィ”ってどんな画家?

アメリカの風景画家”フレデリック・エドウィン・チャーチ”

 

確かに印象派に似ているけれど、でも何か?が違う様な…。

これが初めてレッサー・ユリィの作品を見た私の第一印象でした。おそらく多くの人は「イスラエル博物館展」でこの名を知ったと思います。実のところ私もその一人です。巷では印象派画家と言われている様だけれど、私はあえてレッサー・ユリィ(Lesser Ury)印象派風な風景画家と呼ばせてもらいます。

 

「夜のポツダム広場」(1920年代半ば)レッサー・ユリィ

「夜のポツダム広場」(1920年代半ば)レッサー・ユリィ

これは「イスラエル博物館展」で展示された作品夜のポツダム広場
参考)⇒「イスラエル博物館所蔵 印象派・光の系譜展」を観てきました。

夜のポツダム広場を行き来する傘を差した人たちを描いた作品です。濡れたアスファルトに反射する街灯の光。暗い街中にきらびやかに映る明かりはまさに絶品!!おそらく「夜のポツダム広場」に描かれた”光”に魅了された人もかなりいたのでは?と思います。まばゆいけれど、でもどことなく温か味のある光は一度見たら忘れられないほど!まさに印象に残った作品でした。

さて、この絵の背景について話すと、ポツダム広場はベルリンに位置する場所で、当時ヨーロッパを代表する経済の中心地でした。1838年に開通したプロイセン鉄道によって、ベルリンは一気に経済発展していきます。「夜のポツダム広場」が描かれてのは1920年代中頃で、経済的に最も最盛期と言われていた時期。当時ヨーロッパを代表する経済の中心地”ベルリン”がこの1枚に凝縮されているわけです。

 

ここでCheck!
確かにレッサー・ユリィの絵は印象派的な描き方ですよね。でも何か?が違う様に感じませんか?もしくは私だけだろうか?一般的に印象派と言えば自然溢れる明るい風景画が特徴です。そんな中にあってユリィの夜の風景画はちょっと異質に見えてしまうのです。

 

最近何かと話題を独り占めのユリィについて、私的な視点で迫ってみました。ぜひ参考にしてもらえると幸いですね!

 

 

印象派風な風画画家”レッサー・ユリィ”って?

Painting Art

日本で”レッサー・ユリィ”を知っている人ってどれほどいただろうか??

 

…おそらくほとんどいなかったと思います。

とはいえ、海外ではそれなりに知名度はある画家です。事実ベルリンやニューヨークなど他の国では絵画展が行われた事もありました。今まで日本で知られなかったのが本当に不思議というか、残念ですよね。

 

「自画像」(1921年)レッサー・ユリィ

「自画像」(1921年)レッサー・ユリィ

 

ドイツの印象派画家”レッサー・ユリィ(Leo Lesser Ury)”。1861年11月7日誕生~1931年10月18日没。年代的にはモネやルノワールのちょっと後に活躍した画家です。

 

 

レッサー・ユリィの生い立ちと作品

ZOOM

日本ではほとんど知られていないだけに、もちろんレッサー・ユリィの生い立ちも知らないと思います。とはいえ、このユリィの詳細については不明な点も多いのです。残されている記録があまりないと言います。ここでは分かる範囲で簡単に紹介しようと思います。

 

1861年11月7日…
ポーランド(旧プロイセン)のビルンバウム(Birnbaum)という場所でレッサー・ユリィは生まれます。

 

1879年…
デユッセルドルフの美術アカデミーで学びはじめます。レッサー・ユリィが本格的に画家として歩み始めたのがこの頃でした。

その後ユリィはブリュッセル、パリ、ミュンヘン、シュトゥットガルトなど様々な都市に移り住みながら絵について学びます。この頃フランスでは”印象派展”も開催されていたので、おそらくレッサー・ユリィも観に行ったかもしれませんね。

 

1887年…
ベルリンに引越しします。その後ユリィは生涯のほとんどをこの地で過ごします。当時ベルリンはかなり都市化が進んでいました。ユリィは都市化していったベルリンに魅了されたから?、都市部の風景画を多く描き残します。

 

1889年(レッサー・ユリィ28歳の頃)
自身初となる個展を開催。

この個展でドイツ人画家アドルフ・フォン・メンツェルに支持され、ユリィは賞を授与されました。

 

「Nachtbeleuchtung」(1889年)レッサー・ユリィ

「Nachtbeleuchtung」(1889年)レッサー・ユリィ

※”Nachtbeleuchtung”…意味は「夜の街灯、イルミネーション」になります。  

 

ここでCheck!
ユリィの人物の描写は一見の価値あり!

レッサー・ユリィの街灯に照らされた夜の街並みは実に素敵です。暗がりの光の描き方は何度見ても惚れ惚れします。でもこれ以外に注目して欲しいのが人物の描き方!

パステルを使用しているためか、浮かび上がる感じの人物描写。それに女性らしい柔らかさも表現されていて、ルノワールを彷彿とさせる味わいもあります。そして最大のポイントはファッションデザイナー的人物描写も見逃せない!スタイリッシュでオシャレな感じはまさに一見の価値あり!

私がユリィに惹かれた最大のポイントがファッションデザイナー的人物描写!特に「イスラエル博物館展」で観た冬のベルリンは特におススメ!ぜひこれはLIVEで見てほしいと思います。私は観た瞬間”ぜひ部屋に飾りたい!!”と思ったほどでした。

 

「Abend im Cafe Bauer」(1894年)レッサー・ユリィ

「Abend im Cafe Bauer」(1894年)レッサー・ユリィ

 

1915年と1922年とベルリンの分離派展に出品。
1922年の展覧会はユリィにとって特に大規模なものでした。油絵やパステル画が高く評価されたのです。レッサー・ユリィが画家として大きな成功を収めた時期だと思います。

 

「Unter den Linden」(1922年)レッサー・ユリィ

「Unter den Linden」(1922年)レッサー・ユリィ

空の曇り具合や傘を差している女性たちから、雨が降っているのが分かります。これまでユリィの作品をいくつか見てきましたが、どれも””と””、そして”都会的な街並み”が大きなポイントの様ですね。

 

「Unter den Linden」(1925年)レッサー・ユリィ

「Unter den Linden」(1925年)レッサー・ユリィ

 

淡く浮き上がる様な描写はどことなくルノワールに似ていると思いませんか?でもユリィの場合はルノワールよりもワントーン暗い感じがします。私はこの絵で使われている緑色が何とも言えず好きですね。

 

「Champs Elysees with Arc de Triomphe, Paris」(1925年)レッサー・ユリィ

「Champs Elysees with Arc de Triomphe, Paris」(1925年)レッサー・ユリィ

 

ここでCheck!
ユリィの風景画で注目したいポイント!!

レッサー・ユリィの風景画で注目して欲しいポイントがあります。それは当時のベルリンの様子が垣間見れる事!!前半で「夜のポツダム広場」という作品について話しましたが、当時のベルリンの街並みが絵から感じられるのがイイですね。舗装された道路や走っている車の様子。ビルや街灯、それから人々のファッションまでが垣間見れます。ユリィが生きていた頃のベルリンは当時経済的に最先端にいました。その様子が作品から伝わってくるのです。

当時の雰囲気が感じられる…”これは印象派作品の醍醐味でしょうね!

 

「Nollendorfplatz bei Nacht」(1925年)レッサー・ユリィ

「Nollendorfplatz bei Nacht」(1925年)レッサー・ユリィ

 

本当にユリィの作品は暗がりの風景画が多いと思いませんか!?

思うにユリィの性格が理由だったのでは?と思うのです。よく言われているエピソードですが、一匹狼で内向的だったと言います。性格も多少なり作品に表れているのかもしれませんね。

 

「In Front of the Cafe(Berlin at Night)」(1920年~1929年頃頃)レッサー・ユリィ

「In Front of the Cafe(Berlin at Night)」(1920年~1929年頃頃)レッサー・ユリィ

生々しくも魅惑的な光の描写…
暗い場面だからこそ余計に明るさが映えるんでしょうね。

本来印象派というと光の質感を描こうとしただけに、明るい雰囲気の風景画が多いのが特徴です。そんな中にあってユリィは暗がりの風景画を多く描いていました。特に印象派の作品を見慣れている人にとってはちょっと抵抗があるかもしれませんね。

でも暗がりの中でアスファルトに反射する光の質感という意味では、これも印象派に通じる部分があると思うのです。

 

雨の降った夜の都会の風景

ここまで一貫したテーマに絞った風景画も珍しいと思います。でもだからこそ魅力的なのかもしれませんね。

 

まだまだ日本では知名度の低い風景画家”レッサー・ユリィ”。でも「イスラエル博物館展」で一気にユリィの名が注目されました。今後ますます日本での公開が増えるかもしれません。ぜひ知っておいて損はないと思います。

ユリィの暗がりの中の光の描写、そしてファッショナブルな人物の描き方は実に素敵です!機会があれば、ぜひ行ってみる事をおすすめします。

 

※ここで扱っているイラストや作品画像はpublic domainなど掲載可能な素材を使用しています。

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コメント

    • 匿名
    • 2021年 12月 04日

    一目惚れでした。沢山絵を見たつもりでした。引き込まれてしまいました。もっと見たい。

    • Gym Goro
    • 2021年 12月 04日

    コメントありがとうございます。私も一目惚れの気分でした。見た瞬間ビビッ!と感じたほどでした。(^^)

    • 酒井ノリコ
    • 2021年 12月 04日

    実際の絵を見たいと思わされました。
    年明け大阪ハルカス美術館に必ず見に行きます。

    • Gym Goro
    • 2021年 12月 05日

    コメントありがとうございます。ぜひ行って愉しんでください!!^^

    • 匿名
    • 2021年 12月 11日

    今回の印象派展でレッサー・ユリィの数枚の絵が一番良かったです。光と立体感がフェルメールを思わされました。

    • Gym Goro
    • 2021年 12月 12日

    コメントありがとうございます。私も今回一番良かったのが実はレッサー・ユリィでした。あの光の描写はとてもイイですよね!!今度はぜひユリィ単独の個展が開催してくれるとイイと思っています。

    • あやこ
    • 2021年 12月 21日

    今日三菱一号館で見てきました!私もユリーの作品に一番心惹かれ思わず検索してこちらのページにたどり着きました。
    冬のベルリンのキャンパス画を注文しようか数分悩んで断念。。やっぱり欲しいなー

    • Gym Goro
    • 2021年 12月 23日

    コメントありがとうございます。ユリィの「冬のベルリン」本当に良かったですよね!!ポストカードでもあれば小さな額に入れて飾れたけれど、それさえもなかったので本当に残念でした。この絵は部屋に飾っても似合いそうですし、いつか手に入れたいですね!

    • 匿名
    • 2021年 12月 23日

    一目惚れでした。ご説明ありがとうございました。

    • わか
    • 2022年 1月 10日

    私も見た瞬間衝撃が走りました。ゴッホの夜の風景が連想されましたが、おっしやるとおり、ベルリンであることがますます興味をつのらせます。

    • Gym Goro
    • 2022年 1月 10日

    コメントありがとうございます。本当に絵って面白いですよね。描かれている風景から、当時の事が見えてくるわけですから。おそらくユリィはそんな先進的なベルリンを描きたかったんでしょうね。

    • 匿名
    • 2022年 1月 15日

    「夜のポツダム広場」と「冬のベルリン」が並んで展示されていて、しばらく魅入ってしまいました。おっしゃる通りアスファルトに反射する光の質感が印象に残ります。光の系譜展という名称も納得です。

    • Gym Goro
    • 2022年 1月 16日

    コメントありがとうございます。私もレッサー・ユリィの光の描き方というか、表現は本当に良かったですね。次は単独での絵画展が開催される事を願いたいですね。

    • 濱崎 康剛
    • 2022年 1月 18日

    展覧会2日目に行きました。夜のポツダム広場に魅了されて、ショップでミニキャンバスの複製画を買おうとしたら、前日の初日で完売したと言われて驚きました。注文して2週間後に自宅に届きました。今では毎日飽かずに眺めてはウットリとしています。

    • Gym Goro
    • 2022年 1月 18日

    コメントありがとうございます。気に入った絵は何度見てもイイものですよね!それにしても今回レッサー・ユリィはかなり人気でしたね。今までなぜ日本で公にならなかったのか本当に不思議でならないです。

    • 匿名
    • 2022年 2月 08日

    ハルカス美術館で見て印象に残り「レッサー ユリィ」で検索してたどり着きました。
    美術館の見せ方も上手かったですよね。太陽光下の自然中心の作品をずっと見てきて、一気に都市の夜の人工の光の作品ですから。

    • Gym Goro
    • 2022年 2月 09日

    コメントありがとうございます。人工的な光の作品。他の印象派とは一味違った感じが本当に良かったですね!

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