フェーデ・ガリツィアの「ホロフェルネスの首を持つユディト」

国立西洋美術館のコレクション

 

「常設展」に何度も行くと、その時のちょっとした変化に敏感になるからオモシロイ!

展示場所が変われば、その雰囲気の違いに気が付きますし、時には”新たな出会い”にも敏感になるからです。

 

先日、国立西洋美術館の「常設展」に行った時の話…

ふと、気になる作品に出くわしたので、今回はそんな一枚を紹介したいと思います。

 

「ホロフェルネスの首を持つユディト」(1622年頃)フェーデ・ガリツィア

「ホロフェルネスの首を持つユディト」(1622年頃)フェーデ・ガリツィア

・127×95.5cm、カンヴァスに油彩、国立西洋美術館所蔵

これはフェーデ・ガリツィア(Fede Galizia)の「ホロフェルネスの首を持つユディト」です。

2024年に国立西洋美術館が新たに加えたコレクション、つまり”新収蔵作品”です。

私はこの画家について知らなかったので、ちょっくら調べてみたのです。

 

フェーデ・ガリツィア(Fede Galizia)は、イタリア出身の女流画家。

1578年頃~1630年頃なので、ちょうどカラヴァッジョ(1571~1610年)と同時期に生きた画家です。

主に肖像画や静物画で人気のあった画家で、特に静物画の分野で言えばかなりの画力を誇ったようですね。

同じ時期に女性画家として活躍した人物にラヴィニア・フォンターナ(Lavinia Fontana、1552年-1614)がいますが、こちらも国立西洋美術館は新収蔵作品として加えています。

最近は女性芸術家の蒐集にも力を入れている様です。

 

「ホロフェルネスの首を持つユディト」(1530年頃)ルカス・クラーナハ(父)

「ホロフェルネスの首を持つユディト」(1530年頃)ルカス・クラーナハ(父)

・37.2×25cm、板に油彩、国立西洋美術館所蔵

さて、「ホロフェルネスの首を持つユディト」ですが、国立西洋美術館は他にも同題材の作品を所蔵しています。

上の絵はルカス・クラーナハ(父)によるもので、こちらも「常設展」でよく目にする作品です。
※ルカス・クラーナハ(Lucas Cranach、1472-1553年)ルネサンス期に活躍したドイツ出身の画家。

特に女性の描写は印象的で、クラーナハらしい女性の”美”が存分に表現されている様です。

同じ題材を描いた作品でも、画家が違えば全く違った感じになる。

つくづく芸術ってオモシロいな~と思いますね。

 

 

こで簡単ですが、”ユディト”について解説したいと思います。

ユディトは『旧約聖書外典』の「ユディト記」に登場するユダヤ人女性です。

未亡人”ユディト”は、美しく魅力的でありながら、そして信仰心が強い女性でした。

 

「ホロフェルネスの首を斬るユーディット」(1598-1599年頃)ミケランジェロ・メリージ・ダ・カラヴァッジオ

「ホロフェルネスの首を斬るユーディット」(1598-1599年頃)ミケランジェロ・メリージ・ダ・カラヴァッジオ

・145×195cm、カンヴァスに油彩、バルベリーニ宮国立古典絵画館所蔵(ローマ)

ある戦いの最中、ユディトは敵将ホロフェルネスの元に赴きます。そして泥酔し眠りついた時に、ホロフェルネスの首を切り落とし、国を救ったという話です。

命を顧みずに立ち向かう勇敢さというか、内面にある女性の強さ!

現代の社会に非常にマッチした題材だろうと思います。

国立西洋美術館がフェーデ・ガリツィの「ホロフェルネスの首を持つユディト」をコレクション化した理由も、何となく分かる気がしませんか!?

 

私の考え
さて、どうだったでしょうか。

多くの人は「企画展」にばかり目が向きがちですが、時には「常設展」もイイものですよ!

時には、今回の様な新たな発見!もあるからです。

これも「常設展」のオモシロさでもあり、醍醐味だと思っています。

ぜひ国立西洋美術館に行った際は、フェーデ・ガリツィアの「ホロフェルネスの首を持つユディト」を鑑賞してみてはどうでしょうか。

 

 

※ここで扱っているイラストや作品画像はpublic domainなど掲載可能な素材を使用しています。

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