- 2023-12-9
- Artwork (芸術作品)
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素敵な芸術作品は、また観たい!と思うもの。
今回は橋本雅邦の代表作『龍虎図屏風』について、私のおススメの鑑賞方法も交えて話していこうと思います。
狩野派に洋画の技法を取り入れ、独自の日本画を確立した画家”橋本雅邦”。
重要文化財に指定されている『龍虎図屏風』は、”雅邦”を象徴する作品と言っても過言ではないと思っています。
【 目次 】 ・また観たい!橋本雅邦の『龍虎図屏風』 |
以前間近で観て、本当に良かった!のもありますが…
2024年は干支が”辰年”だけに、龍を描いた作品はなおさら観たくなりますよね。
また観たい! 橋本雅邦の『龍虎図屏風』
・160.5×369.5cm(各)、六曲一双絹本着色、静嘉堂文庫美術館所蔵
吹き荒れる暴風と稲光、そして荒れる波間から姿を現す2頭の龍。龍の凄味もそうですが、背景描写の迫力も圧巻!だと思います。
今でも記憶に残っていますが、間近で『龍虎図屏風』を観た時は、本当に凄かった!^^
というか、”凄い”としか表現できない自分の語彙力の無さに、つくづく呆れてしまいますが。でも、本当に凄かったのですから、これしか言いようがありません。
そして同時に、”やっぱり屏風は本物に限るな~”と再確認したものですね。
・160.5×369.5cm(各)、六曲一双絹本着色、静嘉堂文庫美術館所蔵
そして「虎図」部分では、豪雨で大きくしなる竹と、龍に対抗する勇敢な虎の姿が描かれています。
個人的にはちょっと臆してた感じにも見える虎ですが、鬼気迫る様という点では、「虎図」の方がより表現されている様に見えます。
私の解釈にはなりますが、橋本雅邦は背景描写と色彩観が特に秀でている感じがします。多くの画家は龍虎の迫力が際立っている印象だけれど、雅邦は龍虎の迫力を引き立たせるための演出が上手いのかな~と。
同じ構図でも、それぞれ画家によって違った画風になるのは興味深いですね。
橋下雅邦(はしもとがほう) 天保6.7.27ー明治41.1.13(1835ー1908)
日本画家。幼名千太郎、本名は長郷。江戸木挽町(こびきちょう)の狩野勝川院雅信(1823ー80)邸内に生れ、東京で没。父は川越藩絵師橋本晴園養邦。13歳で狩野雅信に学ぶ。同門に7歳年長の狩野芳崖(かのうほうがい)がいた。明治15年(1882)に第1回内国絵画共進会で銀賞を受け知られた。フェノロサ、岡倉天心の鑑画会に参加、同23年東京美術学校教授、帝室技芸員となる。同31年に天心らと日本美術院を設立し主幹となり、また同40年に文展審査員になった。芳崖とともに、狩野派に洋画風の表現をとり入れた新日本画の確立に努め、幾多の優秀作家を育てた。代表作は『白雲紅樹』(1890、東京芸術大学)。
・出典元:『新潮 世界美術辞典』
雅邦の『龍虎図屏風』は、何が凄いのか?
私が思うに『龍虎図屏風』の凄さを一言で表すなら、屏風だから!
これに尽きると思います。
実際に観た事のある人なら分かると思いますが、屏風の良さは本物を観ないと分かりません!写真や画像では絶対味わえない迫力や躍動感が屏風にはあるからです。
屏風と言ったら芸術をイメージする人も多いと思いますが、本来は調度品(インテリア)でした。折り曲げて立てかける事で、部屋を仕切ったり、部屋を彩るための装飾品でもあった。
だから屏風は立てかけた状態で鑑賞しないと、本来の良さや醍醐味は味わえないと思うのです。
事実、多くの画家は折り曲げて立てかける事を前提に屏風に絵を描いていたと言いますしね。
もちろん橋本雅邦の『龍虎図屏風』も例外ではなく、折り曲げた状態で鑑賞すると、物凄い躍動感や動きが感じられます。
さてここまでの話から、自ずと鑑賞方法も分かってきませんか?
私がおススメする鑑賞方法は…
1、右や左と様々な位置から鑑賞する。
屏風はジグザグに折り曲げる物ですから、観る角度で違った表情が観れるわけですね。
2、右⇒左、もしくは左⇒右へ、ゆっくりと移動しながら鑑賞する。
龍は横に伸びた状態で描かれているので、うねる様な動きや立体感が味わえます。これは本物でしか味わえない醍醐味でしょうね。
ただ美術館によって屏風を広げた状態で展示する場合もあるので、一概には言えませんが。もし折り曲げた状態で展示されていたら、今回挙げた鑑賞方法はぜひ試してほしいと思います。
3、何よりもまず、屏風の迫力を体感しよう!
”屏風”は一種の家具でもあるので、作品自体が結構大きいです。
つまり、屏風ならでは迫力やダイナミックさが味わえるわけです。画像や写真では、本物の迫力は絶対に分かりませんしね。これぞ!本物でしか味わえない最大の醍醐味ではないでしょうか。
【 参考 】 ・西洋画と日本画の「龍(ドラゴン)」の描かれ方・違いがオモシロイ! |
いつ?どこで雅邦の『龍虎図屏風』が見れるの?
現在、橋本雅邦の『龍虎図屏風』は静嘉堂文庫美術館に所蔵されています。
もちろん2024年は干支が「辰年」で”龍”ですから、正月から見る事が出来ます。
展覧会名は「ハッピー龍リュウイヤー!」
静嘉堂文庫美術館にて、2024年1月2日(火)~2月3日(土)まで開催されます。
【 ハッピー龍リュウイヤー! 〜 絵画・工芸の龍を楽しむ 〜 】 ・会期:2024年1月2日(火)~2月3日(土) ・休館日:月曜日、1月9日(火) ※1月8日(月・祝)と1月29日(月)は開館します。 ・入館料:一般1,500円、大学生1,000円、中学生以下は無料、障害者手帳持参者700円(同伴者1名無料) |
静嘉堂文庫美術館(東京都千代田区丸の内2-1-1 明治生命館1F)
余談にはなりますが、「水野美術館」では橋本雅邦の『龍虎図(草案)』が展示されるそうです。
【 水野コレクション「いきものづくし ~ 橋本雅邦・下村観山らを中心に」 】 ・会期:2024年1月2日(火)~2月4日(日) |
興味のある方は、ぜひ行ってみるのもイイと思います。
※ここで扱っているイラストや作品画像はpublic domainなど掲載可能な素材を使用しています。
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