フェルメールの描く音楽の絵画と”ヴァージナル”

絵画と楽器

 

フェルメールの絵画を見ていくと、
音楽”が関わっている作品が多い事に気が付きます。

つまり楽器が描かれている絵画が多いのです。

 

・・・

フェルメールの作品には
いくつか共通点があるのはよく知られていますよね!

 

例えば…

室内を描いた作品が多い事だったり、
女性が頻繁に描かれているのもよく目にします。

また今回の様に
楽器が描かれている作品が多い!のも特徴的です。

 

そしてこれらが絵画で頻繁に描かれているわけですが、
それが点としてではなく線で繋がっている様に見えませんか?

”線”で繋がっていると言っても、
なかなかピンとこないかもしれません。

まずはフェルメールの作品を見ていくとしましょう!

 

・・・

「窓辺でギターを弾く女性」(1662-1665年頃)ヨハネス・フェルメール

「窓辺でギターを弾く女性」(1662-1665年頃)ヨハネス・フェルメール

フェルメール窓辺でギターを弾く女性(1662-1665年頃)

これは以前に上野の森美術館で開催した「フェルメール展」で観た作品です。

この絵で女性が弾いているいる楽器が”リュート”と呼ばれるもの。

作品のタイトルでは”ギター”となっていますが、
ギターもリュートも同じ弦楽器になるのです。

このリュートは中世~17世紀頃までヨーロッパ地方で流行った楽器で、
その後ギターが登場してくるまで頻繁に使われていたと言います。

 

考として…

リュートという楽器は絵画でも描かれる事があります。
カラヴァッジョもリュートを弾いている作品を描いています。

「リュートを弾く若者」(1600年頃)カラヴァッジョ

「リュートを弾く若者」(1600年頃)カラヴァッジョ

カラヴァッジョ作「リュートを弾く若者」(1600年頃)

この「リュートを弾く若者」では
より迫った形でリュートが描かれています。

見ての通りカラヴァッジョの絵画は
リアルな写実性”も特徴の1つです。

カラヴァッジョの絵を見れば、
リュートがどんな形でどんな楽器なのか??
より詳細に分かると思います。

 

もちろんフェルメールは
リュート以外にも様々な楽器を描いています。

例えば”シターン”や”ギター”、
それから”フルート”に”ヴァージナル”など…

「恋文」(1669‐1670年頃)ヨハネス・フェルメール

「恋文」(1669‐1670年頃)ヨハネス・フェルメール

ヨハネス・フェルメール恋文(1669‐1670年頃)

椅子に座っている女性が弾いている楽器が”シターン”で、
見たところリュートに非常に違い楽器なのが分かると思います。

特徴的なのがその水滴型(涙の形)の形でしょうか…。

 

考え…・思い…
同じ弦楽器でも時代によって様々な形があって、
様々な楽器があるのが絵画から分かると思います。

まさに絵画は今で言う”写真”みたいなものだと思います。

 

 

フェルメールの描く”ヴァージナルとその繋がり…

絵画と楽器

今ではあまり馴染みがありませんが、
フェルメールの作品では”ヴァージナル”という楽器も度々登場してきます。

 

「ヴァージナルの前の二人(音楽の稽古)」(1662-1665年頃)ヨハネス・フェルメール

「ヴァージナルの前の二人(音楽の稽古)」(1662-1665年頃)ヨハネス・フェルメール

ヴァージナルの前の二人(音楽の稽古)(1662-1665年頃)

女性が立って弾いている箱の様な楽器が”ヴァージナル”です。
チェンバロの1種で小型の鍵盤楽器の事を言うそうです。

ピアノが盛んに弾かれる様になる18世紀頃まで、
ポピュラーな楽器として親しまれていたと言います。

 

絵を見て感動!
フェルメールの作品ではこの様な珍しい楽器が随所に登場してきます。

探してみるとまだまだ色んな楽器がありそうですよね。

しかもフェルメールは写実的に描いているので、
楽器の細部までが見れるのも愉しいわけです。

 

・・・

「ヴァージナルの前に立つ女性」(1670-72年頃)ヨハネス・フェルメール

「ヴァージナルの前に立つ女性」(1670-72年頃)ヨハネス・フェルメール

これはヴァージナルの前に立つ女性(1670-72年頃)

現在ロンドンのナショナル・ギャラリーで所蔵されている作品です。

この作品にも楽器”ヴァージナル”が描かれていますが、
上の「ヴァージナルの前の二人」とは違うヴァーナルの様です。

 

この絵もそうですが、
主役は女性とヴァージナルになっています。

 

フェルメールの絵画の特徴は
中心となる人物や物は細部まで精密に書き込むのに対し、
背景はあっさりと描かれている事が多いと言います。
この描写方法の変化で立体感や奥行きを生み出しているそうですが、
この描写によって当時の楽器がどういうものだったか?
写真を見る感じで当時の様子を見れるのです。

これもフェルメールの作品の醍醐味!!だと思います。

 

さてここで
この絵とつながりのある作品を紹介したいと思います。

 

・・・

「ヴァージナルの前に座る若い女性」(1670-72年頃)ヨハネス・フェルメール

「ヴァージナルの前に座る若い女性」(1670-72年頃)ヨハネス・フェルメール

フェルメール作ヴァージナルの前に座る若い女性(1670-72年頃)

これもロンドンのナショナル・ギャラリー所蔵の作品です。

 

考え…・思い…
この絵を見て気が付きませんか!?
構図がほぼ対照的になっているが分かると思います。

実はこれは「ヴァージナルの前に立つ女性」の対の作品と言われているそうです。

ただ違うとするなら
こちらは椅子に座って弾いているという点でしょうか。

 

実はここで1つ注目してほしい事があるのです!!

この「ヴァージナルの前に座る若い女性」で女性の着ている青い服について!

ラピスラズリ(Lapis Lazuli)
この青は通称”フェルメールブルー”と言われる色で、
宝石のような透明感と深みが印象的な色なのですが、
これは当時としては珍しく
かなり高価だった”ラピスラズリ”という鉱石を使っているのです。

フェルメールはこのラピスラズリを絵画で頻繁に使っていました。

高価に関わらず色のために使うって…
フェルメールの色に対するこだわりが感じられますね!!

 

てまた「ヴァージナルの前に座る若い女性」を見てみて下さい!

「ヴァージナルの前に座る若い女性」(1670-72年頃)ヨハネス・フェルメール

「ヴァージナルの前に座る若い女性」(1670-72年頃)ヨハネス・フェルメール

この絵にはヴァージナル以外の楽器が描かれていますよね。

手前に見える大きな弦楽器”チェロ?(orコントラバスかな??)”

これは先ほど取り挙げた
ヴァージナルの前の二人(音楽の稽古)」でも見る事が出来ます。

 

考え…・思い…
この様にフェルメールの作品には、
楽器を一つとっても繋がりがあるものが多いのです!

そう思うと1つの作品を見ると、
以前観たあの作品が思い浮かぶ…

そんな記憶を呼び覚ましてくれるかもしれないのです。

もちろんフェルメールが描いたのが、
同じ屋敷内だったり同じ人物が多いのもあるだろうけど、
フェルメールに関しては単体で終わる事なく、
繋がりで絵画を見るのが一番かもしれませんね!

 

実はこの「ヴァージナルの前に座る若い女性」は
ロンドン・ナショナルギャラリー展”で観る事が出来るのです。

 

ロンドン・ナショナル・ギャラリー展

「ロンドン・ナショナル・ギャラリー展」

東京開催)
・開催:2020年3月3日(火)~6月14日(日)

・場所:国立西洋美術館
(東京都台東区上野公園7-7)

・時間:9:30~17:30まで
(金曜と土曜は20:00まで)
※入館は閉館の30分前まで

大阪開催)
・開催:2020年7月7日(火)~10月18日(日)まで

・場所:国立国際美術館
(大阪市北区中之島4-2-55)

 

確かに目玉はゴッホの「ひまわり」と言われていますが、
それだけじゃない!と思っています。

ぜひフェルメールの作品も要チェックですね!

 

 

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