新千円札の裏面に採用された葛飾北斎の「神奈川沖浪裏」を解説!

新札

 

すでに知っている通り、7月3日に新札が発行されました。

偽造対策強化やお札の識別のためが理由で、デザインの変更は約20年ぶりだそうです。

そんな新札の中で、特に気になるのが新千円札です。特に裏側のデザインに興味が惹かれてしまいますね。

 

なぜなら葛飾北斎の代表作富嶽三十六景』の神奈川沖浪裏が採用されているから!

 

今回の話の流れ

2024年に発行された新札デザインについて
葛飾北斎の「富嶽三十六景・神奈川沖浪裏」について解説
「神奈川沖浪裏」を私目線で分析・解釈してみました。

 

 

 

2024年に発行された新札デザインについて

新札

2024年7月3日に新札が発行されました。

今回発行されたのは、一万円札と五千円札、そして千円札です。

一万円札の顔になったのが”渋沢栄一”で、五千円札は”津田梅子”、そして千円札は北里柴三郎です。

デザイン変更は約20年ぶりだそうで、偽造対策の強化などが目的だそうです。お札の大きさはこれまでと変わらないですが、3Dホログラムなど様々な技術が導入されているとのこと。

正直言ってしまうと、私に様なキャッシュレス化人間にとって、今回のデザイン変更はあまり興味がなかったりしますが…。

 

も新千円札だけはちょっと関心を寄せてしまう!

 

「神奈川沖浪裏(『富嶽三十六景』より)」(江戸時代19世紀、1831年頃)葛飾北斎

「神奈川沖浪裏(『富嶽三十六景』より)」(江戸時代19世紀、1831年頃)葛飾北斎

というのも、裏側のデザインに葛飾北斎の神奈川沖浪裏が採用されているからです。

 

私の考え
芸術好きな人間にとっては、アートが採用されるのは実に嬉しい限り!

というわけで、今回私独自の目線で解説していこうと思ったわけです。

 

 

 

葛飾北斎の「富嶽三十六景・神奈川沖浪裏」について解説!

解説

葛飾北斎といえば、江戸時代を代表する浮世絵師です。

つい最近の話になりますが、米ライフ誌の「この1000年で最も重要な功績を残した世界の人物100人」にも選ばれる程で、日本人では唯一だそうです。

そんな北斎の代表作と言えば『富嶽三十六景』です。

中でも「神奈川沖浪裏」は最も知られていて、海外では”グレートウェーブ”と呼ばれているそうです。

 

「神奈川沖浪裏(『富嶽三十六景』より)」(江戸時代19世紀、1831年頃)葛飾北斎

「神奈川沖浪裏(『富嶽三十六景』より)」(江戸時代19世紀、1831年頃)葛飾北斎

 

絵の構成としては、大きな波と3隻の船、背景に富士山が描かれています。

「富嶽三十六景」は富士山を題材にした一連のシリーズではありながら、でも「神奈川沖浪裏」では波の描写が特に大胆に描かれています。

でもしっかりと中央には富士山の存在が見受けられる。

大胆に波が表現されてはいるけれど、目線が富士山に向かいうような構成になっているのは見事!こういった洗練された構図も評価の高さに繋がっている様です。

そして波の描写も斬新というか、素晴らしいの一言!

 

「おしをくりはとうつうせんのづ」(江戸時代19世紀、1805年頃)葛飾北斎

「おしをくりはとうつうせんのづ」(江戸時代19世紀、1805年頃)葛飾北斎

 

葛飾北斎(1760~1849年)は、当時としては相当長生きした人物。「富嶽三十六景」は、そんな北斎の70歳頃の作品というわけです。

40代くらいに制作した波の絵もありますが、それとは比べ物にはならないくらい波の荒々しさや水しぶきが表現されているのが分かると思います。

この30年くらいの歳月によって、北斎の画力が増しているのも垣間見れるわけですね。

 

「神奈川沖浪裏(『富嶽三十六景』より)※detail」(江戸時代19世紀、1831年頃)葛飾北斎

「神奈川沖浪裏(『富嶽三十六景』より)※detail」(江戸時代19世紀、1831年頃)葛飾北斎

そして「神奈川沖浪裏」で何気に重要はポイントは、3艘の押送船(おしおくりぶね)が描かれている点です。

これは当時輸送などに使われた船で、それぞれに約10人くらいの人間が描かれているのが分かります。

波の揺れに振り落とされまいと、必死にしがみついている様子から、波の荒々しさが読み取れるわけです。

 

そして押送船が描かれる事で、波の大きさもある程度推測できる!

江戸時代の押送船は約38尺だと言われているので、船の全長は約11メートルくらいになる。それから推測すると、大波の高さは約10メートルになります。

もし大波と富士山だけしか描かれていなかったら、おそらくここまでの迫力は表現できなかったでしょうね。

押送船が描かれる事で、より波に迫力という味付けをしている。

私が思うに「神奈川沖浪裏」にとって押送船の存在は大きいと思っています。

 

 

 

「神奈川沖浪裏」を私目線で分析・解釈してみました。

私の考え

では、締めに私なりの分析と解釈をしてみようと思います。

先ほどの話で、大波の高さは約10メートルくらいと話しました。

実は以前にもあったのですが、”大波は津波ではないか!?”との説もあったそうです。

でも津波にしては波の質が違う。基本的に津波は波長が長いのが特徴です。例えるなら、大きな壁が塊となって押し寄せてくるイメージでしょうか。

でも「神奈川沖浪裏」の大波は、波の高さはあれど波長が短いのです。

 

そして一つ大きな疑問があって、ここまで大きな波が発生する日に、あえて船を出すだろうか!?と。

前提として大波が発生する日は、安全面も考慮して船は出航しないでしょう。今だったら間違いなくしないと思います。それにここまで大きな波だったら、おそらく船も耐えられないだろうし。

冷静に考えれば考えるほど、ちょっと違和感を感じるのは私だけでしょうか。

 

「神奈川沖浪裏(『富嶽三十六景』より)※detail」(江戸時代19世紀、1831年頃)葛飾北斎

「神奈川沖浪裏(『富嶽三十六景』より)※detail」(江戸時代19世紀、1831年頃)葛飾北斎

 

これは私独自の解釈ですが、北斎は波の迫力を増すために、波を大げさに描いていると思うのです。
実際はもうちょっと小ぶりだったかもしれないのに…。

 

仮に波を大げさに描いていたとしても、結果として「神奈川沖浪裏」は世界的にも注目を集める傑作になったわけですから。

画家として考えたら、葛飾北斎はやっぱり凄い画家なのが分かりますよね。^^

 

とにかく、傑作と言われる「神奈川沖浪裏」がより身近になったのは事実です。

普段よく使う千円札のデザインになったから。

これによって、お金を支払う度に美術鑑賞できるわけですから!^^

 

 

※ここで扱っているイラストや作品画像はpublic domainなど掲載可能な素材を使用しています。

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