- 2022-10-2
- Museum (美術館について)
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静嘉堂文庫美術館が東京丸の内に移転し、2022年10月1日から開館記念展が始まりました。
すでに行った人もいると思います。美術好きの私も、先日移転先丸の内へ行ってきました。実は今回の移転に関しては、前々から気になる点があったのです。
今回は移転した静嘉堂文庫美術館に行ってきた感想と、私が疑問に思っていた点について話していこうと思います。
なぜ静嘉堂文庫美術館の展示ギャラリーのみ丸の内なの?
さて、公式HPを見てみると、真っ先に登場するのが”静嘉堂文庫美術館の展示ギャラリーは、2022年10月に東京丸の内の明治生命館1階に移転”の文章!!この文章を見て、あなたも疑問に思いませんか?
妙に強調されている感がある”展示ギャラリー”というワードに、私が前々から気になっていたのです。なぜ展示ギャラリーが丸の内なのだろう?…と。今回移転したのが展示スペースのみで、美術品の保管は引き続き世田谷区の岡本で行われるのです。
このご時世、なぜ展示と保管場所を分けるのだろうか?しかも東京丸の内と言えば、かなり地代も高いと思います。それに展示するための美術品の運搬もそれなりのコストがかかるだろうし…。この丸の内移転には何か?がある!と思っていたわけです。
という風に、推理小説風に書いてはみましたが、実は答えは簡単!静嘉堂文庫美術館の公式HPに書いてあるわけです。
まずいきなり答えを言う前に、静嘉堂について話をするのがイイと思います。元々静嘉堂文庫美術館は三菱の2代目社長岩﨑彌之助(やのすけ)と4代目社長岩﨑小彌太(こやた)のコレクションが基本となり創設された美術館です。現在では東洋の古美術を中心に約6,500件を所蔵し、そのうち国宝は7件、重要文化財は84件と、質量ともに充実しています。
さて、”静嘉堂”という堂号は、1892年に岩﨑彌之助邸宅内に創設した静嘉堂文庫が起源になっています。意味は、中国の古典『詩経』の大雅、既酔編に登場する句”籩豆静嘉(へんとうせいか)”から採ったと言います。先祖の霊前への供物が美しく整うという意味があるそうです。岩﨑彌之助は蔵書家で、学問を好んだ人物。中国の古典にも精通していた様です。
ここまで見る限り、静嘉堂文庫美術館は岩﨑彌之助の想いが強く込められている感じがしますね。
さて、肝心の丸の内移転の理由ですが、公式HP「館長メッセージ」に詳しく書いています。岩﨑彌之助は静嘉堂の設立当時から、近代的なビジネス街にミュージアムを作りたい!という思いがあったそうなのです。つまり今回の丸の内移転は岩﨑彌之助の願いが込められているわけです。
1892年に創設した静嘉堂文庫。2022年は創設130周年に当たる年です。そして近くには三菱一号館美術館があるのもポイント!実はこの静嘉堂文庫、静嘉堂文庫美術館は三菱の関連団体。しかも2022年は三菱創業150周年に当たる記念年!
三菱の2代目社長で、静嘉堂文庫の創設者でもある岩﨑彌之助の願いを、記念年に当たる2022年に叶えようとしたんでしょうね。
重要文化財にある静嘉堂文庫美術館に行ってきました!
静嘉堂文庫美術館があるのが、東京丸の内にある明治生命館です。実はここは重要文化財に指定されている建物でもあります。1997年(平成9年)に”明治生命保険相互会社本社本館”として重要文化財に指定されました。
古典主義様式の最高傑作で、昭和の出来事と共に歩んできた建造物”明治生命館”。まさに建物自体が美術品みたいなものでしょうね。建物の外観自体は、三菱一号館美術館に行く度に見ていたので知ってはいた事ですが…。
そういえば実際に内部まで見る機会ってあっただろうか?
最初来た時に感じたのは、まさかこんな場所に美術館があるとは!!オフィス街で囲まれた東京丸の内という場所にあるので、時代をタイムスリップしたかの様な感覚を覚えてしまうのです。
美術館自体は小さいとはいえ、素敵な場所を選んだな~という感想ですね。近くに三菱一号館美術館もあるので、静嘉堂文庫美術館とセットで観に行くという流れが一番ベストかな?と思います。
現在「静嘉堂創設130周年記念展」が開催しています。東京丸の内に行った際は、ぜひ行ってみてはどうでしょうか?
【 静嘉堂創設130周年・新美術館開館記念展 I 】 ・会期:2022年10月1日~12月18日まで ・時間:10:00~17:00(金曜は18:00まで)※入館は閉館の30分前まで ・場所:東京都千代田区丸の内2-1-1 明治生命館1F |
最初行った時は、入り口が分からずちょっと迷ってしまいました。入り口は丸の内MY PLAZAの1階にあるので、ご注意を!
※ここで扱っているイラストや作品画像はpublic domainなど掲載可能な素材を使用しています。
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