- 2026-5-24
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18世紀を代表する画家と言えば、”ジョヴァンニ・バッティスタ・ティエポロ”が挙げられます。
フレスコ画の名手にしてヴェネツィア派最後の巨匠!と謳われ、彼の名声はイタリアのみならず、ドイツやスペインにまで及んだとか…。
当時、これほど名声を轟かせた画家は他にいただろうか!?
今回は偉大なる画家”ジョヴァンニ・バッティスタ・ティエポロ”について、代表作を交えながら解説をしていこうと思います。
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【 目次 】 ・”ジョヴァンニ・バッティスタ・ティエポロ”について解説! |
”ジョヴァンニ・バッティスタ・ティエポロ”について解説!

18世紀を代表するイタリアの画家”ジョヴァンニ・バッティスタ・ティエポロ”。
フレスコ画の名手にしてヴェネツィア派最後の巨匠!と謳われ、彼の名はドイツやスペイン、ヨーロッパ各国まで及んだとか…。
当時、これほど名声を轟かせた画家は他にいただろうか!?
18世紀最大の巨匠と評されたのも納得ですね。
そんな”ティエポロ”について、まずは生い立ちから解説していこうと思います。
1、偉大なる画家ティエポロの生い立ち

「ジョヴァンニ・バッティスタ・ティエポロの肖像」(1751-53年)
・ヴュルツブルクの司教館のフレスコ画(detail) (※Public Domain画像使用)
1696年、ヴェネツィアで生れる。その後、歴史画の大家と言われた”グレゴリオ・ラッザリーニ”に弟子入りし、またセバスティアーノ・リッチやジョヴァンニ・バッティスタ・ピアッツェッタからも影響を受ける。
1717年に画家として独立し、1719年に結婚。次第に画風も明るさと装飾性が強くなる。
1720年代にパラッツオ・サンディ(ヴェネツィア)やウーディネの大司教館で大規模な作品制作を手掛け、一躍名声を広めることとなる。

「ペガサスに乗ったベレロフォン」(1743-50年)ジョヴァンニ・バッティスタ・ティエポロ
・直径600cm、フレスコ画、パラッツォ・ラービア(ヴェネツィア) (※Public Domain画像使用)
その後もヴェネツィアで作品を制作し続け、1751年にはドイツのヴュルツブルクの招きで司教宮殿の天井画を制作。
1753年にヴェネツィアに帰国してからも各地から依頼が殺到、1762年には息子たちと共にスペインのマドリードに渡り、マドリード王宮の天井画制作に関わる。
1770年、マドリードにて亡くなる。
死去後、子のジョヴァンニ・ドメニコ・ティエポロ(Giovanni Domenico Tiepolo)とジョヴァンニ・ロレンツォ・ティエポロ(Giovanni Lorenzo Tiepolo)も画家として活躍します。
しかし父親が偉大過ぎたのでしょうか!?
父を超えるほどまでにはいかなかった様です。
2、ティエポロの代表作と作風

「スペイン王家の称揚」(1762-66年)ジョヴァンニ・バッティスタ・ティエポロ
・1,500×900cm、フレスコ画、マドリード王宮 (※Public Domain画像使用)
これは”ジョヴァンニ・バッティスタ・ティエポロ”の代表作「スペイン王家の称揚」。
軽快な筆致と優美とも言える色彩観、そして躍動感溢れる人物描写!
特に圧巻なのが、下から見上げた際に浮かび上がる様に描いた卓越した技法。(”仰視法”とも言われています。)
ダイナミックな構図とイリュージョン的な空間演出は、”ジョヴァンニ・バッティスタ・ティエポロ”の最大の魅力であり特徴でしょう。
イタリアやドイツ、スペインとヨーロッパ全土にまで名を轟かせ、特にフレスコ画において敵なし状態だった。
まさに18世紀最大の巨匠!と言っても間違いないと思います。
ティエポロ(ジョヴァンニ・バッティスタ)
Giovanni Battista Tiepolo[伊]1696ー1770年
18世紀最大のヴェネツィア派の画家。G・ラッザリーニの弟子となり、またヴェロネーゼ、ピアツェッタ・リッチの影響を受ける。建築枠組みを専門とするメンゴッツィ・コロンナと共同で制作し、正確な遠近法(仰視法)空間のなかに配された演劇性豊かな華麗な人物群像を、名人芸的な軽快な筆致と明快優美な色彩によって壮麗に描き出し、大装飾壁画の大家としてゆるぎない地位を確立した。~以下省略~
・出典元:『西洋絵画作品名辞典』より
ジョヴァンニ・バッティスタ・ティエポロの作品

「ヴィーナスによって天上に導かれるヴェットール・ピサーニ提督」(1743年頃)ジョヴァンニ・バッティスタ・ティエポロ
・41.0×72.0cm、カンヴァスに油彩、国立西洋美術館所蔵 (※Public Domain画像使用)
”ジョヴァンニ・バッティスタ・ティエポロ”の作品で、まず挙げるべきは「ヴィーナスによって天上に導かれるヴェットール・ピサーニ提督」でしょう。
というのも、ティエポロの特徴とも言える軽快な筆致と色彩観、そしてフレスコ画の特質が凝縮されている一枚だから。天井フレスコ画のための油彩習作として描かれた作品だからです。
そんな貴重な作品が、上野の国立西洋美術館に所蔵されているのが実に嬉しいですね。
ちなみにこの作品には、ヴェネツィアの有力貴族ピサーニ家の栄光を称える様子が描かれています。
中央より少し左側に描かれた男性、つまり冠をかぶり赤いケープを身に付けた人物が”ヴェットール・ピサーニ提督”に当たります。すぐ右にはヴィーナスと、三又の槍を持った海神”ネプチューン”まで描かれ、ピサーニ提督が神格化の場面が描かれているわけです。

「イサクの犠牲」(1726-28年頃)ジョヴァンニ・バッティスタ・ティエポロ
・約400×500cm、フレスコ画、ウーディネの大司教館 (※Public Domain画像使用)
イサクの犠牲は『旧約聖書』の「創世記」に記述されている物語。
信仰を試す試練として、アブラハムは大切な息子イサクを小刀で殺そうとしますが…、その瞬間”神の使い”が止めに入ってきた。
ここには、まさにその場面が描かれているわけです。

「ソロモンの審判」(1726-28年頃)ジョヴァンニ・バッティスタ・ティエポロ
・約350×650cm、フレスコ画、ウーディネの大司教館 (※Public Domain画像使用)
このウーディネ大司教館の大規模壁画をきっかけに、ティエポロは一躍画家としての名声を世に広めます。
ティエポロの初期の傑作!と言われています。

「ロザリオの制定」(1737-39年)ジョヴァンニ・バッティスタ・ティエポロ
・1,400×450cm、フレスコ画、サンタ・マリア・デイ・ジェズアーティ聖堂 (※Public Domain画像使用)
これはヴェネツィアのサンタ・マリア・デイ・ジェズアーティ聖堂にある「ロザリオの制定」。
ドミニコ修道会の依頼で制作した、14メートルにもおよぶ巨大な天井画になります。
枠からはみ出して描かれた人物描写と、階段と円柱の柱を描く事で奥行きと遠近感が表現されている。フレスコ画の名手と言われたティエポロの渾身の作品です。

「聖ドミニクの栄光」(1737-39年頃)ジョヴァンニ・バッティスタ・ティエポロ
・約350×450cm、フレスコ画、サンタ・マリア・デイ・ジェズアーティ聖堂 (※Public Domain画像使用)

「アルミーダと別れるリナルド」(1757年)ジョヴァンニ・バッティスタ・ティエポロ
・約220×310cm、フレスコ画、ヴィラ・ヴァルマラーナ(ヴィチェンツァ) (※Public Domain画像使用)

「ピサーニ家の栄光」(1761-62年)ジョヴァンニ・バッティスタ・ティエポロ
・2,350×1,350cm、フレスコ画、ヴィッラ・ピサーニ (※Public Domain画像使用)
ヴェネツィアの貴族アルページ・ピサーニの別荘”ヴィッラ・ピサーニ(Villa Pisani)”の天井画。
当時イタリアで最も人気だったティエポロに、20メートルを超える巨大な天井フレスコ画を依頼したわけですから…。
その頃、ピサーニ家がどれほど権力や財力を誇っていたか!!
画像からでも躍動感とドラマチックさが感じられるので、実際の天井画はもっと迫力があるんでしょう!!
”死ぬまでに観たい!”
…そう思わせてくれる名画です。
さて、ここからティエポロの油絵も見ていこうと思います。

「聖母の教育」(1732年)ジョヴァンニ・バッティスタ・ティエポロ
・362×200cm、カンヴァスに油彩、ファーヴァ聖堂(ヴェネツィア)

「聖三位一体を崇める教皇クレメンス」(1737-38年)ジョヴァンニ・バッティスタ・ティエポロ
・488×256cm、カンヴァスに油彩、アルテ・ピナコテーク(ミュンヘン)
ちなみに「聖三位一体」とは、”父なる神と”神の子イエス・キリスト”、そして”聖霊”の3つが本質的に一つの神とする教え。
イエス・キリストの在り方を説明する上で重要な概念で、絵画でも頻繁に描かれる主題の一つです。

「六人の聖人と聖母」(1737-40年頃)ジョヴァンニ・バッティスタ・ティエポロ
・72.8×56.0cm、カンヴァスに油彩、ブダペスト国立西洋美術館所蔵

「真の十字架の発見(十字架の称賛と聖ヘレナ)」(1745年頃)ジョヴァンニ・バッティスタ・ティエポロ
・直径490cm、カンヴァスに油彩、アカデミア美術館所蔵 (※Public Domain画像使用)

「ヴィーナスと時間の寓意」(1754-58年頃)ジョヴァンニ・バッティスタ・ティエポロ
・292×190cm、カンヴァスに油彩、ロンドン・ナショナル・ギャラリー所蔵 ※Public Domain画像使用
現在ロンドン・ナショナル・ギャラリーに所蔵されている「ヴィーナスと時間の寓意」で、コンタリーニ家の宮殿の天井装飾のために依頼され、1754~58年頃に制作した作品。
背中に大きな翼を持った年老いた人物が”時の翁”と言われる”サトゥルヌス(クロノス)”
ちなみに解説者によると、”時の翁”はヴェネツィアの没落を暗示しているとの事。

「マンダリンを持つ女」(1758-60年頃)ジョヴァンニ・バッティスタ・ティエポロ
・92.1×74.9cm、カンヴァスに油彩、デトロイト美術館所蔵
主に歴史画や宗教画を描いていたティエポロとしては珍しい”人物”を描いた作品。
女性を描く際にも、ティエポロの特徴とも言える軽やかな筆触が存分に活かされているのが分かります。

「無原罪の御宿り」(1767-68年頃)ジョヴァンニ・バッティスタ・ティエポロ
・281.0×155.0cm、カンヴァスに油彩、プラド美術館所蔵
これはティエポロが70歳頃に描いた「無原罪の御宿り」。
スペイン国王カルロス3世によって、アランフェスのサン・パスクアル・バイロン教会のために依頼され制作した作品。
”無原罪の御宿り”は宗教画でも頻繁に描かれる主題で、聖母マリアの純潔さと神性さを表わすとして、カトリック教会では特に重要視されています。

没後、新古典主義の台頭もあり、ジョヴァンニ・バッティスタ・ティエポロの評価は急速に落ちてしまいます。
でも、残した作品の数々は素晴らしいものばかり!!
躍動的で装飾性溢れる作品は、現在の私たちが観ても圧倒されるでしょう!
ティエポロの作品が一堂に展示される機会があったら、ぜひ見逃さずに観たいものです。
※ここで扱っているイラストや作品画像はpublic domainなど掲載可能な素材を使用しています。
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