まるで宝石絵画! ”アダム・エルスハイマー”ってどんな画家!?

アダム・エルスハイマーってどんな画家!?

 

まるで宝石の様な絵画!!

アダム・エルスハイマー(Adam Elsheimer)”の作風を一言で表現するなら、間違いなくこの言葉がピッタシだろうと思います。

 

日本ではあまり知られていませんが、ルーベンスやレンブラントに影響を与え、画家達からも一目置かれる存在だった画家”アダム・エルスハイマー”。小さな銅板に、これでもかというほど精密に描かれた作品は、まさに”宝石絵画”と言っても過言ではないと思います。

一度見たら、おそらく宝石の様に魅了される事必至!美術館では”ルーペ”は欠かせない画家”エルスハイマー”について、特徴や生い立ちを見ていこうと思います。

 

 

アダム・エルスハイマーの作品の特徴

「聖ステパノの石打ち」(1603‐1604年頃)アダム・エルスハイマー

「聖ステパノの石打ち」(1603‐1604年頃)アダム・エルスハイマー

・34.7×28.6cm、メッキした銅板に油彩、スコットランド国立美術館所蔵

これは「聖ステパノの石打ち(The Stoning of Saint Stephen)」という作品で、現在「スコットランド国立美術館 THE GREATS 美の巨匠たち」で見る事が出来ます。
※東京開催は~7月3日(日)まで、神戸開催は2022年7月16日(土)~9月25日(日)まで、神戸市立博物館にて開催。

ステパノ(ステファノ)はキリスト教における最初の殉教者で、石打ちの刑によって命を落とした人物です。赤と金の綺麗に装飾された衣を着た人物が”ステパノ”で、その後ろには石を持った人物が描かれています。これから石打ちの刑が執行される直前を描いた場面だと分かりますね。

これは銅板の上に鮮やかな色彩で描かれている作品で、34×28cmと小さいながら細部まで緻密に描かれているのが特徴。上の作品でも分かる通り、聖ステパノの衣の装飾は実に圧巻!!鮮やかで、しかも細密に描かれています。そしてメッキされた銅板に描かれているからか、独特な光沢感があって”宝石”の様な美しさも特徴的です。

 

「聖家族と洗礼者ヨハネ」(1599年頃)アダム・エルスハイマー

「聖家族と洗礼者ヨハネ」(1599年頃)アダム・エルスハイマー

・37.8×24.4cm、銅板に油彩

実はこのエルスハイマーという画家は、短命で遅筆だったこともあって、残っている作品は約40点と非常に少ないのです。数的にも宝石の様な希少価値なわけです。

32歳という若さでこの世を去った画家エルスハイマー。画家としての人生で言えば約10年くらいでしょうか。しかも完璧主義で、妥協を許さない性格だったそうです。作品数が40ほどと言われるのも仕方がないとは思いますが…。もし、もうちょっと長生きしていれば、もっと作品が残せていたかもしれませんね。

完璧主義のエルスハイマーらしく、作品は小さいながら超が付くほど細密で細部までしっかりと描き込まれているのが特徴!先ほどルーペは必須!といったのは、こういった理由があるからなのです。

 

 

アダム・エルスハイマーってどんな画家!?

ZOOM

アダム・エルスハイマー(Adam Elsheimer)はドイツ出身の画家。同時代の画家で言えばルーベンスやカラヴァッジオがいます。ちょうどバロック期の時代に活躍した画家です。

 

「自画像」(1606‐1607年)アダム・エルスハイマー

「自画像」(1606‐1607年)アダム・エルスハイマー

1578年3月18日、ドイツのフランクフルトで仕立て屋の家に生まれたエルスハイマー。はじめフィリップ・ウッフェンバッハに弟子入りし、画家としての道を歩み始めました。

 

エルスハイマー・アダム(Adam Elsheimer)1578ー1610

ドイツの画家。フランクフルト出身で、ローマで没。はじめウッフェンバハ(Philipp Uffenbach、1566ー1636)に師事したが、そのころフランクフルトに来ていたネーデルランドの画家コニンクスローおよびファルケンボルヒの影響を強く受け、のちヴェネツィア(1598ー1600)、ローマ(1600ー1610)で創作活動を送り、ティントレット、カラヴァッジオの影響を受ける。自然描写を得意とし、牧歌的な風景画の創始者の一人としてリュベンスにも感化を与えた。夜景画にすぐれ、作品には銅板油彩の技法による小品が多い。代表作は「大洪水」(フランクフルト、シュテーデル美術館)、「エジプトへの逃避」(ミュンヘン、アルテ・ピナコテーク)

※「新潮世界美術辞典」より

 

修行の後、エルスハイマーはイタリアへと旅立ちます。ヴェネティア、そしてローマへ。
エルスハイマーは亡くなるまでの約10年をこのローマで過ごします。

 

「創世記の大洪水」(1599‐1600年頃)アダム・エルスハイマー

「創世記の大洪水」(1599‐1600年頃)アダム・エルスハイマー

・26.5×34.8cm、銅版に油彩、シュテーデル美術館所蔵(フランクフルト)

これはエルスハイマーの代表作の一つ「創世記の大洪水

旧約聖書の『創世記』に登場する大洪水の様子を描いた作品。ノアの方舟(はこぶね)でも有名な話です。

 

「十字架高揚」(1603‐1605年頃)アダム・エルスハイマー

「十字架高揚」(1603‐1605年頃)アダム・エルスハイマー

・48.8×36.2cm、銅板に油彩、シュテーデル美術館所蔵

小さな銅板に一体どれほどの人間が描かれているのだろう!?

エルスハイマーが描く群衆画には1つの特徴があります。手前の人はしっかりとスポットライトが当たり、細部までしっかりと細密的に描かれている。でもそれ以外の人は、まるで背景の一部であるかのように描かれています。ごちゃごちゃと人が描かれていても、しっかりと遠近感やバランスが保たれているわけです。

 

「トロイの炎上」(1604年頃)アダム・エルスハイマー

「トロイの炎上」(1604年頃)アダム・エルスハイマー

・36×50cm、銅版に油彩、アルテ・ピナコテーク所蔵(ミュンヘン)

そして明暗の描き方も大きな特徴の1つ。この絵を見るとレンブラントにも大きな影響を与えたのも何となく分かる気がします。

 

「アポロンとコローニス」(1606‐1608年頃)アダム・エルスハイマー

「アポロンとコローニス」(1606‐1608年頃)アダム・エルスハイマー

・12.6×17.4cm、銅板に油彩、The Walker Art Gallery所蔵(イングランド)

実がエルスハイマーが早くして亡くなった一つに、経済的な理由があったといいます。生前中エルスハイマーは画家として大成しませんでした。それでも当時名のある画家たちからは高く評価されていたそうです。レンブラントやクロード・ロラン、オランダの画家ブラーメルなど多くの画家に影響を与えました。

ちなみににルーベンスとは友人関係だったのは有名な話で、ルーベンスはエルスハイマーに対してこんな言葉を残しています。”偉大なる画家の死によって、絵画そのものが喪に服さなければならない”と。友人関係だったのもあるでしょうけど、少なくともルーベンスからは高い評価を得ていたのは確かでした。

 

「エジプトへの逃避」(1609年)アダム・エルスハイマー

「エジプトへの逃避」(1609年)アダム・エルスハイマー

・31×41cm、銅版に油彩、アルテ・ピナコテーク所蔵(ミュンヘン)

これはエルスハイマーの一番の代表作と言われる「エジプトへの逃避(The Flight into Egypt)」。

イエス・キリスト降誕後、ヨセフは当時の支配者ヘロデ大王の幼児虐殺の脅威を避けるため、マリアと共にエジプトに逃れている場面を描いています。

31×41cmという小さな作品でありながら、1200を超える星が描かれていると言われています。肉眼では認識する事が難しいくらい小さい星が1つ1つ描かれている!完璧主義な性格のエルスハイマーを象徴する作品だと思います。細密な描写で、しかも遅筆なわけですから、この1枚を描くのに一体どれほどの時間がかかったのか…。

現在エルスハイマーの作品の多くは海外の美術館が所蔵しています。日本で目にする機会はあまりないと思います。現在「スコットランド国立美術館 THE GREATS 美の巨匠たち」で観る事ができるので、この機会にじっくりと見るのもイイと思います。ぜひその際は、ルーペを持っている事をお忘れなく!

 

※ここで扱っているイラストや作品画像はpublic domainなど掲載可能な素材を使用しています。

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