- 2020-8-23
- Artwork (芸術作品)
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元々ルーベンス(ペーテル・パウル・ルーベンス)という画家は知ってはいたけれど、改めて”凄い画家なんだな~”と思う瞬間がありました。もう何年前の話だったか忘れましたが、国立西洋美術館で名画「眠る二人の子ども」を観た時の事です。
さすがにその時は鳥肌が立ちましたね。
西洋画に詳しくない人でも、知っているくらい有名な画家ですから、今さらそんな事を言われなくても分かっているよ!と思うでしょう。でも私が思う凄い!は、ちょっと次元が違うわけです。この感動はぜひ皆にも感じてほしい!というわけで、今回この話をしようと思ったわけです。
国立西洋美術館に行ったら、絶対見てほしい名画!
触るとプニュッとした柔らかさが伝わってきそうな頬の描写。それに寝ている子供の表情や、髪の毛の描き方も本当に凄い!まるで生きているかの様です。ルーベンスの描く人物は、どれも肉感的でふくよかさが特徴ですが、この2人の子供もまさにそんな感じ!そういえば初めて「眠る二人の子ども」を観た時は、時間を忘れて魅入ってしまいましたね。それだけ良かったのです。
国立西洋美術館には、現在6,000点を超える作品が所蔵されていると言います。その中でも1位or2位に挙げてもいいくらい、本当に素晴らしい作品だと思っています。つまり私にとっては”名画”と言っても過言ではない作品なのです。
もちろん所蔵作品ですから、「常設展」でも観る事ができます。結構頻繁に展示されている印象だけに、見た事のない人はぜひ見てほしいですね。現在国立西洋美術館には、ルーベンスの作品は2点しかない様で、こういった理由も頻繁に展示される理由なのかもしれませんね。
とにかく「眠る二人の子ども」は本当に凄い作品です。騙されたと思って、見てほしいですね!^^
描かれている2人の子どもは、ルーベンスの子!?
さて、「眠る二人の子ども」を観た多くの人は、こう思うでしょう!
ここまで可愛く描いているくらいだから、ルーベンスの子供なんだよね!?と。
私も最初は、そう思っていました。物凄く可愛らしく描いているし、何よりも作品から愛情の様な感情も読み取れる。普通に考えたら、ルーベンスの子供と思うのも当然だと思います。
でも、実は違っていたのです!
描かれている2人の子供は、ルーベンスの兄フィリップの子供だったのです。
右側の子は1610年に生まれた”クララ”。そして左側は1611年に生まれた子で、父と同名の”フィリップ”。
ちなみによく知られている話ですが、ルーベンスと兄のフィリップは非常に仲が良かったそうです。でも悲しいかな…、「眠る二人の子ども」が描かれた時には、すでに兄のフィリップはこの世に居なかった。兄フィリップが亡くなったのが1611年。作品が描かれたのは1612年~13年頃なので、亡くなった翌年に描かれた事になります。
仲の良かった兄が亡くなり、残された2人の子供をルーベンスは実の子供の様に可愛がっていた。絵から子供への愛情が感じられるのは、このためだったのかもしれませんね。
「眠る二人の子ども」は”習作(シュウサク)”だった!
さて、「眠る二人の子ども」を語る上で、忘れたはいけないポイントがあります。実は顧客からの依頼で描いたものではなく、”練習”のために描いた”習作”だった!のです。
※”習作”…絵画・彫刻などで練習のために作品をつくること。
ここまで凄い作品なのに、”練習”だったのには驚きです。
では、何を描くための練習だったのか??
ペーテル・パウル・ルーベンス「花環の聖母子」(1620年)
これは「花環の聖母子」で、現在ドイツの国立美術館”アルテ・ピナコテーク”に所蔵されている作品です。
どうですか?周りに描かれている天使が、「眠る二人の子ども」に似ていると思いませんか?
つまり「花環の聖母子」の天使を描くための練習に、兄フィリップの子を描いた!というわけです。このエピソードからも、ルーベンスは2人の子を我が子の様に可愛がっていたのが分かりますよね。でないと、天使のモデルとして描く事なんてしないと思うからです。
ルーベンスは誰もが知っている凄い画家ですが、一つの名画から本当の意味で”凄い画家!”だと思う瞬間がある。「眠る二人の子ども」は、まさにそう思わせてくれる名画だと思っています。
ぜひ国立西洋美術館に行った際は、時を忘れて「眠る二人の子ども」に魅入ってほしいと思います。
※ここで扱っているイラストや作品画像はpublic domainなど掲載可能な素材を使用しています。
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