- 2019-12-9
- Impression (絵画展の感想)
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「ブダペスト展 ‐ ヨーロッパとハンガリーの美術400年 –」
”ブダペスト国立西洋美術館”と
”ハンガリー国立美術館(ナショナル・ギャラリー)”
このブダペストを代表する2つの美術館から構成された絵画展です。
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実は前々から気になっていた絵画展だったので、
先日六本木の”国立新美術館”に行き観てきました!
ちょうどこの日は
年末の慌ただしい雰囲気がする12月の事。
景色を味わいながら
ちょっと落ちついた気持ちで鑑賞できたのです。
【ブダペスト展】 ・期間:2019年12月4日(水)~2020年3月16日(月) ・場所:国立新美術館(東京都港区六本木7-22-2) ・作品の多くはブダペスト国立西洋美術館と |
この企画展は東京のみでの開催になります。
行けない人もいるかと思います。
参考にしてくれると幸いですね!
それでは主要な作品を挙げながら、
その様子や感想を話していきたいと思います。
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まず見て欲しいのが、
この対照的な絵画から…
ルカス・クラーナハ作「老人と若い女」(1522年)
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同じくクラーナハの「老女と若い男」(1520‐22年)
この2つとも最初に展示している作品だったのですが、
いきなり目を惹く作品を観てしまった感じでした!
共に”不釣り合いなカップル”を描いていて、
お金で繋がっている関係が読み取れるのです。
まさに利害が絡んでいるのがオモシロイ!
いつの時代もこういった関係はあるんだな~と。
クラーナハの描く作品は、
”独特なエロティシズム”が持ち味だと思っています。
男女の関係を金と性という独特な視点から描いている点で、
この2つの作品もクラーナハらしいと思いますね。
ちなみにこのクラーナハ(ルカス・クラーナハ)は、
ルネサンス期に活躍したドイツ人画家。(1472年誕生~1553年没)
ちょうどルネサンスの3大巨匠と言われた
ミケランジェロ・ブオナローティとほぼ同時代を生きた画家です。
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そしてこれはジョルジョ・ヴァザーリの作品です。
この名を聞いて”アッ!!”と思った方もいませんか??
この絵を描いたジョルジョ・ヴァザーリは
芸術家でありながら、美術史家としても活躍した人です。
芸術家としてはマニエリスムの作品を多く描いていますが、
美術史家としては『画家・彫刻家・建築家列伝』などを書いています。
ルネサンス期の画家や芸術家の伝記も書いていて、
今私たちがルネサンスを知る上では特に重要な人物の1人なのです。
改めて思いますが
ヴァザーリは多彩な人だな~って思いますね。
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そしてこれはエル・グレコの「聖小ヤコブ(男性の頭部の習作)」。
実は当初この絵は
エル・グレコの自画像では?と言われていたそうです。
エル・グレコは様々な宗教画を描いていますが、
その中で顔だけを描いた肖像画も珍しいと思います。
※参考に…
⇒”一度観たら忘れない! ”エル・グレコ”の表現力”
さてここまでいくつか作品を観てきて、
ハンガリーの画家の作品は??と思いませんでしたか?
もちろん後半になると
ハンガリー出身の画家も登場してきます。
例えば…
この「リッピヒ・イロナの肖像」を描いた”ロツ・カーロイ”
ロツ・カーロイはドイツ生まれのハンガリー人画家で、
主に女性の肖像画を多く描いた事でも有名です。
さてこのロツ・カーロイは
実はこんな言葉を残しているのです。
…”芸術には美以外は法則も計画もない”
つまり”芸術は美しいものでなければならない”
(芸術=美)という意味になるんでしょうけど、
その考えがこの作品にも表れていると思いませんか??
女性を美しく描くことに対する
並々ならぬこだわりを感じませんか??
(正直言ってこの絵を見た瞬間、綺麗な女性だな~って思ったほどでした。)
ここまで綺麗に描く事にこだわりがあると、
モデルとなった女性にしても嬉しいでしょうね。
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そしてこのムンカーチ・ミハーイもその一人です。
実はこの画家についてはよく知らなかったのですが、
今回作品を観て超心惹かれてしまったのです。
何よりイイのはこの絵の雰囲気と筆使い!
大胆なようで繊細で、
色遣いがとても素敵だと思いませんか!?
印象派にも見えなくはないのですが、
独特な色遣いと雰囲気はとても魅力ある作品ですね。
このムンカーチ・ミハーイは若くして成功してる画家で、
当時パトロンでもあったド・マルシェ男爵の未亡人セシルと結婚し、
それからはかなり恵まれた生活を送るようになったと言います。
でもそこからさらに飛躍しムンカーチは名声を得ていったそうです。
実はムンカーチの作品が切手になった事もあったそうで、
それだけハンガリーにとっては重要な画家なんだろうと思います。
ちなみに
今回展示していたムンカーチの作品の中で、
私的に気に入った作品をいつくか挙げたいと思います。
・「本を読む女性」(1880年)ムンカーチ・ミハーイ
・「テーブルに寄りかかる二人の若者」(1874年)ムンカーチ・ミハーイ
・「ほこりっぽい道Ⅱ」(1874年)ムンカーチ・ミハーイ
この中で特におススメは「ほこりっぽい道Ⅱ」
これはぜひ観てほしい一品ですね!
その場の雰囲気や空気感が伝わってきて、
まさにリアリティを感じてしまうほど!!
コレは一見の価値ありの作品だと思います。
そして
もう1点観てほしいのが…
このルフェーブルの「オンディーヌ」という作品です。
※”オンディーヌ”は水のニンフ(精霊)の事で、
物語では人間の男と結婚する事で、
人としての心を得られるという話だそうです。
これは純粋に美しくて綺麗!と思った作品です。
女性の透き通る様な美しさは絵画とは思えないほど!!
それにこの絵のポイントは、
いやらしさがなく”純粋な美しさ”に尽きる点でしょうね!
実際にこの絵は”宝石”と評価された事もあったようです。
まさに一目ぼれしてしまいそうな絵ですね~(^^)
特にちょっと上目づかいの目が魅力的で、
この強気な感じが何とも言えませんね!!
そういえば後々知った事ですが、
この絵画「オンディーヌ」は等身大で描かれているそうです。
そして最後の方になると抽象的な作品も展示しています。
最後に観れたこの絵画も妙に印象深いもので、
・「ガーデンチェアに座る女性」(1930年)ヴァサリ・ヤーノシュ
コレもぜひ観て欲しい作品です!
まとめとして…
さて国立新美術館で開催の今回の「ブダペスト展」ですが
後半になってくるにしたがって特に良かった印象でした。
惹かれる作品も多くあり、
思った以上に充実していたと思います。
特にムンカーチ・ミハーイの作品は印象的で、
出来るならポストカードや大きなポスターがあったら、
欲しかったのにな~と思ったものでした。
この「ブダペスト展」は2020年3月16日まで開催します。
ぜひ興味のある方は行ってみては!?
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