- 2019-6-9
- Artwork (芸術作品), Word (用語)
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ー THE MATSUKATA COLLECTION …1 ー
さて”松方コレクション”とは言うけれど、
”実際にどんな作品があるの??”って気になりませんか??
実は上で挙げたこの画像の彫刻…
これはオーギュスト・ロダンの「地獄の門」という彫刻。
実はこれも”松方コレクション”なんですよね。
西洋美術館の前庭に立っている大きな彫刻なので、
館内に入る前に眺めてみるのもイイと思います。
さて今回は”松方コレクション”の中でも
特に有名どころの作品を挙げてみたいと思います。
これから挙げる作品は
2019年の「松方コレクション展」でも見れる作品で、
もちろん注目作品として取り上げられています。
それは…
・フィンセント・ファン・ゴッホの「アルルの寝室」(1889年)
・ルノワールの 「アルジェリア風のパリの女たち」(1872年)
この2作品はおそらく誰もが見たことはあると思います。
まずゴッホの作品から…
これはゴッホがフランスのアルルに住んでいた時の
黄色い家の2階にある部屋を描いた作品。
(ゴッホの「黄色い家」という絵も有名ですよね!)
なおこの絵は現在”オルセー美術館”が所蔵しています。
ここで”んんっ!?”と疑問に思いませんか??
”松方コレクション”なのに
なぜフランスのオルセー美術館にあるのか?と…。
実はこの「アルルの寝室」という作品は、
同じタイトルで計3バージョンあると言われています。
その3つのうちの1つが
松方コレクションとして加えられているのですが…。
実はこの絵にはこんな経緯があるのです。
・・・
というのもこの絵は戦後賠償の一環(第二次大戦)で
オルセー美術館に所蔵される事になったのです。
詳しい法律などについてはさすがに分からない部分はありますが、
こういったところに戦争の後遺症が残っているんですね。
ところでよく美術品の著作権などで
”戦時加算”というものを聞いた事はありませんか??
戦争中日本は連合国の著作権を保護していなかったという事で
戦争期間の日数を加算されているのです。
(フランスは3794日なので、約10年間加算されている事になります。)
戦争未経験の私が戦争について意見するつもりはないのですが、
戦争による影響はこういったところにも表れているんだな~と
ちょっと複雑な気持ちになりますね。
それともう1つが…
ピエール=オーギュスト・ルノワールの 「アルジェリア風のパリの女たち」。
名前の通りアルジェリア風の官能的な女性たちを描いたもの。
これは現在”国立西洋美術館”で所蔵されている作品です。
この絵はルノワールが1872年に描いたもの。
(ルノワールが30歳の頃です。)
この頃にルノワールの印象派が形成してきたと言われているので、
専門家からはよく”この絵にはルノワール独特な筆遣いが表れている”
…と言われる貴重な作品でもあるのです。
実はこの絵も戦争の影響でフランスに押収されたのですが、
その後の交渉で返還された作品だったのです。
実はこの絵はこれまで何度か見た事があるので、
そこまで新鮮味があるかと言えば嘘になりますが~
ただ絵画は見る時期やタイミングによって
絵の印象や雰囲気は変わってくるものなので、
次見る時はまた違った印象を持つかもしれないですしね…。
そういう意味では
また違った楽しみ方ができると思っています。
ここでちょっと余談になりますが…
※参考で今回載せています。
これはウジェーヌ・ドラクロワの作品です。
この絵はルーヴル美術館所蔵(松方コレクションではないのです)
ドラクロワの「アルジェの女たち」に影響されて
ルノワールが「アルジェリア風のパリの女たち」を描いたと言われています。
ルノワールとドラクロワを見比べてみても、
やっぱり描く人が変われば全く違った感じになりますね。
現在上の2つの作品は
共に”傑作”との呼び声もあるくらい作品です。
普通に見ても十分に愉しめると思いますが、
こういった絵画を巡る歴史をちょっとでも知っていると、
また違った絵の愉しみ方ができると思います。
実はこの記事を書いていながら、
”あ~、今すぐ観たい!!”って思ってしまいますね!
本当に不思議なもので同じ作品でも
なぜか何度見ても愉しめてしまうもの。
つくづく思うのですが、
絵画って知れば知るほど楽しくなって、
ますます好きになってくるものだな~って思います。
なんだか…
”絵画って恋愛と同じ!”だと思いませんか??
だから”絵画鑑賞”は深みにはまるんでしょうね!
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