スペインの画家”フアン・サンチェス・コターン”について解説!

スペインの画家”フアン・サンチェス・コターン”について解説!

 

スペインで静物画を確立させた画家と言ったらサンチェス・コターンの名は外せない!

 

宗教画や歴史画が高く評価されていたバロック期において、静物画を一つのジャンルとして確立させた功績は大きいと思っています。

今回は画家”サンチェス・コターン”について解説していこうと思います。

 

目次

フアン・サンチェス・コターンの代表作
画家”サンチェス・コターン”について簡単解説!

 

 

 

 

フアン・サンチェス・コターンの代表作

「マルメロ、キャベツ、メロンとキュウリのある静物」(1602年頃)フアン・サンチェス・コターン

「マルメロ、キャベツ、メロンとキュウリのある静物」(1600年頃)フアン・サンチェス・コターン

・69×85cm、カンヴァスに油彩、サンディエゴ美術館所蔵

代表作と言えば「マルメロ、キャベツ、メロンとキュウリのある静物」は外せない!

サンチェス・コターンはスペインを代表する画家の一人で、一般的に”静物画家”として知られています。

上の作品を観ても分かりますが、静寂に満ちた構図と、暗い背景から浮き出ているかの様な静物のリアルさ!

明暗技法もさることながら、写実性の高さはピカ一と言ってもイイでしょう。

スペインで静物画を確立させた画家と称されるのも納得ですね。

とはいえ、制作した静物画はそこまで多くはなかったと言います。

正確な数は分かりませんが、10点にも満たなかったそうです。

それでいて”静物画の画家”と称されているわけですから、いかに作品の質が高かったか!

 

「狩猟の獲物、野菜と果物のある静物」(1600年)フアン・サンチェス・コターン

「狩猟の獲物、野菜と果物のある静物」(1600年)フアン・サンチェス・コターン

・68×89cm、カンヴァスに油彩、プラド美術館所蔵

サンチェス・コターンの静物画は、主に野菜を描いた作品が多いです。

どれも静けさと重々しさ、神秘性があって単なる静物を描いたものとは思えない。精神性ともいうかの様な、崇高さが垣間見れるのも特徴です。

おそらくサンチェス・コターンが元々宗教画を描いていたのも大きな理由でしょう。

静寂と神秘性、明暗対比の描写が”静物画”を描く上で最適だったのかもしれないですしね。

とにかく宗教画や歴史画が高く評価されていたバロック期において、スペイン的静物画を一つのジャンルとして確立させた功績は大きいと思っています。

 

私の考え
ちなみにスペイン的静物画は、俗に”ボデゴン”と呼ばれています。

スペイン語で静物画はボデゴン(bodegon)と言い、英語の「Still Life」に対応する言葉。スペイン的静物画の場合は、野菜などが主題として描かれる場合が多く、”厨房画”とも呼ばれています。

 

 

 

画家”サンチェス・コターン”について簡単解説!

解説

画家”サンチェス・コターン”について解説していこうと思います。

フアン・サンチェス・コターン(Juan Sanchez Cotan)”はバロック期に活躍したスペインを代表する画家の一人。

当時(バロック期)は宗教画や歴史画が高く評価されていた時代で、そんな中にあって静物画という位置づけを確立させた功績は大きい!

 

「受胎告知」(1603-1627年頃)フアン・サンチェス・コターン

「受胎告知」(1603-1627年頃)フアン・サンチェス・コターン

・292×208.5cm、カンヴァスに油彩、グラナダ美術館所蔵

先ほどちょっと触れましたが、私が思うに元々”宗教画”を描いていたのも大きな理由でしょうね。

静物画から”神秘性”も読み取れるからです。

宗教画の流れから派生した静物画といった感じでしょうか。

 

サンチェス・コターン、フアン(Fray Juan Sanchez Cotan)1560-1627.9.8

スペインの修道士画家。オルガースに生れ、グラナダで没。1630年カルトゥジオ会に入った。特に台所の野菜などを描き続けた。”ボデゴーン(静物)”の画家として知られる。フランドルやイタリアの豊かで騒々しい静物画と違い、窓枠のなかに少数の対象を明暗の効果によって個別的に描いてゆくスペイン的静物画の先駆者

・出典元『新潮 世界美術辞典』より一部抜粋

 

「狩猟の鳥のある静物」(1600年頃)フアン・サンチェス・コターン

「狩猟の鳥のある静物」(1600年頃)フアン・サンチェス・コターン

・67.8×88.7cm、カンヴァスに油彩、シカゴ美術館所蔵

そしてサンチェス・コターン作品の特徴を説明する上で、窓枠などと一緒に静物を描いているのも大きなポイントです。

窓枠を描く事で、遠近感を巧みに表現している点は見逃せない。しかも手前の野菜は枠からはみ出して描かれていますしね。

野菜の写実的な描写も凄いですが、すべて計算されつくされた構図や配置になっているわけです。

 

「果物と野菜のある静物」(1600年頃)フアン・サンチェス・コターン

「果物と野菜のある静物」(1600年頃)フアン・サンチェス・コターン

・67×97.4cm、カンヴァスに油彩

私的な表現で言うなら、単なる静物画というなかれ!!

サンチェス・コターンの作品は、緻密な計算と宗教画的要素が組み込まれた静物画といったところでしょうか。

こうやって見ると、静物画の絵画としての格付けが確立されたのも納得です。

だって、単なる静物画ではないからです。

 

「マルメロ、キャベツ、メロンとキュウリのある静物」(1600年頃)フアン・サンチェス・コターン

「マルメロ、キャベツ、メロンとキュウリのある静物」(1600年頃)サンチェス・コターン

・69×85cm、カンヴァスに油彩、サンディエゴ美術館所蔵

て、代表作の「マルメロ、キャベツ、メロンとキュウリのある静物」ですが、現在はサンディエゴ美術館に所蔵されています。

実は日本でも近々展示される予定になっています。

 

西洋絵画、どこから見るか? -ルネサンスから印象派までの開催概要

・会期:2025年3月11日(火)~6月8日(日)
・場所:国立西洋美術館(東京都台東区上野公園7-7)

・時間:9:30~17:00 ※入館は閉館の30分前まで
・休館日:月曜日、5月7日(水) ※ただし3月24日(月)、5月5日(月・祝)、5月6日(火・祝)は開館。

 

興味のある方はぜひ行ってみるのをおススメします。

 

 

※ここで扱っているイラストや作品画像はpublic domainなど掲載可能な素材を使用しています。

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