- 2024-5-30
- Enjoy This (観てほしい絵画展)
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先日”東京国立近代美術館”で、「TRIO展 パリ・東京・大阪 モダンアート・コレクション」を観てきました。
今回はMOMAT(東京国立近代美術館)とパリ市立近代美術館、大阪中之島から、共通点のある作品をトリオで組ませるという趣向を凝らした展示が特徴。普段観ている作品でも、見せ方が変わるだけでこうも感じが違ってくるんだな~と。
そういう意味でも、個人的に好きな展覧会でしたね。^^
では私が惹かれた作品を挙げながら、「TRIO(トリオ)展」についてレビューしていこうと思います。
【 目次 】 |
「TRIO展 モダンアート・コレクション」の感想レビュー!
普段見慣れた作品でも、見せ方が変わるだけでいつもと違った雰囲気を感じられる!
今回の様な趣向を凝らした展覧会は、個人的に好き♡ですね!!^^
私の持論の一つに、”美術作品は見せ方次第で常に新鮮な気持ちを味わえる!”がありますが、まさにそれを再現したかの様だからです。
私の場合”東京国立近代美術館”はよく行くので、見慣れた作品も多数ありますが、でも不思議ですよね~。見せ方次第で、こんな違った一面があるなんて!!
この発見は大きな収穫でしたね。
・左:「セヴェスト通り」(1923年)モーリス・ユトリロ / ・右:「新宿風景」(1937年)長谷川利行
今回はMOMATと大阪中之島美術館、それからパリ市立近代美術館から共通点のある作品をトリオで組ませて展示というスタイルです。
絵画や彫刻、写真や映像作品など計150点余りの作品が集結していて、ザックリ言えばそれぞれの美術館から約50点ずつが集められた感じでしょうか。
・左:「オルレアン駅のメトロ」(1912‐1914年)フェリックス・デル・マルル / ・中:「鉄路」(1912年)川上涼花
こちらは”加速する都市”というテーマで展示された3つの作品です。
同じ共通点で集められた作品ですが、どれも違った画風なのがオモシロイ。なかでも右の作品は、特に魅了された一枚でした。
・99.5×80.5cm、カンヴァスに油彩、大阪中之島美術館所蔵
ウンベルト・ボッチョーニ(Umberto Boccioni)の「街路の力」という作品です。
ボッチョーニは33歳という若さで亡くなった画家で、1911年と言えば”未来派”の画家として活動真っ最中の時期!ある意味”代表作”と言っても過言ではないと思います。
パッと見はちょっと暗い感じの作品ですが、何とも言えない近未来的な明るさもある。観ていると、実に不思議な作品なわけです。
・「電気の精」(1953年)ラウル・デュフィ、10点組のカラー・リトグラフ 各100.0×60.0cm
そして今回の「TRIO」展で特に圧巻だったのが、ラウル・デュフィ(Raoul Dufy)の「電気の精」という作品です。
元々は1937年のパリ万博で制作された巨大壁画で、これはそのリトグラフによる縮小版だそうです。
デュフィは個人的にも好きな画家ですし、なにより色彩観が素敵です。
私はこの「電気の精」を観て、ふとポーラ美術館の「パリ」という作品を思い出してしまいました。何だか通じる感じがあったからです。やっぱり好きな画家の作品は、ズ~と観ていてもイイものですね。私は時間を忘れて眺めてしまいました。^^
・「夢」(1927年)マルク・シャガール
「夢」という作品ですが、シャガール(Marc Chagall)が描くとどれも”夢”みたいな画風に仕上がってしまうのでは?と。
ちなみにこれは、女性を背中に乗せたウサギ?(もしくはロバ)を描いた作品だそうです。
・左:「森」(1943年)ジャン・フォートリエ / ・右:「空港」(1937年)北脇昇
・左:「慰めのアンティゴネ」(1973年)デ・キリコ / ・右:「眠れるミューズ」コンスタンティン・ブランクーシ
ここでデ・キリコとブランクーシの作品が登場です。
最近東京都美術館で「デ・キリコ展」、それからアーティゾンで「ブランクーシ展」が開催されていたので、私的にはタイムリーな画家という感じです。
・ジョルジョ・デ・キリコ(Giorgio de Chirico)…1888‐1978年、イタリアの画家で彫刻家。シュルレアリスムに影響を与えた”形而上絵画派”の画家として有名。
・コンスタンティン・ブランクーシ(Constantin Brancusi)…1876‐1957年、ルーマニア出身の彫刻家。非常にシンプルで、抽象的な作風が特徴。
・左:「椅子にもたれるオダリスク」(1928年)マティス / ・中:「裸体美人」萬鉄五郎 / ・右:「髪をほどいた横たわる裸婦」アメデオ・モディリアーニ
普段見ている作品でも、観方を変えるだけで違った雰囲気を味わえる!
例えばこの萬鉄五郎の「裸体美人」は、まさにそんな作品です。
これまで何度も目にしてきた作品だけれど、マティスやモディリアーニが横にあると、いつもより描かれている女性に品の良さを感じるのは私だけだろうか。
・60.0×92.2cm、カンヴァスに油彩、大阪中之島美術館所蔵
というか、モディリアーニの裸体画が妙に色気がありすぎるのが理由でしょうか。
赤みの色遣いと輪郭線によって、ここまで女性のセクシーさを表現するなんて!!これほど独特な裸体を描く画家って、モディリアーニ以外にはいないと思っています。
かなり崩した顔と独特な造形美で、賛否の分かれる画風ですが、個人的には好きな画家です。改めて”裸体を描かせたら右に出る者はいない!”と思いますね。
・左:「自画像」(1918年)シュザンヌ・ヴァラドン / ・中:「昼食」(1932年)ピエール・ボナール / ・右:「匂い」藤島武二
・69.5×76.0cm、カンヴァスに油彩、東京国立近代美術館所蔵
それにしても藤島武二の描く女性は美しい!
ラベンダーっぽい色合いもさることながら、女性に気品が感じられるのがイイですね。
ロマン主義に影響を受けたというのもあるだろうけど、何より日本らしさを活かしながら西洋画を描いているからでしょうか。この「匂い」も何度か見た作品ですが、素敵な作品は何度見てもイイものですね。
・左:「五人の裸婦」(1923年)藤田嗣治 / ・右:「プリンセス達」(1928年)マリー・ローランサン
/・左:「犬の唄」(1961年)柳原義達 / ・中:「ランド地方の羊飼い」(1951年)ジェルメーヌ・リシエ / ・右:「青いヴィーナス」(1962年)イヴ・クライン
余談ですが東京国立近代美術館の2階で、ジェルメーヌ・リシエ(Germaine Richier)の「蟻」という彫刻も観れるのでお忘れなく。
最近収蔵化した作品で、おそらく今後も「MOMATコレクション展」で展示されるのでは?と思っています。
・左:「UNTITLED 95-9」(1995年)辰野登恵子 / ・右:「抽象のコンポジション」(1968年)セルジュ・ポリアコフ
・「roll(27 paper foldings)♯15」(2009年)冨井大裕
・「津波の木より、2019年8月2日、福島県南相馬市」(2019年)畠山直哉
これは発色現像方式による印画だそうです。
詳しい技法などは分かりませんが、神秘的というか生命力というか、何とも言えない力強さが感じられませんか?
後半はタイムリーな作品も展示されていて、いろんな意味で考えさせられたりします。これもモダンアートならではの魅力でしょうね。
今回の「TRIO」展ですが、おそらく半分近くは日本の画家で占めていたのではないだろうか!?
バスキアやダリ、シャガールなど世界的に有名が芸術家もイイですが、同じ土俵で日本人画家の作品を観れるのがイイですね。特に中西夏之さんや森村泰昌さんの作品が見れたのは嬉しい誤算。^^
元々東京国立近代美術館には、日本の画家の作品も多く所蔵されています。今回の様に西洋画と”比較”して観ると、より良さが感じられる!というもの。
普段見慣れた作品でも、展示方法によって違った一面が垣間見れる!
つくづく芸術って、オモシロいものだな~と。
今回の「TRIO パリ・東京・大阪 モダンアート・コレクション」展は、まさに私の持論を再現した感じになっているので、個人的には好きな展覧会です。
興味のある方は、ぜひ行ってほしいと思います。
「TRIO展」の開催概要(東京展と大阪展)
「TRIO パリ・東京・大阪 モダンアート・コレクション」展は、東京と大阪の巡回開催になっています。
【 東京開催「TRIO パリ・東京・大阪 モダンアート・コレクション」展の開催概要 】 ・会期:2024年5月21日(火)~8月25日(日) ・場所:東京国立近代美術館(東京都千代田区北の丸公園3-1) ・開館時間:10:00~17:00(金曜、土曜は20:00まで) ※入館は閉館の30分前まで ・観覧料:一般は2,200円、大学生1,200円、高校生は700円 |
また今回の「TRIO展」ですが、一部を除いて基本的に撮影が可能になっています。
他の作品と比べながら撮影するのも、いつもと違った味わいを得られるのでオモシロイと思いますよ!
【 大阪開催「TRIO パリ・東京・大阪 モダンアート・コレクション」展の開催概要 】 ・会期:2024年9月14日(土)~12月8日(日) ・場所:大阪中之島美術館 4階展示室(大阪市北区中之島4-3-1) ・開館時間:10:00~17:00 ※入館は閉館の30分前まで |
興味のある方はぜひ、行ってみるのをおススメします。
※ここで扱っているイラストや作品画像はpublic domainなど掲載可能な素材を使用しています。
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