ポーラ美術館で「20周年記念展 モネからリヒターへ」を観てきました。

「ポーラ美術館開館20周年記念展、モネからリヒターへ」…箱根のPOLAより

 

ポーラ美術館開館20周年記念展を観に、わざわざ箱根まで来てしまった!!

 

箱根は観光地だけに、ほとんどの人は旅行ついでにポーラ美術館に行く人が多いでしょうね。でも私にとっては、POLAを一番の目的にする価値は十分あると思っています。展示作品もさることながら、何よりも魅せ方が非常に上手い!!しかも外には遊歩道もあって、見所満載だからです。

 

「ポーラ美術館開館20周年記念展、モネからリヒターへ」

もちろんメインは館内の展示作品たち!今回はポーラ美術館開館20周年という節目だけあって、一味も二味も挑戦的で魅力的でした。これまでは印象派や”美”をテーマにした作品公開が多いなか、今回は良くも悪くも幅を広げての展示。でも相変わらずポーラらしさは健在って感じだったので、私的にはとても満足いく記念展だったと思っています。

何よりも、作品の見せ方が実に洒落ていました。
素人の私が言うのもなんですが、”美術の事を分かっているな~”という印象ですね。

 

もちろんこれまで定番中の定番とも言える作品も展示していました。

「ベンチにて」(1879年)エドゥアール・マネ

「ベンチにて」(1879年)エドゥアール・マネ

 

このエドゥアール・マネの「ベンチにて」は個人的に超お気に入りの作品。パステル調の柔らかさと美しさは本当にウットリしてしまいます。つくづく思いますが、イイ作品は何度見ても良いものですね。願いが叶うなら、部屋に飾りたい!そう思う一点です。

 

「レースの帽子の少女」(1891年)ピエール・オーギュスト・ルノワール

「レースの帽子の少女」(1891年)ピエール・オーギュスト・ルノワール

 

ポーラ美術館で一番多いのがルノワールだと思いますが、やっぱりルノワールの作品を見ない事には始まりませんね。

 

「ベランダにて」(1884年)ベルト・モリゾ

「ベランダにて」(1884年)ベルト・モリゾ

 

このベルト・モリゾの作品は今回新たな収蔵作品の様ですね。今展の注目作品にも挙げられていて、チラシなどにも目にする事ができます。

ちなみに描かれている少女は、ベルト・モリゾの娘ジュリー。ベルト・モリゾは画家エドゥアール・マネの弟ウジェーヌと結婚し、1878年に娘ジュリーを授かります。モリゾは娘をモデルとした作品を結構描いていますが、これはその中の一枚。
軽やかで優しいタッチは特に必見ですね。それから個人的に注目ポイントは、あえて後ろ向きを描いている点!こういった姿勢や構図は母親ならではの目線だろうと思います。なかなか男性画家ではこのポーズを描こうとは思わないでしょうね。

 

さて、いつものポーラ美術館だったら、こういった印象派の作品やマティスなど色彩的に鮮やかで美しい作品が中心です。でも今回の20周年はいつもとは一味も二味も違っていました。本当に違っていたのです。

例えば、
佐伯祐三の「アントレ ド リュー ド シャトー」(1925年頃)や「リュ・デュ・シャトー」(1927年)

里見勝蔵の「洋梨と葡萄」(1924年頃)、「」(1928年)、「ポントワーズの雪景」(1924年頃)

佐伯祐三と里見勝蔵は、日本のフォーヴィスムを牽引した画家です。激しい色彩と大胆で荒々しい筆づかい。まさに野獣的ともいえる作風が特徴的だと思います。これまでのポーラ美術館では、こういった荒々しさはあまり見る事がなかった作風です。

 

「風景」(1942年)松本竣介

「風景」(1942年)松本竣介

 

松本竣介の「風景」(1942年)
ひっそりと佇む路地に荷車引きと一匹の犬、そして一人の人物が描かれています。ここに描かれているのは東京の高田馬場近くにあったゴミ捨て場と目白変電所、神田川に架かる田島橋だとされています。
松本竣介の作品は、平面的で直線的な都市の風景が特徴的。どことなく暗鬱で暗さが漂う作風は、日本が戦争へと進んでいった時代背景が関係しているからか?

ポーラ美術館は比較的“美”にこだわった作品が多い印象です。この松本俊介の様に暗さや憂鬱さが滲み出ている作風は、ある意味対照的だと思うのです。これまでのポーラ美術館の枠からはみ出した感じは、良い意味で挑戦的で斬新だな~と感じませんか?

 

実は後半になると日本の画家が多数展示しているのも、今回の大きなポイントだと思っています。あえて日本の画家にスポットライトを当てているのか?日本の版画家”中林忠良”の作品も後半に展示していましたが、比較的最近の画家の作品を取り上げているのも注目!個人的には知らない版画家でしたが、反転した様な作風も面白いものですね。

 

そして動画での紹介になりますが、中西夏之の「洗濯バサミは攪拌行動を主張する」も印象的でした。これは1963年の「読売アンデパンダン展」に出品した作品です。立体的でアート性を持った作品は、これまでのポーラにはなかった“芸術感“を感じませんか??

それから白髪一雄の「波」(1987年)や「泥錫(でいしゃく)」(1987年)
大胆極まりない力強さみなぎる作品が特徴的!
絵具の塊がこれでもかというくらい盛られていて、観ていて和らしい感じもあるけれど、一方で武士らしい潔さも感じてしまいます。

荒々しさや暗い暗鬱とした作品、それに日本人による西洋絵画に抽象絵画。今回の20周年記念展はこれまでのポーラをイイ意味で裏切っていると思います。それから白髪一雄や中西夏之など3D的で厚みを持った作品もポイント!写真や画像では絶対に味わう事が出来ない、生の作品を見る事でしか分からない感動があります。

ぜひ箱根のポーラ美術館に来て、体感してほしいと思います。

 

そして今回の一番の目玉はゲルハルト・リヒターの作品でしょうね。

このリヒターはドイツの画家で、現在も活躍中!今年(2022年)は何かと展覧会も多い画家なので、ぜひチェックしてほしい人物です。独自のアート作品は必見で、特に”アブストラクト・ペインティング”はリヒターの代表作!制作過程も実に興味深いのです。

 

☝これは作品の制作過程を撮っているyou tube動画です。

個人的にこういう制作動画は見ていて楽しいものですね!^^

今回はゲルハルト・リヒター作「抽象絵画」(1987年)が展示していましたが、正直言ってよく分からない作品です。でも不思議と観察してしまう魅力ある作品です。リヒターの作品は結構な部分が偶発的によって作られていると思っています。擦れた時によって生まれる自然発生的な色彩や線、形。決して人の手では表現できない生き生きとした感じは、アブストラクト・ペインティングならではの醍醐味でしょうね。

特にリヒターの作品はスキージ(大きなヘラ)によって制作するため、独特な光沢感や絵の具の伸びや擦れがあります。誰でも描けそうだけれど、でもリヒターにしか描けない。リヒター自身描こうと思っても同じものは絶対に描けない!まさにリヒターならではの作風だと思います。

 

今回の20周年記念展はこれまでのポーラの枠をはみ出た挑戦を感じます。ゲルハルト・リヒターや杉本博司も今までのポーラにはなかった芸術観だと思いますね。でも相変わらず、作品の洒落た魅せ方は健在です。

何よりもハマスホイの見せ方が実に素晴らしかった!!
正直言って、震えました。
静寂さがピッタシハマるハマスホイの作品を、あんな形で演出してくれるなんて…^^

ポーラ美術館のキュレーターも洒落た事をしてくれるな~って。

今回の収蔵作品はこれまでのポーラコレクションの幅を広げての展示。私的には挑戦的!にも映るけれど、でもしっかりとポーラらしさを残している点では、さすが!の一言。(偉そうに言ってますが…)

特に今回の展示作品は写真や画像では決して味わえないのも注目ポイント!立体感のある作品だったり、その場の空間でしか感じられない作品の雰囲気もある。現地に行って肌で感じるしか分からない良さもあるわけです。ぜひ箱根に行ったら、ポーラ美術館は行ってほしいですね。

 

 

ポーラ美術館の遊歩道の様子 ポーラ美術館の遊歩道の様子

そして森の遊歩道も忘れてはならない!今回はこれまでとは演出も一味違っていました。音と作品、そして自然の三位一体の豪華さ!!ぜひ箱根に来たら、館内の展示品と遊歩道の両方を味わってほしいと思います。

ポーラ美術館開館20周年記念展 モネからリヒターへ」は2022年9月6日まで開催します。ぜひ行ってみてほしいと思います。

 

※ここで扱っているイラストや作品画像はpublic domainなど掲載可能な素材を使用しています。

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