”ベラスケスの凄さ!”って?  …「プラド美術館展」より

「プラド美術館展 ベラスケスと絵画の栄光」…国立西洋美術館にて

 

ベラスケスの凄さ!って何だろう!?

 

画家の中の画家”と呼ばれるほどだったので、
もちろんその凄さは知っているつもりですが…

でもベラスケスの凄さを体感するなら、
それは実際に生で作品を観る事!だと思います。

 

でもベラスケスは宮廷画家として活躍しただけに、
そのほとんどの作品は門外不出とされているものばかり。

そんな貴重な作品が堂々と見れたら…

・・・

「プラド美術館展 ベラスケスと絵画の栄光」…国立西洋美術館にて
先日プラド美術館展 ベラスケスと絵画の栄光で、
そんなベラスケスの貴重な7作品を観る機会がありました。

そこで観れたベラスケスの作品の数々と
そしてその凄さに迫ってみたいと思います。

 

まずは…

「フアン・マルティネス・モンタニェースの肖像」(1635年頃)ディエゴ・ベラスケス

「フアン・マルティネス・モンタニェースの肖像」(1635年頃)ディエゴ・ベラスケス

ディエゴ・ベラスケス
フアン・マルティネス・モンタニェースの肖像
・1635年頃、カンヴァスに油彩、109×88cm

これは16世紀末から17世紀前半期に活躍した
セビーリャの彫刻家”フアン・マルティネス・モンタニェース”の肖像。

ちなみにこの彫刻家が制作しているのは、
国王”フェリペ4世”の頭部だと言われています。

 

・・・

「メニッポス」(1638年頃)ディエゴ・ベラスケス

「メニッポス」(1638年頃)ディエゴ・ベラスケス

そしてこれは”メニッポス”という人物を描いた作品。

 

ここでCheck!
メニッポスはどんな人物なの!?

古代ギリシャの哲学者で、風刺家。
元々奴隷として生きた人物で、その後金貸しとして財を成すが結局すべてを失ってしまった。
そして最後は自ら命を絶ったと言われています。

メニッポスは真面目な内容の話を面白おかしく語る事。
つまり”メニッポス的風刺”が特徴で、通称”真面目な道化師”と呼ばれていました。

ベラスケスは宮廷など貴族だけでなく、
こういった古代の人物も多数描いています。

 

・・・

「バリェーカスの少年」(1635-1645年)ディエゴ・ベラスケス

「バリェーカスの少年」(1635-1645年)ディエゴ・ベラスケス

ディエゴ・ベラスケスバリェーカスの少年(1635-1645年)

 

「狩猟服姿のフェリペ 4世」(1632-1634年)ディエゴ・ベラスケス

「狩猟服姿のフェリペ 4世」(1632-1634年)ディエゴ・ベラスケス

ディエゴ・ベラスケス狩猟服姿のフェリペ 4世(1632-1634年)

これはスペインの国王フェリペ4世の狩猟の様子を描いたもの。

当時フェリペ4世が治めていた頃は比較的平和な時代だったといいます。
そのため自身の力を誇示するため”戦い”の疑似体験として、
そして自身の力を誇示するために”狩猟”を題材にした作品を多く描いていたそうです。

 

ポイント!
フェリペ4世の右側の黒い部分に注目!

フェリペ4世の右側に黒い影の様なものが見えると思います。
これは影に見えるかもしれませんが、
実は描き直している跡なのです。

ちょっとした立ち位置の違いだけれど、
ベラスケスのこだわりや試行錯誤の跡が見て取れるのです。
こういった描き直した跡が見れるのも実に興味深いですね!

ちなみにこのフェリペ4世はベラスケスやアロンゾ・カーノ、
バルトロメ・エステバン・ムリーリョなど多数の画家を支援したと言われています。

またプラド美術館のコレクションの基礎を作った王でもあるのです。

 

・・・

「マルス」(1638年頃)ディエゴ・ベラスケス

「マルス」(1638年頃)ディエゴ・ベラスケス

ディエゴ・ベラスケスマルス
・1638年頃、カンヴァスに油彩、179×95cm

そしてこれは軍神マルス”を描いた作品。

 

絵を見て感動!
個人的に今展で一番のお気に入りの作品で、
特に荒々しいタッチで描かれた肉体描写が何とも絶妙!

この「マルス」の興味深い点は、
”軍神”なんだけれどまるで人間の様に描かれている事!
しかも戦いの場面ではなく、戦いの後の疲れ切った姿を描いているのです。

それはこの肉体を見ても分かる事ですが、
完璧という様な肉体美ではなく、
まるで衰えた様な肉体に見えてきませんか?

専門家の解釈によれば、
当時フェリペ4世の治めていたスペインは、
国力が衰えてきた”スペイン衰退の時期”だったと言います。

軍神マルスの疲れ切った姿は、
当時のスペインの国力を表しているというわけです。

 

考え…・思い…
人間味があって生々しくリアルなこの作品は、
本当に魅力溢れる絵だと思います。

もちろんベラスケスらしい筆遣いも必見!
近くに寄ってみると荒々しく描かれているのに、
でも作品全体を見渡すと立体的で写実的に見えるのです!

画家の中の画家”と呼ばれる所以は
こういったベラスケスの画力の凄さ!なのかもしれませんね。

こんな風に今回の「プラド美術館展」は、
実に様々な作品で溢れていました。

 

・・・

「王太子バルタサール・カルロス騎馬像」(1635‐1636年)ディエゴ・ベラスケス

「王太子バルタサール・カルロス騎馬像」(1635‐1636年)ディエゴ・ベラスケス

ディエゴ・ベラスケス王太子バルタサール・カルロス騎馬像(1635‐1636年)

これは今回の目玉作品として取り上げられている名画。

この王太子バルタサール・カルロスは、
フェリペ4世と妃イサベルとの間に生まれた子。
イサベルとの間になかなか男の子が産まれなかっただけに、
このカルロスに対してはかなりの期待と希望を託されたと言います。

でも残念かな…

このカルロスは1646年
つまり16歳という若さで亡くなってしまったのです。

 

「東方三博士の礼拝」(1619年)ディエゴ・ベラスケス

「東方三博士の礼拝」(1619年)ディエゴ・ベラスケス

ディエゴ・ベラスケス東方三博士の礼拝(1619年)

そしてこれは宗教画でよく描かれる題材”東方三博士の礼拝”。
誕生した幼子イエスに敬意を表すために、
3人の博士が贈り物を携えてやってくる場面を描いています。

ちなみにここで描かれている人物は、
ベラスケスの身近な人物がモデルになっていると言います。

 

絵を見て感動!
ベラスケスの絵は”本物を間近で観るに限る!”と思うので、
ぜひあなたの目で確かめて観てほしいと思います。

今回見れたのはプラド美術館の一部の作品ですが、
やっぱり実際にスペインに赴いて、
全貌を見てみたくなるんですよね~。

 

プラド美術館(Prado Museo)
特に本場プラド美術館”の中で作品を観ると、
また違った雰囲気を味わえると思います。

展示している場所によって、
絵の雰囲気や印象も変わってきますからね!

 

※ここで扱っているイラストや作品画像はpublic domainなど掲載可能な素材を使用しています。

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