- 2019-10-12
- Artist (画家について), Artwork (芸術作品)
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ファン・ゴッホの代表作「糸杉」シリーズは、
どれもが異常なほどの躍動感と迫力があります!
一歩間違えれば精神異常と言われてしまうだろうけど、
現在の様に評価の高いゴッホからすれば、
これはゴッホらしい特徴でもあって味でもある。
そしてこのゴッホらしさは
写真よりも実際に生で観る方がより物凄いものがあるのです。
ファン・ゴッホの代表作「糸杉」(1889年)
・93.3×74cm、カンヴァスに油彩、メトロポリタン美術館(ニューヨーク)所蔵
これは2020年に開催した「ゴッホ展」で観れた作品です。
この絵の渦を巻いた躍動感と迫力!!
今でもあの時観た印象が思い起こされますね!
しかもゴッホは厚塗りが特徴だけに、
分厚く盛られた絵の具が照明の光で反射して、
独特な存在感と異様さも凄かった記憶があります。
このゴッホの「糸杉」シリーズは
1889年~1890年にかけて集中して描かれています。
ゴッホの晩年を代表する作品とも言われていて、
しかもこの1年くらいの間に一体何枚描いているんだろう??
ゴッホは気に入った題材は何枚も描く事は知られています。
しかも”情熱的な画家”と言われるだけあって、
この「糸杉」シリーズには”ゴッホの精神性”が垣間見れるとも言われている。
一体この”糸杉”にはどんな意味が??
そして
ゴッホはどんな思いで描いたのだろう??
今回は糸杉の花言葉やゴッホの生い立ちや背景から、
「糸杉」の作品に込められて意味や精神性を探っていきたいと思います。
”糸杉”の花言葉って!?
この「糸杉」シリーズのほとんどは
ゴッホがサン=レミに居た頃に描かれています。
ゴッホが精神的に病んで療養所に入所していた時期で、
絵のうねりや躍動感はゴッホの精神的なものが理由だろうとも…。
もちろん解釈も様々あって、
同時にこの”糸杉”には何か意味があるのでは??
こういう疑問が出てくるのも自然な事ですよね。
さて日本ではあまり馴染みがないかもしれませんが、
西洋ではよく目にする植物でもあるそうです。
この”糸杉”の総称はヒノキ科のイトスギ属をいいます。
主にヨーロッパ方面では街路樹や公園樹として植えられているそうです。
(ちなみにクリスマスツリーにもよく使われる木です。)
そしてイエス・キリストが磔にされた十字架は
実はこの木から作られていたという話もあるそうです。
もちろん地域によっては
神聖な木として崇拝されていたりするそうです。
では”花言葉”はどうなんだろうか??
・・・
糸杉の花言葉…”死・哀悼・絶望”
俗に糸杉は”死”を象徴する木と言われているそうです。
クリスマスツリーの木というと、
良いイメージにも思えてしまうけれど、
実はかなり不気味で暗いイメージなわけです。
ゴッホの生い立ちと”糸杉”に込められてた意味って?
実はゴッホは牧師の家の生まれだった事は知る人ぞ知っている事実です。
そんな事もあってからか?
ゴッホは当初”聖職者”として生きていこうと考えていたのです。
つまり牧師や伝道者と仕事に就きたかったそうです。
でも結局は挫折してしまうのです。
今ではゴッホと言えば”画家”と言われるけれど、
実は最初から画家を目指していたわけではなかったのです。
・・・
フィンセント・ファン・ゴッホの「糸杉のある小麦畑」(1889年)
フィンセント・ファン・ゴッホ「糸杉のある小麦畑」(1889年)
ゴッホがこの”糸杉”を繰り返し描いていた時期は、
ゴッホが亡くなる前の年”1889年頃”からでした。
つまりゴッホが精神的な病で療養所へ入所していた頃。
フィンセント・ファン・ゴッホ「糸杉のある小麦畑」(1889年)
この激しいくらいのうねりと躍動感。
作品を観る限り様々な解釈があります。
ゴッホが精神的に病んでいたのでは??
むしろ生命力に溢れていたという解釈があるほど。
実はこの頃に弟テオはゴッホの作品に対して、
「これまで以上に色彩に迫力がある!」と言っているそうです。
弟のテオは晩年の絵画から
ゴッホの変化を読み取っていた様です。
フィンセント・ファン・ゴッホ「星月夜」(1889年)
でもこの「星月夜」に関して言えば、
ちょっと??と思えるような異様さも読み取れます。
生命力溢れるというよりも精神的な異常を感じてしまうのです。
”死”を象徴する木と言われる”糸杉”
亡くなる前にゴッホが好んで描いていたのには、
もしかしたらゴッホは死を予感していたからなのかも…。
事実この頃ゴッホが弟のテオに宛てた手紙では
”糸杉がいつも心を占めている”と書いているそうです。
”死がいつも心を占めている”
晩年のゴッホの心理状態を考えると辻褄があうし、
事実ゴッホは拳銃で自殺を図っているわけです。
ゴッホという画家はその生い立ちをみていくと、
非常に作品が深く、そして重く感じられるのです。
ぜひゴッホの作品を観る際は、
生い立ちを交えて見るとその深みが感じてみたらいかがでしょう!
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コメント
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死を予感するだけで、糸杉を描くなんてことはないだろう。予感したかもしれないがそれを克服しようという意識がなければ絵を描くなんて創作力が沸き上がるわけはない。つまり、教会の尖塔のように糸杉が例えられることもあるように、死の予感を宗教的な情熱で昇華したいと念じた上の創作なのではあるまいかと思います。