- 2024-6-30
- Enjoy This (観てほしい絵画展)
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先日、SOMPO美術館で「ロートレック展 時をつかむ線」を観てきました。
ロートレックと言えばポスターを芸術に押し上げた功績で知られ、日本でも何かと話題に挙がるくらい有名な画家です。しかも”フィロス・コレクション”が約240点と、作品数もかなりの充実ぶり!
どんな感じなのだろう??と、気になっている方も多いだろうと思います。
今回は実際に観てきた私の感想を踏まえ、内容や見所などについて触れていこうと思います。
また東京開催後は、北海道や長野県でも巡回開催するので、興味のある方は参考にしてもらえると幸いですね。
【 目次 】 |
「ロートレック展 時をつかむ線」の感想レビュー!
今回は”フィロス・コレクション”から、約240点が集結という展覧会。ギリシャ人のベリンダとポール・フィロス夫婦が集めたコレクションで、個人としては最大級だそうです。
展示構成は素描を中心にポスターや版画、挿絵や写真などが展示され、数的にもそれなりの充実度!
一体どんな感じなのだろう??と気になる方も多い事でしょう。
ちなみに私の率直な感想としては、素描とポスターが特に良かったですね。^^
特に素描に至っては、”スゲ~、上手い!”と笑いが出るくらい唸ってしまいました。
(笑いが出くくらい??この表現は適切かどうか分かりませんが…)
実は展覧会に行く前に、ロートレックの自伝映画を観たのも大きな要因かもしれません。やっぱりロートレックを語る上で、素描は外せない!と改めて思ったわけです。
一般的にロートレックと言えばポスター芸術が真っ先に挙げられると思いますが、でも意外と知られていない事実として、ロートレックは素早いデッサンを得意とした画家でした。
なぜポスターが芸術に成りえたのか!?
素描を観ると、自ずとこの答えも分かってくるだろうと思います。
本来なら展示している素描を見せられたらいいのだけど、今回は写真撮影がOKなのはほんの一部でした。気になる方は、実際に行って観るに限るという事でしょうか。
・80.8×60.8cm、リトグラフ、フィロス・コレクション ※「ロートレック展」撮影可能作品
これは撮影可能な作品「Divan Japonais(ディヴァン・ジャポネ)」で、ロートレックを代表するポスター作品です。
生涯を通してロートレックは約30点近くを制作していますが、その多くはキャバレーなどをテーマにした作品。
どれも平面的で味わいある画風が特徴ですが、でも生々しさというか臨場感が感じられるから不思議ですね。
・左:124.0×91.5cm、リトグラフ / 右:34.5×27.0cm、リトグラフ ※「ロートレック展」撮影可能作品
しかもポスターですから、サイズ的には大き目!
より迫力というか、華やかさを感じられるのは私だけだろうか?
さて、ここで展覧会で展示されていた作品の一部を紹介したいと思います。
とはいえ撮影不可の作品が多いため、実際に展示されている作品ではありません。ちょっとでも雰囲気を味わってもらいたいというわけで、参考として挙げてみました。
・リトグラフ ※参考のため、実際の展示作品とは異なります。(Public domain画像使用)
ちなみにカフェ・コンセールは、19世紀後半に流行った大衆飲み屋の様な場所。飲食を楽しみながら、歌手や芸人の舞台を鑑賞できる場所でした。
ロートレックはそういった場所に出入りしながら、観客や芸人を描いていたわけです。
・32.5×24cm、リトグラフ ※参考のため、実際の展示作品とは異なります。(Public domain画像使用)
マルセル・ランデール嬢は実際の舞台スターで、本名は”アンヌ=マリー・マルセル・バスティヤン”。若くしてデビューし、後にヴァリエテ座のスター女優になった人物です。
ちなみに”リトグラフ(lithograph)”は、版画の一種。当時は石版画で、水と油の性質を利用していたそうです。
今回の「ロートレック展」では、「君がため!」を刷る上で基になった”石板”が実際に展示されていました。こんな貴重な物までコレクション化されているって、フィロス夫婦はどれだけロートレック好きだったのか!?
本来”石板”はなかなかお目にかかれない代物だと思うので、コレは個人的に必見ですよ!
・125.5×91.2cm、リトグラフ、フィロス・コレクション ※「ロートレック展」撮影可能作品
これは雑誌『ラ・ルヴュ・ブランシュ』を宣伝するポスター。描かれている女性は、雑誌の編集長の妻”ミシア”で、美貌と教養を兼ね備えた女性だった様です。
今回の「ロートレック展」では、もちろんポスターも注目作品に挙げられます。
でも私的に一番の見所は、先ほどもちょっと触れましたが”素描”です。
というのも、なぜポスターが芸術に成りえたのか!?の理由も見えてくるからです。
絵が上手い画家が描いたら、ポスターだってなんだって芸術に成りえる!
当たり前と言えば当たり前の話ですが、素描って画家の技量がそのまま表れると思っています。今回素描を観ていて、思わず笑ってしまったのはこういった理由のため。
線一本でここまで表現できる!!って。
ロートレックって純粋に超絵が上手いのが分かります。これは実際に観て、感じ取ってほしいですね。
だから展覧会名が”時をつかむ線”と名付けられたって事でしょう。
素描は日本ではあまり人気がないというか、注目されない様だけれど、観方によっては意外とオモシロイと思っています。
ぜひ「ロートレック展」では、素描もじっくりと鑑賞してほしいと思います。
「ロートレック展」の開催概要(東京・北海道・長野)
個人コレクションとしては最大級とも言われ”フィロス・コレクション”
ポスターや素描もさることながら、後半にはロートレックの私的なもの、つまりカードや招待状。それから手紙や写真も展示しています。ロートレックの人物像を垣間見れると言う意味でも、また純粋に画家ロートレックの画力を知る上でもオモシロいと思っています。
そんな「ロートレック展」は、東京新宿にあるSOMPO美術館で開催しています。
【 「フィロス・コレクション ロートレック 時をつかむ線」の開催概要 】 ・会期:2024年6月22日(土)~9月23日(月) ・時間:10:00~18:00(金曜日は20:00まで) ※入館は閉館の30分前まで ・観覧料:一般は1,800円(事前購入券は1,600円)、大学生は1,200円(事前は1,000円)、小中高校生は無料 |
また図録にも載っていましたが、東京の後は札幌と松本でも開催する様です。
【 「ロートレック 時をつかむ線」の開催概要(北海道・長野県) 】 (北海道開催) (長野開催) |
これは個人的なおススメ!ですが、展覧会に行く前にロートレックの自伝的映画「赤い風車」を観ておくのもベスト!
するとロートレックの人間性も分かるし、何より作品の深みも増すと思うからです。
今年(2024年)は「フィロス・コレクションのロートレック展」だけじゃなく、年末頃には三菱一号館美術館でも開催予定ですし、ロートレックがアツい!一年だと思っています。
というわけで、興味のある人はぜひ行ってみるのもイイと思います。
※ここで扱っているイラストや作品画像はpublic domainなど掲載可能な素材を使用しています。
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