カトリック教会の総本山”サン・ピエトロ大聖堂”と絵画

サン・ピエトロ大聖堂の眺め

 

バチカン市国にあって、最も重要で神聖な場所にサン・ピエトロ大聖堂があります。

それもそのはずで、カトリック教会の総本山という位置づけだからです。

国全体が世界遺産に登録されているバチカン市国で、最も重要な場所なのも当然ですよね。

 

というわけで今回は、絵画から”サン・ピエトロ大聖堂”を観ていこうと思います。

 

目次

”サン・ピエトロ大聖堂”について解説します!
風景画から観る”サン・ピエトロ大聖堂”

 

 

 

”サン・ピエトロ大聖堂”について解説します!

サン・ピエトロ大聖堂の眺め

先日、教皇フランシスコが亡くなり、遺体が”サン・ピエトロ大聖堂”に移されたというニュースがありました。

こういったニュースからも分かる様に、バチカン市国の中で特に重要な場所なのが分かります。

というか、カトリック教会の総本山なので、当然といえば当然なわけですが。

 

 

ン・ピエトロ大聖堂とは!?

解説

まずは簡単な解説から…

サン・ピエトロ大聖堂
(英)”San Pietro in Vaticano” / (伊)”Basilica di San Pietro in Vaticano”

ローマ・カトリック教会の総本山。320年頃(4世紀頃)、コンスタンティヌス大帝の命によって、聖ペテロの墓を祀るために建てられたバシリカ式の教会堂。

面積は約1万6,600㎡、地盤面からドーム頂点にある十字架まで138mもある世界最大で、最も豪華な聖堂建築として知られています。(※「新潮 世界美術辞典」を参考】)

 

早速、気になる人物が挙げってきました。

「聖ペテロの悲願」(1587-1596年頃)エル・グレコ

「聖ペテロの悲願」(1587-1596年頃)エル・グレコ

・109×88cm、カンヴァスに油彩、エル・グレコ美術館所蔵

イエス・キリストの最初の弟子”聖ペテロ(Saint Peter)”です。

イエスが亡くなった後も熱心に普及活動を続け、常に使徒たちの先頭を走っていた人物。

ペテロはイエス・キリストから”天国の鍵”を授けられたと言われ、それを象徴するかの様に、アトリビュートとして””が描かれているのが分かります。
(※アトリビュートは人物を特定する持ち物で、その人物が行ってきた行動や役目に関わる物が描かれる場合が多い。)」

そんな聖ペテロを祀るために、4世紀頃、ローマ帝国の皇帝”コンスタンティヌス1世”によって建設されました。

 

「ヴァチカンとサン・ピエトロ大聖堂の改築工事を命じる教皇ユリウス2世」(1827年)オラース・ヴェルネ

「ヴァチカンとサン・ピエトロ大聖堂の改築工事を命じる教皇ユリウス2世」(1827年)オラース・ヴェルネ

・21.6×16cm、カンヴァスに油彩、ルーヴル美術館所蔵

そして建物も老朽化し、16世紀初めに教皇ユリウス2世によって改築工事が決定されます。

上はオーラス・ヴェルネ(Horace Vernet)の作品で、サン・ピエトロ大聖堂の改築工事を命じている場面が描かれています。
(※区別するために、改築以前をサン・ピエトロ旧聖堂、以降を”サン・ピエトロ大聖堂”と呼んだりします。)

 

サン・ピエトロ大聖堂の眺め
ラファエロやミケランジェロも建設に関わりますが、最終的にはミケランジェロの案が採用!

実はミケランジェロは設計だけでなく、内部にある作品にも多数関わっています。

例えば、彫刻作品「ピエタ」はその最たる例でしょうか。

他には、ロレンツォ・ベルニーニの「内陣の青銅製大天蓋(バルダッキーノ)」や「聖ロンギヌス像」「教皇ウルバヌス8世の墓碑」。

それからローマの石で造られたトラヴェルティーノ像や大理石彫刻、ブロンズ像など大作揃い!

建築美や装飾もさることながら、美術作品の質量共に凄いわけです。

 

というわけで次では、絵画で”サン・ピエトロ大聖堂”の雰囲気を感じ取っていきましょう!

 

 

 

風景画から観る”サン・ピエトロ大聖堂”

鑑賞

それでは、”サン・ピエトロ大聖堂”を絵画で観ていこうと思います。

今回は”風景画”をテーマに紹介していきますが、探してみると実に多くの作品があります。

当時は写真もなかったわけで、”絵画作品”は当時の姿を垣間見れる唯一の手段。

そう考えると、歴史的資料としても大きな価値があるわけですね。

 

「ローマのサン・ピエトロ大聖堂」(1630年頃)ヴィヴィアノ・コダッツィ

「ローマのサン・ピエトロ大聖堂」(1630年頃)ヴィヴィアノ・コダッツィ

・168×220cm、カンヴァスに油彩、プラド美術館所蔵

さて、先ほども話した様に、現在あるサン・ピエトロ大聖堂は16世紀頃の建替え時の姿からになります。

最初はブラマンテの案が採用されましたが、設計上の不備もあって工事がストップ。

その後、設計変更のため様々な案が出されましたが、最終的に採用されたのが”ミケランジェロ”の案だったのです。

 

「サン・ピエトロ大聖堂のミケランジェロ設計案」(1547年)エティエンヌ・デュペラック

「サン・ピエトロ大聖堂のミケランジェロ設計案」(1547年)エティエンヌ・デュペラック

・33.9×45.8cm、エングレービング

そして完成したのが1612年頃で、完成には約100年の月日を要したそう。

その間に主任建築家も度々交代しましたが、現在あるサン・ピエトロ大聖堂の基本的な部分は、”ミケランジェロ”によるものだそうです。

ミケランジェロは芸術家としての側面が強いですが、実は建築家としても多数の傑作を残しています。

サン・ピエトロ大聖堂は、代表作の一つというわけです。

ちなみにミケランジェロが携わった建築では、代表的なものには以下があります。

 

「ローマのサン・ピエトロ大聖堂」(1711年頃)ガスパール・ファン・ウィッテル

「ローマのサン・ピエトロ大聖堂」(1711年頃)ガスパール・ファン・ウィッテル

・11×57cm、カンヴァスに油彩、個人蔵

現在では写真や動画でも見る事はできますが、私的には”絵画”の方が魅力的に映りますね。

絵画には絵画にしかない、”味わい!”と言うものがあるからです。

 

「ローマ、テヴェレ川の眺め」アントニオ・ジョリ

「ローマ、テヴェレ川の眺め」アントニオ・ジョリ

・76×111cm、カンヴァスに油彩、個人蔵

 

「ローマ、テヴェレ川の眺め」アントニオ・ジョリ

「ローマ、テヴェレ川の眺め」アントニオ・ジョリ

・102×127cm、カンヴァスに油彩、個人蔵

写真に比べれば、写実性では劣るかもしれない。

でも、雰囲気を味わうと言う意味では、絵画に勝るものはないとおもうわけです。

これも芸術ならではの、魅力であり醍醐味だと思います。

 

「サン・ピエトロ広場の眺め」(1775年)ジョヴァンニ・ジョヴァンニ・バッティスタ・ピラネージ

「サン・ピエトロ広場の眺め」(1775年)ジョヴァンニ・バッティスタ・ピラネージ

・46.7×70.0cm、エッチング、ウフィツィ美術館所蔵

そしてもう1人!忘れてはいけない芸術家がいます。

ローマの景観を描いた画家で知られる”ジョヴァンニ・バッティスタ・ピラネージ”です。

これほど細密で、精密的な作品は他にあるだろうか!?

私が知る限りないと思います。

探せば色々な作品が発見できるわけですが、どれも魅力的で味わい深い!!

改めて”芸術の魅力”を再確認できた今日この頃だったのでした。

 

 

※ここで扱っているイラストや作品画像はpublic domainなど掲載可能な素材を使用しています。

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